成毛眞氏「知的な人間は漫画なんて読まない」発言で騒動 ネットでは「養老孟司や齋藤孝もマンガ通」と批判の声
元マイクロソフト日本法人社長の
成毛眞さん(57)が「知的な人間は漫画なんて読まないよ」などと発言したとしてネットで批判が渦巻いている。
これは年収と購読書に関する雑誌の対談で発したもので、
年収を500万円、800万円、1500万円に分け「この一年間に読んで役に立った」本を選んでもらったところ、
年収500万円の人たちはファンタジーやエンタメを選ぶ傾向があり、大人気漫画の「ONE PIECE(ワンピース)」が含まれていたことからこうした発言になった。
■「知性がない人は、本も読まず、出世もできない」?
問題の記事は雑誌「
プレジデント」のウェブ版、2013年7月6日付けのもので、もともとは雑誌に12年4月30日号で掲載されていたもの。タイトルは「
ファンタジーに逃げる『下流』の人々。『年収別』心底、役立った1冊、ゴミ箱行きの1冊」で、内容は
40代になっても年収500万円止まりの人とその上をいく人には読書習慣で決定的な違いがある。「知性がない人は、本も読まず、出世もできない」などという前文があり、インスパイア取締役ファウンダーの成毛さんと、エリエス・ブック・コンサルティング代表の土井英司さんの対談形式で話が進んでいる。
土井さんが
500万円の人たちの読書について、明らかにファンタジー、エンタメ中心の読書で、「ONE PIECE」という漫画は思い切りファンタジーだ、と説明すると、成毛さんは、
「
そもそも知的な人間は漫画なんて読まないよ。海外企業のマネジメントなんて、漫画本の表紙すら見たことないだろうねぇ」
と答えた。土井さんは、
「
500万の人はファンタジーに逃げているように見えます」
と返している。
記事を読む限りでは、年収1500万円は成功者で800万円は発展途上、500万円は自分の限界を感じた負け犬のように定義付けているようにも取れる。
ネットでは成毛さんの「知的な人間は漫画なんて読まない」に猛反発し、ツイッターやブログ、掲示板には、
「
漫画を読まないぐらいで知的とか言われてもな…」
「
今時こんな化石が生息してるとはw」
「
内容は漫画だろうと小説だろうと映画だろうと同じ。用は表現方法が違うだけ。それを理解できない奴が知的なはずがない」
などといった意見が出た。
また、知的な人はマンガを読まないのか、という議論も出て、結構な数のマンガ好きな知識人がいるなどとして名前が挙がった。例えば著書「バカの壁」で知られる東京大学名誉教授の
養老孟司さんは「京都国際マンガミュージアム」の館長をしていて、挨拶文に、
「マンガはサブカルチャーだという考え方もありますが、日本文化の中では実に大きな役割を演じています」
などと書いている。明治大学文学部教授の
齋藤孝さんもマンガが好きで「スラムダンクを読み返せ!! 」といった著書がある。思想家の
内田樹さんは「ONE PIECE」の信者で、新聞のインタビューに「日本が生み出した聖書のようなもの」と答えている。文芸評論家で早稲田大学教授の
加藤典洋さんは、大学の講義で人気マンガ「寄生獣」をテキストに使用したことでも有名だ。そのほか、ジャーナリストの
立花隆さんも映画にもなったマンガ「風の谷のナウシカ」のファンだったりと、日本の知識人でマンガファンは多い。
成毛さんはこうしたネットでの批判を気にしたのか、自身のツイッターで13年7月8日に、
「
プレジデントのやっつけ仕事でエライ目にあってしまった。二度とプレジデントの仕事は引き受けない」
などとつぶやいている。
(
J-CASTニュース)
問題の「プレジデント」の記事と年収別アンケートのランキング結果はこちら↓
※調査概要/楽天リサーチの協力を得てインターネットを通じて1002人のビジネスマンより回答を得た。調査期間は2012年2月24~27日。なお、アンケートは、プレジデントの名は秘して実施。
ファンタジーに逃げる“下流”の人々 -「年収別」心底、役立った1冊、ゴミ箱行きの1冊【1】
知性がない人は、本も読まず、出世もできない──。読書習慣に関する調査結果からは、40代になっても年収500万円どまりの人と、上にいく人の決定的な違いが見えてきた。
本を読む量に比例して、年収は増えるのだろうか。
プレジデント編集部が独自に行った年収別の読書傾向調査は、読書と年収に明らかな相関関係があることを示している。むろん、読んだら稼げるようになるという因果関係は証明できない。しかし、データが語りかけてくる事実はあまりにも残酷だ。
調査は、1002人のビジネスマンを対象に行い、年収500万、800万、1500万それぞれ334人ずつから回答を得た。年収によって若干年齢層に偏りがあり、500万と800万のボリュームゾーンは40代、1500万は50代が中心である。
回答者の属性をおおまかに言うと、500万は一般社員、800万は課長・係長クラス、1500万は部長以上に医師、弁護士、会計士などのいわゆる「士族」が少数混じっている。
以下、投資コンサルティング会社インスパイアのファウンダーにして社団法人HONZを率いる読書界の鬼才、成毛眞氏、そして幾多のベストセラーを世に送り出してきたエリエス・ブック・コンサルティングの代表にして、メールマガジン「ビジネスブックマラソン」の筆者、土井英司氏のおふたりによる的確かつ辛辣なコメントをいただきながら、読書と年収の赤裸々な関係を見ていくことにしよう。
読者はすぐさま本屋へ走るか出世を諦めるか、いずれかの選択を迫られることになるだろう。
【土井英司】まずは「この1年間に読んで役に立った本」から見ていきたいと思います。
1500万の人を見ると『デフレの正体』『日本中枢の崩壊』などを読んでいて、社会、経済の全体像を捉えようとする姿勢がよく出ています。かなり、マクロな視野を持っていますね。さらに『ローマ人の物語』『三国志』などの歴史物も入っていて、国家規模の話に興味があることがわかります。
一方の500万の人は「日経トレンディ」や「あるじゃん」などを読んでいて、1消費者の視点が強いですね。
【成毛眞】僕は、1500万の人は刺激のない本を読んでると思うな。『三国志』なんてモロにおじさんの読み物だし、『7つの習慣』なんて日本では1996年に出版された本だからね。10年以上前の本を挙げてくるセンスって、よくわからない。
僕がいいと思うのは、むしろ800万の人。『もしドラ』を読んで触発されて、ドラッカー本人の著作を読んでいる。いかにも大企業でがんばってる企業戦士の読書という気がするね。『坂の上の雲』もマイケル・サンデルもテレビの影響でしょう。こういう刺激の受け方って、悪くない。本はミーハーな読み方をしたほうがいいというのが僕の持論です。ビジネスチャンスになる旬な情報を捕まえるのは、常にミーハー精神だからね。
【土井】500万の人は明らかにファンタジー、エンタメ中心です。『ONE PIECE』なんて漫画は思い切りファンタジーです。
【成毛】そもそも知的な人間は漫画なんて読まないよ。海外企業のマネジメントなんて、漫画本の表紙すら見たことないだろうねぇ。
【土井】『海賊の経済学』(ピーター・T・リーソン)という大変面白い本がありますが、この本によると海賊の社会は極めて平等な社会です。そうした社会に憧れるのは、ある意味、厭世的な姿勢だといえます。1500万の人が『ウォール街のランダム・ウォーカー』を読んで、ものごとは確率で決まるという冷徹な現状認識を仕入れているのとは大変な違いです。
上流は世の中を動かす法則や権力者の意図、そして政治に強い関心がありますね。苦境の時代こそ、現実を見据え、現実を変えていこうとしている。一方で、500万の人はファンタジーに逃げているように見えます。
(
PRESIDENT 2012年4月30日号)
両名の対談もランキングの内容も素直に面白いと思うのですが、記事の書き方が「
下流の人」や「
40代になっても年収500万円どまりの人」などとやたら好戦的なのが一番の問題で、成毛氏は対談中の発言の一つを取られて、とばっちりを受けたという印象を受けます。漫画を読む”下流”呼ばわりされた人はさすがにキレるでしょうよ。
漫画を大学で研究している人もいるので、発言に語弊があるのは確かですけど、その前に「役に立った本」にファンタジー漫画の『
ONE PIECE』を挙げる人ってどうなのよ?という話です。精神論として役に立ったなどということはあるかもしれませんが、明らかに浮いているので、この場合は揶揄されても当然かなと。しかも、それが年収500万のランキングのみのことなので、記者の目論見通りになってしまいました。
記事の内容がやたら好戦的なのは、「プレジデント」が唯一年収1500万のランキングに3票入っていたことで、プレジデント記者が調子こいちゃったんじゃないでしょうか?w
ちなみに、年収500万のランキングに学習英語教材の「DUO」、年収800万のランキングに実践英会話試験の「TOEIC」、そして年収1500万のランキングには英語関連の本が入っていないことは、なかなか興味深いです。というか『もしドラ』のどこが役に立つのか(ぁ
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