【年間本ランキング】アニメ人気で売り切れ続出『鬼滅の刃』が初の年間1位
『オリコン年間コミックランキング 2019』の「作品別」では、吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)の『鬼滅の刃(きめつのやいば)』が、期間内売上1205.8万部を記録し、シリーズ初TOP10入りにして初の1位を獲得した。
本作は、『週刊少年ジャンプ』で連載中の作品で、人喰い鬼の棲む世界を舞台に、家族を人食い鬼に惨殺された炭売りの少年・竈門炭治郎(かまどたんじろう)が、唯一生き残ったものの鬼になってしまった妹を人間に戻すため、また家族を殺した鬼を討つために旅する物語。4月からスタートしたテレビアニメが人気に拍車をかけ、原作コミックの売上が拡大。単巻での週間ランキング1位はまだないものの(最高位は最新17巻の2位)、全巻の売上が激増。作品別の月間コミックランキングでは、4月に初TOP10入りとなる5位にランクインして以降、毎月上位をキープし続け、8月には初の1位となり10月まで3ヶ月連続で1位を獲得している。
『オリコン年間コミックランキング 2019』の「単巻」で1位を獲得した『ONE PIECE』の著者の尾田栄一郎氏は、「最近はいろんな人から今ジャンプ面白いねって言われます。『鬼滅の刃』の盛り上がりはもちろん、ジャンプは今若い作家さん達が熱をおびてます!!」とコメントしている。尾田氏も『鬼滅の刃』の昨今の勢いを感じているようだ。
その他同ランキングでは、昨年の年間8位に初TOP10入りした『約束のネバーランド』が、初のTOP5入りとなる4位に上昇。上半期同ランキングで初のTOP10入りした『五等分の花嫁』、『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』、『転生したらスライムだった件 コミカライズ作品』が、年間でも5位、9位、10位と初のTOP10入りを記録した。
(オリコン)
順位 | シリーズ | 出版社 | 推定売上部数 |
1 | 鬼滅の刃 | 集英社 | 12,057,628 |
2 | ONE PIECE | 集英社 | 10,134,232 |
3 | キングダム | 集英社 | 7,661,361 |
4 | 約束のネバーランド | 集英社 | 7,454,745 |
5 | 五等分の花嫁 | 講談社 | 5,895,000 |
6 | 僕のヒーローアカデミア | 集英社 | 5,047,574 |
7 | 進撃の巨人 | 講談社 | 4,704,234 |
8 | ハイキュー!! | 集英社 | 4,514,838 |
9 | かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ | 集英社 | 4,096,492 |
10 | 転生したらスライムだった件 | 講談社 | 3,414,482 |
順位 | コミックス | 出版社 | 推定売上部数 |
1 | ONE PIECE 91 | 集英社 | 2,388,243 |
2 | ONE PIECE 93 | 集英社 | 2,200,000 |
3 | ONE PIECE 92 | 集英社 | 2,112,734 |
4 | ONE PIECE 94 | 集英社 | 1,880,146 |
5 | 進撃の巨人 27 | 講談社 | 1,344,500 |
6 | 進撃の巨人 28 | 講談社 | 1,172,448 |
7 | 進撃の巨人 29 | 講談社 | 955,124 |
8 | 鬼滅の刃 17 | 集英社 | 926,446 |
9 | 鬼滅の刃 16 | 集英社 | 877,366 |
10 | キングダム 53 | 集英社 | 863,994 |
【No.091】 Foon
香港の玩具デザイナー。「ストリートファイター」と「ニンジャタートルズ」の版権フィギュア「Bulkyz」シリーズを手がける。
【No.092】 髙木真希人 -Makito Takagi-
画家。
【No.093】 枝 優花
映画監督、写真家。
【No.094】 park jun ho
???。
【No.095】 オノツトム -Tsutomu Ono-
写真家。
【No.096】 Chino Lam
台湾の玩具デザイナー、アーティスト。「大豆芽水産」「大豆芽動物園」シリーズなどを手がける。
【No.097】 nooligan
米国のグラフィックデザイナー、イラストレイター。
【No.098】 Kimmongni
韓国の玩具作家。
【No.099】 Cathal Duane
アイルランドのイラストレイター。
【No.100】 AC部
安藤真と板倉俊介の映像制作ユニット。原型製作は原型師のCOSMO LIQUID。
<ONE PIECE>今年最も売れたマンガに 愛され続ける理由 2位は「鬼滅の刃」 意外な共通点も…
「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の尾田栄一郎さんの人気マンガ「ONE PIECE」のコミックスの2019年の累計年間売り上げが、推定1270万部(2018年11月19日から2019年11月17日に集計、集英社調べ)を記録したことが11月25日、明らかになった。2019年の国内のマンガで1位の記録となった。同作は、初版発行部数300万部以上を10年継続の前代未聞の偉業を成し遂げ、その勢いはとどまるところを知らない。「ジャンプ」ではもう一作、快進撃を続けるマンガがある。それは、吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんの「鬼滅の刃」だ。2019年のコミックスの年間累計売り上げは推定1080万部(同)で、「ONE PIECE」に続く2位を記録。「ONE PIECE」はなぜ、愛され続けているのか? 「ジャンプ」の担当編集に話を聞く中で「鬼滅の刃」との共通点も見えてきた。
「ONE PIECE」は、1997年に連載がスタート。2010年3月に発売されたコミックス第57巻の初版発行部数が日本出版史上最高となる約300万部を記録。2012年8月発売の第67巻は初版約405万部で、自己記録を更新した。2014年12月には「最も多く発行された単一作者によるコミックシリーズ」のギネス世界記録に認定されたことも話題になった。年末には全世界累計発行部数が4億6000万部を突破する“お化けマンガ”だ。
初版300万部以上を10年継続するほどファンに愛され続けている理由とは? 同作の編集を担当する高野健さんは魅力の一つとして「キャラクター」を挙げる。
「すべてのキャラが生っぽい。尾田先生はちょっとしたキャラクターでもその人生を考えています。魅力的なキャラが面白いことをやってくれる期待感もあります。舞台である世界が広く、複雑でもありますが、それを全く感じさせず、ワクワクさせられるんです」
連載、コミックスを読んでいると、続きが読みたい!と思う“引き”を大切にしている印象を受ける。物語の中でさまざまな仕掛けがある。高野さんは尾田さんについて「サービス精神が旺盛」と話し、その素顔を「とにかく面白い方です。ジョークをボソッと言う。面白いことをずっと考えている。先日もおじいさんのふりをして、電話をしてきたり」と明かす。
物語はワノ国編に突入。尾田さんが今後の連載について「5年以内には終わりたい」と明かしたことも話題になった。
「ワノ国編は、物語の核心に迫る話。海賊王のゴールド・ロジャー、“ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”とは何か?にも触れます。こんなところまで描いてしまうのか!?という展開もあります。ワノ国編からでも読むことができますし、しばらく読んでいなかった人がワノ国編から再び読むようになったという声も聞きます」
「鬼滅の刃」は、2016年から同誌で連載中。テレビアニメが今年4~9月に放送され、今年9月にはコミックスの累計発行部数が1000万部を突破するなど、今、最も勢いのあるマンガだ。高野さんは、2016年10月~2019年3月に「鬼滅の刃」の編集を担当し、テレビアニメ化の立ち上げにも参画した。高野さんは、作者の吾峠さんについて「『ONE PIECE』の尾田先生もそうですが、吾峠先生も読者の声をとても大切にしています。読者のアンケートをすごく分析するんです」と説明する。
「鬼滅の刃」は、人気のあるキャラクターが死んでしまうこともある。ハードな展開に驚かされるファンも多い。
「主人公の竈門炭治郎(かまど・たんじろう)たちと鬼との戦いをリアルに描こうとしています。鬼は恐ろしく、すごく強い。強いので、人間が勝ち続けるわけではない。その世界感、命のやりとりをリアルに描こうとしています」
「ONE PIECE」「鬼滅の刃」というヒット作には、ある共通点がある。高野さんによると、一つはキャラクターの魅力。もう一つは「言葉の力」だという。「ONE PIECE」のあまりにも有名な名ぜりふ「海賊王におれはなる」は声に出したくなるし、「鬼滅の刃」の「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」などのせりふは格好良く、まねしたくなる。名ぜりふ以外にも、ちょっとした言葉遣いがリズムを生み出しているという。
「言葉に魅力がある。せりふが心に残るし、リズムがいいんです。尾田先生は落語に由来する言い回し、吾峠先生は繰り返しや倒置法などの使い方がすごく魅力的です。マンガは絵、デザインなどさまざまな要素がありますが、言葉もリズムを生み出しています。ただ、言葉は磨いてどうにかなるものではないのかもしれません。新人作家でも、絵、レイアウトはまねをしながらうまくなっていきますが、言葉を伸ばすのは難しいんです」
「ジャンプ」には「ONE PIECE」「鬼滅の刃」以外にも「ハイキュー!!」「僕のヒーローアカデミア」「約束のネバーランド」「ブラッククローバー」などの人気作が連載中で、「呪術廻戦」「アクタージュ act-age」「チェンソーマン」などのネクストブレークが期待されている作品も多い。新たな黄金時代を迎えているのかもしれない。
(まんたんウェブ)