■思い刻まれた原画だからこそ伝わってくる 杉浦太陽・太雄兄弟と歩く
海賊たちの手配書が貼られた通路を抜けると、ルフィたち「麦わらの一味」の旅を追体験するパノラマシアターへ。キャラクターやセリフが巨大なスクリーンから飛び出してきて「すげー」と太陽さん。「心の中にドドン!と響きました」
ルフィが兄エースと共に戦う「マリンフォード頂上戦争」のブースは、大きなマンガのコマが、四方の壁から飛び出してくるような展示。ルフィとエースの前で杉浦兄弟も同じポーズ。
にぎやかなブースから出ると、エースの死を描く原画が飾られている。じっと見つめていた太陽さんが目元をぬぐう。「1枚1枚に思いが刻まれていて、原画だからこそ、伝わってくるものも大きい」
その後の「仲間シアター」はエースを失い、ぼろぼろになったルフィが、仲間の存在で立ち直るまでの映像が流れる。「めっちゃ泣いてるやん」と太雄さんにつっこまれ、再び涙をぬぐう太陽さんは「ええマンガやな」としみじみ。「おれは! 弱いっ!」と言うルフィは「自分の弱さを認めることで階段をのぼっていってる」と太陽さん。
再現された尾田さんの仕事机には、数冊のノートが無造作に置かれている。「今後の世界」「ONE PIECEの歴史」と書かれたノートを眺めて、「あれは映画用かな、次の話かな」と太雄さん。「尾田先生の頭の中はどうなってるんやろ」と太陽さん。「伏線がめちゃめちゃはってあるので、意味を考えながら読むのが楽しい」
「あれ? これ、朝読んだばっかり」。展示室のひとつに最新号の生原稿があった。ジャンプの発売にあわせて更新していく。「離れていてもつながっているのが仲間だ、と教えてくれる。ずっとこれからも続いてほしい」と太陽さん。2億6千万部を超すメガヒットマンガは、撮影現場でも盛り上がる話題だという。
「いろんな人とつないでくれる。まさにひとつなぎの大秘宝、ワンピースなのです」
ワンピースが好きな人にとって、原画はたまらない。ちょっと直したところが薄く見えたり、細かな線の表情まで見えたりして、ぐっときました。
展覧会の特別映像は、マンガやテレビを見ている感覚ではなく、ワンピースの世界に自分も入りこんじゃったという感じでした。子どもも楽しめて、すごく考えられているなと思います。
ルフィや、(ルフィが海賊にあこがれるきっかけになった)赤髪のシャンクス、(ピンク色の毛皮のコートを着た)ドフラミンゴたちは、着ている服がかっこいい。それぞれの個性にあわせて、ファッションもすごくこだわっている。
夫も息子たちもワンピースが大好き。好きなキャラクターが違うから、それぞれフィギュアを買うと、家中のフィギュアが100を超えてしまいました。
息子には「ルフィのように食べて、エースのような体になれ」と言っています。ワンピースを読んだり見たりしていると、心がタフになるし、愛情も冒険心も描かれていて、子どもにとってすごく良い教科書だなと思っています。
■愛読書の世界をじっくりと 岡本玲さん(モデル・タレント)
生の原画はなかなか見られないのでじっくり見ました。小学生の頃から読んでいて、友情もワンピースから学びました。笑顔、涙、温かい気持ち、すべてある。一番泣いたのはメリー号との別れ。展覧会でも思わず泣いてしまいました。愛のマンガだと思います。
■息子より先に泣くわけには 佐藤弘道さん(タレント)
笑いあり涙あり、ぐっと心に響く。予想以上の展覧会でした。小学生の次男と来ましたが、エースが死ぬ場面はお父さんが先に泣くわけにはいかないと我慢しました。マンガを通して親子で会話でき、仲間との絆の強さにもみんなが共感を持つのではないでしょうか。
■最初のブースから興奮した 濱田岳さん(俳優)
最初のブースから興奮しました。ルフィのやんちゃで、ぶれないところにひかれます。一癖も二癖もある仲間との旅にもあこがれます。美しいナミやロビンが顔をぐしゃぐしゃにして泣くのに心を打たれ、こういうことで人の心は揺れるのかな、と思いました。
(朝日新聞デジタル)