■チョッパーは現代社会の誰のことか
「海へ出ろよ! お前の悩みなどいかに小せェことかよくわかる」
「本当に?」
1月末、柴島(くにじま)高校(大阪市東淀川区)であった2、3年合同の「世界の人権」の授業。やぶ医者のヒルルクと、ワンピースの主人公の一味でトナカイのチョッパーのやりとりが教室のスクリーンに映し出された。
生まれつき鼻が青いチョッパーはトナカイの仲間たちからいじめを受けていた。「ヒトヒトの実」という不思議な実を食べ「トナカイ人間」になるが、今度は人間から化け物扱いされ、銃撃される。その時、ヒルルクに助けられ、はぐれもの同士、心を通わすようになる。
「チョッパーはずっと孤独だったけど、ヒルルクという友達ができて、少しずつ自分を受け入れられるようになったんだ」。前川昭敏教諭(46)の話を生徒らは真剣な表情で聞いた。
前川教諭がワンピースを授業で初めて使ったのは2010年12月。ワンピースのアニメを長男と見ていた前川教諭は「生徒に差別や仲間の大切さを考えさせる教材になる」と感じた。それまで南アフリカのアパルトヘイトやアメリカの公民権運動を学んできた生徒らは「ワンピースにこんな見方が」と驚き、それぞれに思いをめぐらせた。
3年の重満(しげみつ)麻利さん(18)は「一度でも人からのけ者にされると、誰も信用できなくなり、恨むことしかできなくなる。でも、ヒルルクのような寄り添ってくれる人がいると、立ち直れるきっかけをつかめる」。3年の小坂幸知子さん(17)は「迫害を受けた人はその気持ちをずっと覚えている。その傷は他人には見えないし、分からないから難しい」。
チョッパーは現代社会の誰のことか――。前川教諭が生徒らに感想文を書かせると、「人種差別を受けた黒人」「路上生活を余儀なくされたホームレス」「障害者」「いじめを受けた人」などの記述がある中、「チョッパーは自分」と書いた男子生徒がいた。・・・(続く)。
(朝日新聞デジタル)
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人種差別についてはブログで同じこと何度も言ってる気がしますが、デンの言葉がとにかく印象的でした。
トム(※コンゴウフグの魚人)とデン(※オオカミウオの人魚)が兄弟なのに似ていないことに戸惑うフランキー・・・というシーンで、
デン 「ハハハ”人間”らしい考え方だ。地上に住む種族達は家族で姿が似ることが多いもんな。魚人は少し違うんだ。魚人は魚人の、人魚は人魚の古~い記憶を遺伝子に宿している。タコの人魚の親からサメの人魚が生まれたら、それはその親の古~~い先祖の誰かがサメの人魚だったという事さ」
(※魚人と人魚の間に生まれる子どもは魚人と人魚どちらかになる)
デン 「魚人島では誰がどんな子を産もうと何ら不思議じゃないんだよ。だから君ら人間が姿形の違う者達を区別したがる気持ちが本来・・・僕らには理解できないんだ」
奇形についても、ワンピ読者はかなり耐性がついてきたのではないでしょうか。これで黒ひげの体がどんな”異形”(伏線→ティーチの身体が「異形」)であっても大丈夫ですねw
『ONE PIECE』第63巻、人種差別のアナロジーで物語に深み