ワンピース監督が語る「尾田ワールド」の凄さ
『週刊少年ジャンプ』で連載中の『ONE PIECE』は、コミック累計発行部数が2億8000万部に達し、3億部も視野に入る国民的人気コミックだ。1999年からは、東映アニメーションの手によってアニメ化され、10%台の視聴率を叩き出す人気番組となっている。2000年からは映画版も公開され、これまでに11の作品がスクリーンに登場。中でも、原作者の尾田栄一郎が製作総指揮に名を連ねた09年の映画『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』は興行収入48億円を記録している。まさにドル箱コンテンツとして注目を集めている。
あれから3年の時を経て、再び原作者の尾田栄一郎が総合プロデューサーとして参加した劇場版長編最新作『ONE PIECE FILM Z』が完成。12月15日から全国で公開されている。
今回は、本作のメガホンをとった東映アニメーション所属の長峯達也監督に、『ONE PIECE』に対する思い、そして尾田栄一郎との作品作りなどについて聞いた。
― 長峯監督はもともと『ONE PIECE』がものすごく好きだったと伺っています。
長峯: 実は東映アニメーション(以下東映アニメ)の仕事場内では、『プリキュア』のスタッフルームと『ONE PIECE』のスタッフルームが隣同士。だから『ONE PIECE』の作業状況はよく見ていました。昔から『ドラゴンボール』や『聖闘士星矢』などのスタッフに関わっていたこともあって、いわゆる「少年ジャンプ作品」は大好きでした。
『ONE PIECE』もマンガをずっと読んでいました。だから一通り内容を知っていますし、東映アニメでずっと作品を手掛けているので、もしかしたら僕が『ONE PIECE』をやることもあるかもしれないとは思っていました。だからもし『ONE PIECE』の映画をやるなら、「こんなネタはどうかな」といったことは、いつも考えていました。
■ 突然『ONE PIECE』の監督の話が来た!
長峯: ネタはつねにないと駄目。一度企画が動き出すと、もう一瞬で進んでしまう。そこから考えるわけにいきません。今回も突然話がきた。「(次の企画は)ONE PIECEなんです」「えっ? 」といった感じで。その時に何もない状態だと駄目ですから、常々、何かやるときには、自分でやるならこうしたい、というようなネタをいつも自分で書き溜めています。
― 監督にとって『ONE PIECE』の面白さとは?
長峯: とにかくキャラクターの世界の広がり。それぞれのキャラクターのバックボーンが透けて見える感じがいいですね。普通のマンガだと、そういうバックボーンが見えてくるのはせいぜい5人か6人ぐらい。でも『ONE PIECE』の場合は人気がないキャラクターでもちゃんとバックボーンがある。さらに手を替え品を替え、いろんなネタが出てくる。そこが面白い。
学校の教室で男の子同士が『ONE PIECE』について話し合う、といったように作品を通じたコミュニケーションがとられているのが最大の魅力。もはや『ONE PIECE』は共通言語として成り立っているものだと思います。