海賊も保険に入るの?日本生命がアニメ「ワンピース」をCMに起用した理由
日本生命が3月下旬から放映しているアニメ「ワンピース」を起用したCMが話題を呼んでいる。10~20代を中心に絶大な人気を誇る「ワンピース」の訴求力に注目したものだが、「安心」が売りものの保険会社だけに、「保険会社のCMに“海賊”でいいのでしょうか…」と好奇のまなざしを送る同業者も。若者をターゲットにした新たなイメージ戦略は奏功するか。
「
おれモンキー.D.ルフィ。海賊王になる男だ。今度、日本生命と新しく仲間になったぞ」
3月23日に開かれた日本生命の新CM発表会。「ワンピース」の主人公、ルフィが突然、画面いっぱいに登場し、会場に詰めかけた記者らを驚かせた。
外資系ではアニメを起用しているCMもあるが、日本の大手保険会社のCMといえば、さわやかで安心感を与える女優、俳優が主流。日生も人気女優の綾瀬はるかさんを起用したCMなど3シリーズを4月から全国放映。そのうちの一つに初の試みとして「ワンピース」を起用した。
CMは日生がルフィに手紙を送る設定で、描き下ろしアニメと若者たちの実写映像とが交互に登場。「力強く未来を切り開いていくルフィを通じて、夢に向かって進む方々にエールを送りたい」(広報担当者)と説明する。
とはいえ、現実の世の中では海賊によるタンカー襲撃事件が起きるなど、保険会社にとっても「海賊」は脅威的存在だ。記者が「
ルフィは海賊ですが、保険に入れるのですか」と問い合わせたところ、同社広報からは、次のような毅然(きぜん)とした回答が寄せられた。
「ワンピース(ルフィ)の世界の中で重視されている、“未来を切り開こうとする姿勢”に対して共感をしているということです。決して、海賊を容認したり・海賊が保険に加入することができるわけではありません」
そんな異例のアニメCMの背景には、保険加入率が低下している若者を獲得したい、という日生の狙いがある。低価格な保険商品を打ち出す外資系やネット生保が若年層の契約数を伸ばす一方、日生の保険加入率は20代以下の若年層と60代以上のシニア層が低く留まっているのが現状だ。
また、平成12年からの10年間の死亡保障額の新契約をみると、新規参入の外資、損保系が大きくシェアを伸ばしているのに対し、国内大手生保4社のシェアは63%から39%、日生も19%から12%にまで落ち込んでいる。
CMの発表会に先立ち開かれた記者会見で、日生はこれまでの主契約と特約を組み合わせた形での保険販売をやめ、大手生保で初めてすべての保険を単品販売する形をとることを発表した。筒井義信社長は「増加するシニアや晩婚化が進む女性、保険加入が低下している若年層の潜在的ニーズは大きい」と多様化する顧客ニーズに合わせた戦略であることを説明。保険の単品化、低価格化により平成26年度までに新契約シェア1位の座を奪還することを表明した。
CMの3シリーズ展開はまさに多様化する顧客を取り込もうとした結果だ。異例のCMを「アニメ・ワンピースを企業広告のモチーフとした例はほとんどなく、挑戦といえる」として、日生ではターゲットの反応を見守っている。
(産経新聞)
やっぱり、ルフィは保険に入れないようです。
というか、そんなことわざわざ問い合せんな!w
【TVレポート】 日本生命CM 「ルフィへの手紙」篇