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スタッフインタビュー
<原作・総合プロデューサー 尾田栄一郎>
―― (青雉のほか)2年後の海軍キャラたちの様子を描いているところも、原作ではまだ見せていなかった部分ですね。
O:コビーとか、初登場組がどんどん出てきましたね。
僕が原作で初登場させた時に、ちゃんと読者に”初登場”と思ってもらえるのか心配ですけど(笑)。そういう意味では、今回も(『SW』同様)原作と一部がリンクした作品になったかと思います。
―― 尾田さんの中では、ゼットというキャラクターをどう捉えていましたか?
O:僕なりの答えとしては、ゼットはもう”海賊”と言ってもいいんじゃないかなと思っています。そうでなければ、最後に同調する気持ちは湧いてこないだろうし、自己犠牲的な姿もありえない。子供の頃に思い描いたヒーローには、戦う相手として無条件に悪い奴、つまりハッキリ”黒”と決まっている奴がいて、そいつをやっつけることが目的だった。でも、大人になったら”グレー”が現れるんですよ。そいつをどうしたらいいのかわからない。そういう葛藤を続けた人がゼットだと思うんです。結果、彼は”白”も”黒”も”グレー”も潰してしまえという答えを出してしまった・・・。
子どもの頃のヒーロー像を貫いたら、自分自身が化け物みたいになっていた。それこそが、海賊ならではの在り方かなと思うんですよ。だから、ルフィともどこかで分かり合えた。もしかしたら最初から海軍には場違いな男だったのか、彼の身に起きた出来事が怪物に変えてしまったのか・・・。いろいろあったけれど、最終的な姿は海賊だったんじゃないかなと僕は思います。だからこそ男から見て、カッコイイと感じるんだろうなと。
ゼットのデザインを充分に活かしきっていただいて、こんなに存在感があるキャラクターになったことは、嬉しい驚きでもありましたね。
―― ルフィたちの海賊服をはじめ”赤”がイメージカラーになっていますね。
O:
『STRONG WORLD』は黒だったから、今回は赤。わかりやすいでしょ?(笑) 最初の設定画を描いた時から、赤だけは色を塗って渡していたんですよ。「ここは赤にします」って。作品全体を、そのイメージで行こうと思って。映画の中で動いてみると赤が効いていて良かったなと。イメージカラーとして、うまく活かしていただいた感じになりました。
―― ゼットの部下・ビンズが斬新なデザインでしたね。
O:ビンズは演じる香川照之さんが面白かったけど、香川さんを彷彿とさせなかったところが、むしろ贅沢でいいですよね(笑)。デザイン的にはまず「忍者」というキーワードがありました。
で、忍者だったらショッキングピンクだという思いが僕にはあったわけです。
忍者で普通に黒だったら「僕がデザインしなくてもいいんじゃないの?」っていう気持ちになりますから(笑)。仕事をした気がしません。あと、細かいところは派手にと、いろいろな指示を書き加えておきました。個性的なシルエットで描くというのはいつものことですけど、影で誰なのかわかるっていうのも大事ですからね。
―― 「正義」について問われているような、深いテーマも感じさせますね。
O:そうですね。
大人の方にはどんどん深読みして、こちらでも考えていなかったようなイイことを言ってほしいですよね(笑)。でも、明確なテーマがあるっことは間違いないので、そこはいつもより鮮明じゃないかなと。自分なりの受け取り方で受け取っていただいても構わないですし、何かを考えていただく映画になったんじゃないかと思います。
―― 最後に、前作『SW』のパンフレットでインタビューさせていただいた際には、今後アニメ制作に関わることについて「もう二度と罠にはハマりません」とおっしゃっていましたが、今のお気持ちは・・・?
O:
今後もどうかと聞かれれば正直イヤですけど(笑)、心のどこかに諦めの気持ちもあるんですよ。また引きずられて、罠にハメられてしまうんだろうなって・・・・・・
でも、やっぱりイヤです!漫画に集中したいので、もう二度とやりません!
<監督 長峯達也>
―― あえて、気に入っているシーンを挙げていただくと?
長峯:ひとつは、
ブルックの変身が戻るシーン。その前に、ナミやロビンのセクシーなシーンがあって、最後にブルックがセクシーにまねをして「いやー!戻っちゃうー!」と言うのが、一番重要なんです。
やりたかったの(笑)。ナミとロビンが前フリですから(笑)。あとは、なんといってもクライマックスです。ルフィとゼットがふらふらになりながら意地と意地をぶつけ合って戦う。音楽をあえて流さず、とにかく殴り合いの音と「うぉー!」の声だけで見せていこうと。5.1chだし、劇場に流れる重低音の殴り合いの音も楽しんでもらえればと思います。あとはビンズのキャラを見てください。僕の演出を超えて、香川照之さんはもちろん、作画さんが頑張ってくれて、面白おかしく作ってくれました。
<脚本 鈴木おさむ>
―― 『ONE PIECE』ファンとしては、、どんなところにこだわりたいと思われましたか?
鈴木:(前略)そのほかのポイントとしては、麦わらの一味の仲間がちっちゃくされちゃうということ。
単純に可愛くて面白いし、ちっちゃくされたが故にパワーが出せなくて、コミカルになるのがいいなと思ったんですよね。
さらに、それがフィギュアになると楽しいかなと。
映画を観た後にフィギュアが欲しくなるというのは、『ONE PIECE』では結構大事な部分じゃないかと思うんですよね。僕自身も欲しいですし(笑)。
※バンプレスト アミューズメントプライズ 2月登場
―― ゼットというキャラクターには、どんな思い入れがありますか?
鈴木:尾田さんからゼットは子供たちがすぐに名前を覚えられて、すごく怖いと思うようなキャラクターにして欲しいと言われました。
だから名前には散々悩み、周りからもいろんな案が送られてきました。
そこで僕が気づいたのは、『ONE PIECE』にはアルファベット名のキャラが少ないなということで、「海賊を逃げられないところまで追い詰める男」というイメージから最後のアルファベット「Z(ゼット)」にしたんです。そのうちスタッフのみんなが「ゼット」という名前を共通認識として使ってくれ、「これでいいんだな」と思い、
”黒腕のゼファー”という二つ名も付けました。映画のサブタイトル案もいろいろあったんですけど、最終的に尾田さんが「『Z』で」と言ってくれたのは嬉しかったですね。
<作画監督 佐藤雅将>
―― 『SW』に続き、作画監督を担当されるのは二度目でしたが、今回は”初”の要素が多いですよね。新キャラクターのゼットはいかがでしたか?
佐藤:原作がない分、尾田さんの描いた元絵1枚に濃縮されているので、悩むことはなかったです。ただ、はじめの頃、僕の中ではゼットがサングラスをかけているイメージがなくて。表情芝居をさせにくいかなと思いましたが、別の芝居のさせ方や演出を考えるようになりましたね。最終的にはゼットはこれしかないと思うようになりました。
―― 男たちばかりの温泉シーンも印象的でしたが・・・。
佐藤:
女性ファンへのサービスです(笑)。男のほうが、僕は照れなく描けますけどね。サンジは、タオルを巻いたところの横側がポイントです(笑)。
―― アクションシーンでは、キャラクターが荒々しいタッチで描かれていましたが、輪郭線の太さなどは意図的に変えていたのですか?
佐藤:そうです。
とにかくラストの殴り合いはぶっとく描こうと。古臭くなってもいいので、タッチとかガーッと入れて。鉛筆を寝かせて描いたり、中には2重線を引いて、その中を黒く塗りつぶす場合もありました。そこまでの2回の戦いはラストを盛り上げるためのものでしかなかったのですが、担当の原画の方が頑張って、いいシーンにしてくれたので
「あ、これを超えなきゃいけないのか」という感じで大変でした(笑)。大変だったけど、シーンとしてはもっと長くても良かったかな。
<美術監督 小倉一男>
―― 今回の劇場版では、どんな世界観づくりを意図されたんでしょうか?
小倉:長峯監督は、新世界というのはあまり意識されてなくて、アクション主体に見せたいので美術はリアルな感じにしたい、ということでした。
監督が先にロケハンしていた九州に僕らも行って、火山などを見て、いろいろイメージを膨らませていたんですが、途中、線画だけ動かす仮のフィルムを見せてもらったら、1カットの中も、ルフィたちがものすごく動いてるわけですよ。短い尺の中でこれだけ動くなら、背景は描き込まないほうがいいのかもしれないとも思いました。美術というのは裏方で、要は、その背景の中で、キャラクターが活き活きと魅力的に見えればいいわけです。だから、たとえば
ルフィとゼットが対決するカルデラの溶岩などは、あえてゴツゴツな感じにして、キャラクターの緊迫感を際立たせたほうがいいし、そうではない日常芝居が描かれる温泉街やドックの辺りには、遊びの要素も欲しいから描き込んでも楽しい。
そうやってシーンによって変えるようにしました。空想世界の奇抜さはないけれど、今までとは違う世界になったんじゃないかと思います。今までとは言っても、僕ら『ONE PIECE』世界に参加するの、今回が初めてなんですけどね。
※火山=阿蘇山(熊本県)
―― 美術は、尾田さんのご指名だったと聞いています。
小倉:顔合わせで一度お会いした時、イメージボードや設定を持っていったんです。すると
「ダイナ岩の保管庫」の設定を見て、この部屋の電気はどうなってるんだろうとか、「海列車」のエネルギー源はこの場合、石炭なのかどうかとか、いろいろ僕らが聞かれたり、尾田さんが解説したりしてくれるわけです。尾田さんが、ものすごく『ONE PIECE』を愛しているのが伝わってくるわけです。映画を面白いものにしないと、観てくれる人に失礼だという気持ちがある。このとき初めて、
尾田さんが草薙の出している画集を見て、今回の映画に推薦してくれたと聞いて、嬉しかったし、身の引き締まる思いでした。
※草薙=アニメーション美術画制作会社。最近では、アニメ「新世界より」などを担当。
ダイナ岩の保管庫
―― 美術的に気に入っているシーンを挙げていただくと?
小倉:やっぱり最後のルフィとゼットの対決シーンでしょうか。
カルデラの背景を光の当たり方などでいろいろ描き分けています。あと、青雉がゼットに酒を渡すあの場所は、墓地なんですね。後ろに海兵たちの墓標が見える。
最後のシーンも同じ場所なんですが、墓標をひとつ増やしてるんです。情景としても好きなシーンです。
※墓標(スマッシャー)が増えているラストシーン
<美術設定 須江信人>
須江:私が担当した「美術設定」というのは、舞台となる町並みや建物、自然、または小物など、キャラクターやメカニカルなもの以外の設定を描き起こす仕事です。線画なので、これに色や質感を加えて背景などができあがっていきます。普通、メカはやらないんですが、
今回の帆船ホワイトタイガーや海列車などは、僕らのほう(※草薙)
で作りました。海列車でCGで動きますから、線画に色付けしたものをモデルに、CG担当者が3D化しました。
劇場版はオリジナルストーリーですが、『OEN PIECE』という原作の世界観との兼ね合いを考えると、新しく設定を起こすというのは、当初は手さぐり状態でした。でも、
尾田さんとお会いして、劇場版は別物と考えていい、ということだったので、結構自由に描かせてもらった部分もあります。
海軍本部の基地などはそうです。マリンフォードにあった、あの甍の屋根の本部とも違い、赤犬が新世界に移したと言われる海軍本部でもなく、この映画用に作ったオリジナルの基地。当然、尾田さんの原作にも出てきません。
また、こんな設定があっても面白いかなと、描いてて楽しかったのは温泉街の町並みです。
川が流れているところのモデルは、長崎の「眼鏡橋」辺りです。
あの川沿いの石垣には有名なハート型の石があって、映画の背景にも1か所入れてみました。ナミが逃げてくるシーンでちょこっと見えるはずですから、スクリーンで確かめてみてください。
温泉街の美術ボード
※すでにハートの石が!
「眼鏡橋」(長崎県)
※日本最古のアーチ型石橋
護岸の石垣にあるハートストーン
(眼鏡橋→画像:twitter
@onepiece_kun)
<ビジュアルコーディネーター 辻田邦夫>
辻田:ビジュアルコーディネーターは、各設定などの色を決める色彩設計のほかに、物語の流れに沿って色調を考え、作品全体のビジュアル面での統一をはかっていく仕事です。必要であれば、各スタッフ間の調整役も担います。たとえば、
コンテ上は昼のシーンでも、物語を盛り上げるためには夕方から夜の出来事にしたほうがカッコイイのではと思えば、監督に提案し、こんな気象条件で、ヒカリの加減はこんな感じの夕景でどうでしょうかと、作ってみます。OKであれば、それを制作の各セクションに伝えていくわけです。また、今回は尾田さんから「これは赤ですね」というお話がありました。決戦服の赤、血の赤、マグマの赤、赤がこの作品を象徴する色になっていますが、ひと言で「赤」といってもいろんな赤があります。それぞれの赤が活きるように、時には画面のほかで赤を使わない、時には暗めのトーンで背景を作ったりと、効果を上げる方法を心がけました。
全体的にいい感じに仕上がったと思うので、好きなシーンはたくさんあります。
温泉の島の砂丘でゼットと海軍のキビンが戦い、そこへルフィたちが来る、夕景から夜への時間経過は、自分でも気持ちのいい流れになりました。
<音楽 田中公平>
田中:
私は作曲に取りかかる時に、絵コンテ、資料など出来る限り頭に叩き込んで作業に入ります。今回も例外無く、絵コンテを読ませていただいたのですが、前作『SW』のそれにも負けず劣らず非常に密度が濃い絵コンテだし、感情を揺さぶられる箇所がたくさんあり、同時にセンシティブな作品だ、との印象を持ちました。
尾田さんとは長い付き合いですし、大体何を望まれているかは察しは付いていますので、特にお話はありませんでした。長峯監督とは、音楽打ち合わせを入念にやりました。「新世界」だからと言うより、この映画に一番マッチした曲作りに専念し、ゼットの感情に出来るだけ寄り添った楽曲制作がこの作品に一番合っていると思いました。
最後の『海導』の大合唱は、レコーディングの際に素晴らしい音楽的な化学変化がありましたよ。最後の曲で、涙!感動!間違い無しです。
<音楽 浜口史郎>
浜口:私が担当した曲は大半が打ち込みで作っているので、それに向いている曲、具体的にはパーカッションなどのリズムが立った曲やエスニック調の曲などを主に担当しています。
(中略)今回「新世界」を特に意識したわけではありませんが、『ONE PIECE』の長い歴史と一緒に、自分の音楽制作のスタイルも変わってきたこともあって、テレビ放送が始まった頃と『FILM Z』の音楽とでは、必然的に大きく違ったものになっていると思います。
お薦めは、最後の島へ乗り込むときの音楽(
サントラの「いざ!決戦の島へ」)。
打ち合わせの時「
テレビシリーズの一番最初の録音で作った『追いつめられた』という曲のイメージで新世界版に」
と、作った曲です。セリフ入りの映像を観ながら作ることができたのですが、このシーンはかなりワクワク感があると思います。
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キャストインタビュー
※写真がやたらと格好いいw
<ルフィ役 田中真弓>
―― 青雉も登場しますが、ルフィたちとの関係性が面白いところではないでしょうか?
真弓:青雉の登場は目玉ですよね。『ONE PIECE』を大好きな人たちなら「おお!?」ってビックリするような。入浴シーンで青雉に会ったルフィたちが「うわあぁぁ!」って驚いてるけど、私もビックリしましたもん。青雉と会っちゃったよ、一緒に風呂入っちゃったよ・・・みたいな。裸の付き合いなんて考えられなかったけど、今回は本当に青雉の描かれ方がいい感じじゃないですか。
だから私はこの先、青雉を船に乗せようとか思って。青雉が乗ったら最強だしね。でも、
あんまりそういうことを言うと、スタッフから「あなたが言うと影響力が強いから言わないで」って言われちゃうんだけど(笑)。
―― 今回は若返ってしまうメンバーもいました。
真弓:ロビンの場合、12年戻るっていうのが中途半端で微妙なんだけど、
元に戻るところの由里子ちゃんの「んん~~!」っていうお芝居が本当に面白くって。あのため息と、うなり・・・。12年若返っていたのが元に戻るって、そういう気分なのかなと(笑)。
<ゾロ役 中井和哉>
―― 印象に残っているシーンは?
中井:チョッパーがゼットを助け、そいつが目を覚まして「ああ、どうやらタダモンじゃねーぞ」ってわかった時の、
ゾロとサンジのさりげない会話がカッコイイですね。厄介なことになるんじゃないかなって薄々感づいていた。でも、チョッパーは信念を持って助けたし、船長も認めたことだから口出しはしない。どうやら俺らの出番が来そうだよ、鼻血くん・・・みたいな(笑)。その辺の会話が、すごく大人だなと思いました。後でチョッパーに対して「謝るな」と言うあたりも含め、ゾロのこの一味に対する考え方が現れたシーンでもありますね。
―― 今回は若返ってしまうメンバーもいました。
中井:ナミに関しては本当に聞いてみたい。誰の趣味なんだと(笑)。明らかに変身魔女っ子モノっぽくて、ちょっとおかしいぞと。ロビンは「僕、ロビン好きなんだけど大人の女すぎて手が届かないや」と思ってる君に朗報です。ロビンの魅力はそのままで君の身近に!みたいな感じです。
チョッパーは・・・かわいいなぁ~、5ちゃい!(笑) 服に着られてる感が更にズルいですね。あと一人は、別にどうでもいいんじゃないかなと(笑)。
―― ゼットについては、どんな印象をお持ちですか?
中井:(前略)
さらにキャスティングが、ほんっとに素晴らしい!大塚芳忠さんが演じられることによって、やたら強くて酷いこともしようとしているんだけど、ただの荒くれ者じゃないって思わせる品が醸されますよね。
<ナミ役 岡村明美>
―― ナミにはモドモドの能力で12歳若返るというエピソードがありますが、その展開を知った時はどう思われました?
岡村:最初に監督とお会いした時、「今回のナミは変身します」って言われたんですね。しかも「
魔女っ子みたいに変身して、チョッパーが妖精みたいになります」って言うから、
私の頭の中では「
プリキュアみたいに変身して、チョッパーが肩の辺りに飛ぶのかな」
みたいなイメージを思い描いていたんですよ(笑)。実際はちょっと違いましたけどね。
<ウソップ役 山口勝平>
―― ウソップのコスチュームはいかがでしたか?
勝平:ああいう絵を見ると、ウソップは本当に愛されているというか、得なキャラだなと思います。新世界編に入って、すごく強くなったから「おいおい、カッコよくなっちゃって・・・」と思うこともあるんですけど、今回の船上服とかヒゲを付けている海賊姿とか見ると、本質は変わってないなと。遊び心が満載なウソップなので、こういうファッションも楽しんでいると思います。僕もあのサメの帽子とか、すごく欲しいですもん(笑)。
<サンジ役 平田広明>
―― 小さいナミの成長過程を見られるかもと、サンジはワクワクしていましたが・・・。
平田:
ちょっと歪みを感じましたね(笑)。女性だったら、動いてりゃなんでもいいんだみたいなところがあるでしょ。でも、実は彼には彼の美学があったんだと、それがわかっただけでもホッとしたような。ただ、言ってることは、ものすごい変態。
いろんな誤解を受けるだろうから「
この野郎、爆弾まきやがったな」
と思いました。この先どうサンジをやっていけばいいのか、宿題をもらった感じです。
<チョッパー役 大谷育江>
―― ゼットについては、どんな印象をお持ちですか?
大谷:
海賊上がりではないので、芯の部分が優しい感じがするんですよ。ねじ曲がった人なのかもしれないけど、慈愛に満ちているというか。チョッパーは怪我をしたゼットを「医者として見過ごすことはできない」と助けたので、今回は結構重要な役回りですよね。
ゼットに「Dr.チョッパー」と言われたのも、すごく嬉しくて。
不思議なことにゼットは、チョッパーが海賊だと知っても殴ったりしなかったので、見かけで強さを判別しているのかなと。
海賊として大きな脅威とは認めてもらえなかったのかも・・・という意味では、嬉しいような、寂しいような(笑)。
―― チョッパーにはモドモドの能力で12歳若返るというエピソードがありますが、その展開を知った時はどう思われました?
大谷:
「これ以上、私にどうしろと!?」と思いましたね(笑)。七段変形が出来るチョッパーは、ただでさえ課題が多いのに「また新しい変身!?」って。本当に5歳児になったのであればいいんですけど、意思は変わらないから、筋肉が衰えてよくしゃべれないけど「行くぞー!」っていう気持ちの強さは同じでなければいけないというアンバランスさがありましたね。それを手探りしながら演じたので、
普通の5歳児をやらせてくれたほうが、よっぽどラクでした(笑)。
<ロビン役 山口由里子>
―― ロビンにはモドモドの能力で12歳若返るというエピソードがありますが、その展開を知った時はどう思われました?
由里子:最初はロビンの絵を見て、露出度にビックリしました。尾田さんの好みなのか、ロビンの好みなのか・・・って(笑)。30歳から18歳に若返るというのもサービス?って(笑)。
実は最近、5歳の息子から「ママ、ロビンはどうしていつもパンツ見せてるの?」と聞かれまして・・・。「パンツは見えてないから大丈夫だよ」って答えましたけど、ちょっと返答に困りました(笑)。なので、若返るシーンは、私としては嬉しくもあり、恥ずかしくもあり・・・ちょっと複雑な気持ちでした。
―― 元の年齢に戻った時のロビンの声が山口さんの本音なのか、残念そうに聞こえたとか。
由里子:
脱力してリアルなセリフをと思いながら「はあ~っ」と声を出したら、ロビンを超えて私の実年齢の声が出てしまって。
それが皆さんには年齢が戻るのを残念がっているように聞こえたようで、スタジオ中が大爆笑でした(笑)。私としては残念だったわけではなく、解放されて力が抜けた脱力感の「はぁ~っ」でした。台本のト書きに「ロビン、気持ち悪くてモゾモゾする」って書いてあったので、18歳から30歳に戻る過程でおっぱいやお尻が大きくなるモゾモゾ感がやっと解けた開放感の「はぁ~っ」だったんです。
ディレクターさんも「もう一回やりましょうか?」とおっしゃって、ロビンの年齢で録り直した次第です。
<フランキー役 矢尾一樹>
―― 今回は若返ってしまうメンバーもいました。
矢尾:やっぱり一番の見どころは、12年若返るロビン(笑)。でもロビンは、本当に戻りたくないんじゃないかと。それはストーリー上だけじゃなく、演じる山口由里子が戻りたくないっていう話ですけど。
アフレコでは由里子自身が完璧に「戻りたくないオーラ」を出していましたからね(笑)。
<ブルック役 チョー>
―― 印象に残っているシーンは?
チョー:
雨の中でみんなが集まって、これからどうするか話しているシーンがあるんですけど、面白い演出だなと思いました。傘を差しながら立っているのが、ちょっと演劇っぽくて、そういう中で仲間同士が会話をしている空気感がいいなと。
実写作品ではありそうなシーンですけど、今までの『ONE PIECE』にはなかった雰囲気ですよね。
<ゼット役 大塚芳忠>
―― 作中ではゼットの歌も流れますね。
芳忠:歌まで歌わせていただいて、光栄な話です。包容力とか、ロマンとか、残酷さとか、海が持っているいろんな要素を表している曲ですよね。ロマンチックなメロディだけど、あまりキレイに歌ってもゼットらしくないし、ボソボソ歌った方が良いのかなとか、いろんなことを考えて・・・正直なところ、あとでカットされるだろうと思っていたんです(笑)。アフレコの最終日に録ったんですけど、
わざわざ作曲の先生がいらしてピアノを弾いてくださり、音の高さも僕に合わせてくださったので、その点はありがたかったです。
―― 数多くのキャラクターを演じてきた中で、ゼットにはこれまでと違う何かがありましたか?
芳忠:
こんな風にポスターにも載るような大きなキャラクターをやらせていただくのは、アニメ、特に映画に関しては初めてと言っていいくらいです。
『ONE PIECE』という作品はしっていましたけど、実は全編通して観たことはないんです(笑)。
―― テレビシリーズの「空島編」にモンブラン・ノーランド役で、ご出演されていましたよね?
芳忠:出ています(笑)。大きな役だったんですけど、膨大なセリフにスタジオで大慌てした記憶しかないんですよ。だから今回改めて、ほかでもやったことがないような役をいただけ、非常に光栄に思いました。最初は映画劇場宣伝用収録に呼ばれたんです。ルフィと戦って「若造が!」と叫ぶアレ。僕も割と太い声は出しますけれど、もっと野太い頑丈な声を出せる人はたくさんいるのにと思い、実は結構不安でした。ゼットが野心だけの男でないことは、その短いシーンの収録で、すでに感じていましたね。
<青雉役 子安武人>
―― 今回描かれた青雉とルフィとの関係性については、どう思われましたか?
子安:
スタッフの方に聞いたんですよ。今の彼は何を思い、何を信じているのかと。
尾田さんがおっしゃるには、根底にあるものは何も変わっていないということでした。ただ、僕はなんとなく、彼には揺らいでいる部分もあるような気がしましたね。ルフィたちに肩入れしないまでも今までよりは近づいて、希望を託すような雰囲気が垣間見えたので、お芝居では心の機微が多少あってもいいかなと意識しました。
―― ルフィ役の田中真弓さんは「青雉を船に乗せたい」とおっしゃっているのですが・・・。
子安:青雉が麦わらの一味になって、船に乗っている姿や会話を想像すると、なんだか孤立しているっぽくないですか?
全員が並んだ絵面でも、間隔を二人分くらいあけて立っているような・・・(笑)。赤犬と戦って海軍とも因縁ができてしまったけど、これからルフィ側とどう関わるかによって、彼の立場は変わりそうですよね。
今は美味しいところだけ登場して、ルフィたちにちょっと助力するくらいがいいのかもしれません。
―― 青雉は今回、歌も歌っていますね。
子安:最初に歌があると聞いた時は驚きました。
「歌!?青雉が歌うって想像できないんだけど!」って(笑)。
僕自身が歌うのではなく、あくまでも青雉が歌うとしたらと考えながらの収録だったので、非常に大変でしたね。でも、青雉だからキレイに歌うことあやめようと。ぶっきらぼうだけどワイルド・・・そんな感じを意識しました。皆さんが聴いて、そのシーンを台無しにするような印象でなければ何よりです。
―― 最後に『ONE PIECE』ファンへのメッセージを
子安:非常にカッコイイ映画です。(中略)脚本も素晴らしく、僕はそういう映画に出られて嬉しく思います。
歌はスルーしてください(笑)。
『ONE PIECE FILM Z』 オフィシャル ムービーガイド
T .~ルフィ(尾田栄一郎)VSゼット(長峯達也監督)~
週刊ONE PIECE新聞って?第4週
週刊ONE PIECE新聞って?第3週
週刊ONE PIECE新聞って?第2週
週刊ONE PIECE新聞って?
【映画】 尾田栄一郎「宣伝してあまりある映画が出来ました」 【Z】