3年間、劇場版の長編を待ち望んだ「ワンピース」ファンが、全国の劇場に殺到した。シネコンが広がり予約、入れ替え制の劇場が主流の昨今では異例の行列が、全国各劇場でできた。15日午後7時時点までの上映回のチケットが、全国の映画館で完売したという。09年の「STRONG WORLD」の188館の1・5倍強の300館に公開規模を拡大したが、それでも全国で満席が続いた。
東映60年の歴史を大きく塗り替えた。配給収入から興収に切り替わった00年以降、東映の持つ初日の興収最高記録は前作「STRONG WORLD」の5億5300万円だったが軽々上回り、同作の2日間の興収10億3800万円突破も確実。05年の「男たちの大和 YAMATO」が記録した、同社の興収記録51億1000万円超えは完全に射程内に入った。
今年の邦画界にも地殻変動を起こしそうだ。出足では公開2日で動員77万1764人、興収11億3100万4600円を挙げ、今年のオープニング週末興収1位の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」を抜き去るのは確実。公開3日で興収11億1917万1350円を挙げ、今年最高の興収73億3000万円を記録した「BRAVE HEARTS 海猿」もスタートで上回り、12年NO・1に躍り出る可能性も高まった。
驚異的なヒットの要因は3つ。
(1)連載開始当初から熱烈なファンの、放送作家・鈴木おさむ氏(40)が脚本を担当し、主人公モンキー・D・ルフィら“麦わらの一味”の新たな敵としてNEO海軍を作るなど、ファン目線で見たい物語を書いた。
(2)原作の尾田氏が総合プロデューサーとして完全監修、NEO海軍に本家・海軍の歴史を絡めるなど流れが原作と1つになり、さらに世界観が深まったこと。
(3)単純な勧善懲悪ではない信念のぶつかり合いという新機軸に、原作とアニメそれぞれのファンが期待を寄せたことが考えられる。
日本映画の歴史を変える足音が聞こえ始めた。
◆ワンピース 漫画家・尾田栄一郎氏が、1997年(平9)8月4日発売の集英社「週刊少年ジャンプ」34号で連載を始め、今年で15周年。コミックス68巻までの累計発行部数は2億8000万部超で、67巻で記録した初回発行部数405万部はコミックス史上、初版発行部数の日本記録達成。テレビアニメはフジテレビ系で99年10月20日に放送が始まり、今年で13年目。歴代最高視聴率は16・3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、世界28カ国で放送されている。
◆興収記録 初日では04年の「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」(ピーター・ジャクソン監督)が約51万人を動員した。09年の「アバター」は初日だけで4億円を突破している。01年のアニメ映画「千と千尋の神隠し」は興収304億円、動員2300万人の邦画記録を持っている。
(日刊スポーツ)
そいつぁ~すげーや。
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