【映画】 オフィシャル ムービーガイド 【Z】
集英社発行の『FILM Z』公式ムック本。内容はアニメ設定画を交えた
キャラクター紹介とあらすじが分かる本編カット&映画資料(美術ボード)の
グラビアページ、
関係者インタビュー、
原作のストーリーガイドが主で、それぞれ全体ページの3分の1程度を占めています。
集英社発行のため、ストーリーガイドは原画をふんだんに使用した美麗な構成ですが、まぁ不要です。映画導入まで、すなわち原作が新世界に突入するまでの丁寧なストーリーの説明というわけですが、本当の意味でのワンピ初見の方のための映画ガイドなら、もっとちゃんと説明するべきことがたくさんあったはずなのですが・・・(例えば、バトルシーンで肝となっている武装色の覇気の説明がほとんどされていません。覇王色の覇気の具体的な説明も)。発売日は映画公開前ということもあり、ネタバレは極力抑えた内容で、映画本編について深く解説している本ではなく、位置づけとしては映画パンフレットと同等な感じです。
ここでは、本誌掲載のインタビューの内容を抜粋してご紹介します。なるべく当ブログのZ関連記事で未出のものを選んでいるつもりですが、
どれが既出でどれがそうじゃないか、もうわけが分からなくなってきましたw
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脚本・鈴木おさむインタビュー(4ページ)
―― 大変だった所、逆に楽しかった所はありますか?
鈴木:尾田さんからのオーダーで「ゼットという敵をとにかく強くして欲しい」と言われたんです。「登場して10秒でこの敵ヤバいぞ、って思わないとダメだと思います」って。確かにそうなんですよね。原作がそうなってる。『ONE PIECE』を読み返してみると、「うわっ、ヤベぇ!!」っていうのが、数ページでわかるようになってるんです。だからゼットを、どうアイキャッチがあって、どう強く見せるか、という部分で頭をひねりました。ビジュアル面でも、腕にガトリングガンをつけるとか、色々なアイディアを出して作ったんですけど・・・
でも強くすればするほど、ルフィは勝てないわけじゃないですか。僕がすごく『OP』好きな理由の一つとして、主人公のルフィが魅力的であり続けている、っていうのがあるんです。漫画って連載が重なっていくと、サブキャラがどんどん立ってきて、人気投票とかで1位になったりするんだけど、
『OP』がすごいのって、みんな結局ルフィが一番好きな所だと思うんです。しかも、ルフィはあの世界で一番強い存在じゃないわけですよね。他の漫画と違って、『OP』って俯瞰で見ると、ルフィが一番すごいわけじゃなくて、もっとすごいヤツがいる。ルフィが黄猿に対して「おれ達じゃ勝てない」って言ったりするんです。そこが僕、すごく好きなんですよ。
だからこそゼットを強くすればするほど、ルフィが勝つのって嘘になるじゃないですか。
―― ルフィが勝てないほど強い敵に、ゼットがなっていったわけですね?
鈴木:そうなんです。強くすればするほど、尾田さんが「良いキャラクターになってきましたね」って言ってくれるんだけど「
で、どう勝ちますか?」
って言われた時「
どう勝つんだろう?」
って自分でも思いました(笑)。
―― その問題は、どうやって解決していったんですか?
鈴木:海軍大将にルフィが勝つには理由が必要。その理由を皆で話し合って、こうだ、ああだと意見が出るんですけど・・・なかなかまとまらなかったんです。実際、原作でもルフィはマゼランに勝ててないし、『サバイバルの海 超新星編』の後半は、敵わない相手ばかりですから。僕らも悩みまくって・・・
でも、後半になって尾田さんが、かなり色んなアイデアをくれたんで、何とか・・・。
―― 今回の映画の見どころはズバリどこでしょうか?
鈴木:(前略)それから、個人的に推したいのはパシフィスタですね。
僕、クマが大好きなんです。特にシロクマ。
だから、「白くま」っていうのが出てきたらいいな~って、前からずっと思ってたんですよ。
白いバーソロミュー・くまだから、白くま・・・そのネーミングだけでもう、ワクワクしてきませんか(笑)。この『FILM Z』は、とにかくそういうワクワクが、ぎっしり詰まった映画だと思います。
※ということは、おさむさんはベポが大好き!?「白くま」は可愛くありませんw
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監督・長峯達也インタビュー(6ページ)
―― 今回が『ONE PIECE』に初挑戦となるとお聞きしています。どういった経緯で関わる事になったのでしょうか?
長峯:経緯と言うのとは少し違うのですが、
ある頃からか僕は、いずれは劇場版の『OP』の監督をやると思っていたんですよ、勝手に(笑)。テレビシリーズのアニメ本編とは関わってなかったのですが、
勝手に脳内でネタを仕込んでいまして、こんなのやろうかな?・・・みたいな感じで考えていたんで、心の準備はできていたんですよね。
※長峯監督が脳内で考えていた劇場版の初期設定
長峯:能力者に親を殺された普通の少年が努力して、わずかな武装色の覇気を一点に集中して能力者を倒す事ができるようになるんです。でも、覇気を集中していないところは、一般人より防御力が低いという設定なの。その主人公が、能力者を狩ろうとするんです。彼は、新星のルフィを妬み、憎み、狩ろうとするんだけど、戦いの末、主人公はルフィが「能力者」という怪物ではなく、夢を持つ青年であると知って和解するなんて妄想していました。でもその青年が、悪い人にだまされて悪魔の実を食べちゃって怪物になり、ルフィに倒されちゃうの!
―― 本作の音楽についての想いは?
長峯:音楽を担当してもらった
田中公平さんに関して言うと、もう「田中祭り!」という位の勢いで、お世話になりました。今回の作品では、鈴木おさむさんに詞を書いていただいた”海導”という曲がとても重要になるのですが、実は、冒頭のゼットが歌う場面では、仮の歌が映像の尺に合わなかったんですね。そしたら、その場でピアノで伴奏をつけてくださって。コンテや映像をじっくり観てくださっているので、ストーリーの展開に合わせて音楽を転調してくれたり、緩急をつけてもらったりと、本当に演出面では音楽の力に助けられています。
―― 長峯監督自身も、コンテに「音楽」の指定を結構入れてらっしゃいます。
長峯:
音楽の使い方に関しては、コンテより前のシナリオ段階で考えるようにしています。僕の師匠が『ドラゴンボール』の劇場をずっとやってた山内(重保)さんなんですけど「音楽はある程度前奏があってサビがあるから、聞かせたいなら最低でも40秒以上音楽を流せる尺を作らなきゃいけない」と。アクションシーンで、いい音楽を流そうと思った場合、アニメの1カットってだいたい2~3秒ですから、60カット以上になっちゃうんです。だから、コンテが厚くなっちゃう。
―― アクションの部分での演出的な「こだわり」はありますか?
長峯:やはり、原作を読んだ時の「イメージ」をそのまま動画で再現したいんです。とは言え静止画を動画にするのって、ものすごく難しい作業なんですね。
ゾロの三刀流をどう表現するか考える為に、自分でやってみたりしたんですけど。
本物の刀を噛むと歯が折れちゃうから、スポンジの刀を噛んで実際に動いてみてね・・・「うまく振れない!」とか(笑)。そういう部分を、リアルにするか、イメージを光や音の効果で表現するのか。いろいろな手法を使って原作を映像に置きかえる事が、マンガを映画にする上で難しいけれど一番楽しい部分です。
※「うまく振れない」・・・3本目の刀は、口にくわえる為横を向く。すると、右腕の太刀筋を邪魔するので、「うまく振れない」・・・。三刀流の一連の動きを演出するには、両手の二振りの刀の軌跡が、口にくわえた刀をかわす形にする必要があるのだ!とのことw
―― 監督だから知っている隠しネタがあったら教えてください。
長峯:”海導”という歌はですね、極限まで戦って死んでいく海兵はいい・・・という歌詞なんですけど、その裏には、教官達がわざと恐ろしい歌を作って、教え子達がビビって死なないように一生懸命訓練して、最終的に死なないでいてくれたらうれしいなって想いを込めたんです。劇中では、最初にゼットが歌って、次に青雉が歌って、最後合唱になるんですけど・・・。
最後の合唱で、音楽の田中さんが僕にも「歌え!」って仰ったので、歌ったんです(笑)。・・・って、お客さん的にはまったくうれしくないネタですよね。そうだなぁ・・・あっ!ロビンとナミのセクシーシーンは、セクシーシーンが得意なアニメーターさんがね、ある1週間だけ奇跡的に空いていたので、お願いして描いてもらいましたっ!
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ゲスト声優・篠原涼子&香川照之インタビュー
―― すでに映画をご覧になったそうですが、いかがでしたか?
篠原:とにかく「かっこよかった」の一言に尽きます。オープニングでタイトルバックが流れた瞬間、今から麦わらの一味の冒険が始まるという感じがして、鳥肌が立ちましたね。あとはやっぱり、
自分が演じているアイン登場のシーンは極度の緊張で心臓がずっとバクバクいってました。「
もっと声を低くして演技をすればよかった~」などと色々考えてしまって、あまり集中して観れなかったかもしれません。映画を改めて見直すと、反省点がいっぱい出て来てしまいますね(笑)。
―― 香川さんは映画のどこに注目してご覧になりましたか?
香川:僕はやっぱり、ルフィとゼットが動きまくるラストの戦闘シーンです。『OP』の長編映画は三年ぶりという事で、バトルはもちろんですが、ストーリーもかなり気合いが入っていて、安心して観ていられました。
声を担当したビンズを中心に観ると、あっという間に、麦わらの一味に倒されてしまいましたが(笑)。全体を通して観ると、ルフィとゼットの衝撃的な出会いから、どうやってルフィが立ち向かっていくのか、よく詰まった100分だなぁと実感しました。
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”麦わらの一味”声優座談会
※田中真弓、中井和哉、岡村明美、山口勝平、平田広明、大谷育江
―― 尾田さんとも仲良しの皆さんですが、最近も、尾田さんとの間で面白いエピソードがありますか?
勝平:
尾田さんもぼくらと同様イタズラ好きで。僕らの写真を加工したものを添付して、メールで送ってくれるんです。とっても嬉しいんですけど「マンガ描かなくていいのかな・・・」と、少し心配になりますね。
平田:僕ね、それ本人に言ってますよ。朝送って来たのに、その後にもすぐ来たから「ちょっと!?大丈夫?」って返信したんですよ。そうしたら「
今、マンガを描いたら負けのような気がします。僕は今、マンガに逃げるわけにはいかない」って。何と戦ってるんだ!?
一同:アハハハ(爆笑)
勝平:尾田さんの家に遊びに行った時、仕事場を見せてもらったんですけど・・・。部屋がどんどん、遊び場なのか仕事場なのか、わからない感じになってて。ヘラクレスオオカブトがいたのは、さすがにうらやましかったなぁ。
大谷:本物の!?生きてた?
勝平:生きてた。大きなヤツでしたねー。
平田:あそこで仕事してごらんよ。絶対手につかないよ。
大谷:お手洗いに行ったら、ジョーズに食われるしねー。
勝平:ホントに、遊園地みたいだよね。昔の時代劇とか西部劇のDVDなんかも山のようにあって、緻密な資料と遊び心がいっしょくたになってる感じが『OP』らしいなあと思いますね。
田中:でも、声優の仕事をずっと続けていても原作者の方とここまで仲良くさせていただいているのって、初めてですよ。
平田:
あれほどの売れっ子作家に「マンガ描け」って言うとは思わなかったよ。
※ヘラクレスオオカブトについては
こちら。
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尾田栄一郎スペシャルインタビュー
―― そこからは(※総合プロデューサーという肩書きを貰ってからは)急激に、関わりも深くなったんですね。
O:はい。責任が生まれたんだと思ってからは、やれる事をとにかくいっぱいやりましたね。
キャラデザインも最初はやる予定じゃなかったけど、もう全部やるよ、と。やるしかない。例えばポスターイラスト一枚描くにしても、他人の考えたデザインで描きたくなくなっていた。人任せでは、自分自身が納得できないんです。
―― 船上服は、どういう流れで描かれたんですか?
O:
オープニングは普通の一味の衣装で、という予定だったんです。でも映画だから特別感は出したい。
描きますから、ってまた余計な事を言っちゃって(笑)。そして勝手に話まで作った。そもそも服をデザインする為にはストーリーが必要。僕の場合は、何をしてるからこういう服を着てるっていう理由がほしくなる。何もなくて、かっこいいデザインだけ作っても自分が楽しくないんです。
―― それで生まれたストーリーが、麦わらの一味の花見なんですね。
O:あれは、
ちょうどスタッフの花見があった春の時期で。
盛り上がった気持ちのまま、勢いで描きましたね・・・。真冬に公開される映画なのにね(笑)。
―― 前作『STRONG WORLD』とは作業が全く違ったと思うんですが、もっとも大きな違いは、どの辺にありましたか?
O:前回はストーリーから考えたわけですが、今回は根本となる”脚本”を書いてない。なので
前回はやらなかった様な、細かい確認はたくさんやりました。映画本編だけじゃなくて、前売券につく特典や入場者プレゼントとか細かいものも。ここまでやらないと、総合プロデューサーという肩書きを貰った身としては納得できなかったんです。
『SW』は、話を考えて、クリーチャーを描いてと、映画を内側から広げて行きました。
今回は外側からゴーーッとおさえる感じで『OP』にしていった気がする。
※前売券につく特典→
【映画】 プレゼント付前売券 第2弾 -前売ペン- 【Z】
※入場者プレゼント→
海賊の宝袋って?
―― それでコンテの段階から、細かく見ていったんですね。
O:前作は、一回も絵コンテを見てませんからね。真逆ですよ。基本は監督にお願いしてたので。大事なシーンだけは、自分で書いて渡したんだけど。
―― マンガを描いてて、よかったなと思う瞬間は?
O:普通に描いて、自信を持って「面白いでしょ」と送り出したものを、読者に「面白い」って言われたら一番うれしいです。
―― 読者の反応は、どこで伺うんですか?
O:
ジャンプに届いてる、ファンレターですよ。これ、本当にありがたいなと思いますよ。今まで15年、毎週必ずいただくわけです。これってものすごくありがたい事じゃないですか。
だから1通も処分しないでいたら、うちに収まりきれなくなっちゃった。
だからマンションをひと部屋借りて、そこがダンボールだらけになってます。
―― 全て目を通しているんですか?
O:もちろん、そうです。僕の元気の素です。それがないと漫画家はやってられませんよ。人と接する機会が、とても少ない職業なもんですからねえ。
コミックスに書いている質問コーナーも、だから意地でやってます。あれをやめたらがっかりする子ども達がいる、と考えたら、手は抜けません。コミックスを買った読者にがっかりされない様に、ずっと続けたいと思ってます。いつまでも子ども目線のノリで”近所のお兄ちゃん”っていうイメージでずっと行きたいですね。・・・いや、もうすでにおっさんですか、いつの間にやら(笑)。でもあのコーナーのおかげで、子ども達が身近な言葉で手紙をくれるんです。だったらそのイメージ通りに返信してあげなきゃいけないですよね。
というかあれは単純に、書いてて楽しいんですよ(笑)。
T .~ルフィ(尾田栄一郎)VSゼット(長峯達也監督)~
週刊ONE PIECE新聞って?第4週
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