今年の「バンプレストフィギュアコロシアム(BFC)2013」では
従来と大きく異なる思い切った新ルールが採用(「第四回 造形天下一武道会」「造形王頂上決戦3」共通)。出場原型師達に衝撃を与えた新ルールの詳細が先日発売された「フィギュア王 No.189」およびバンプレスト公認ブログ「
BANPLANET」で明らかになりました。
<新ルール>
一、造形力を見せる事を最優先すべし
造形天下一・造形王を決するBFCは原型師の“造形力”を競う闘技の場である。
故に、キャラクターに対し、純粋に“造形”のみでどう魅せるか!?に注力すべし。
一、塗装演出の一切を禁ず
フィギュア界に新たな風を吹き込むために、 塗装演出とも呼べる陰影を強調した“グラデーション塗装”や、 リアリティを追求した“汚し塗装”といった技法に頼らずに原点へ帰る事を第一とする。 原型師本来の造形力を第一に発揮すべし。
※「造形力」とは原型師の純粋な造形技術力を指します。
一、製作サイズボックスを導入す
BFCに出場する戦士達の作品は全て 「SCultures(スカルチャーズ)」ブランドとしてアミューズメント景品用に商品化される。
そこでブランドとして統一感を持たすべく、 今回より新たに220mm×150mm×150mmのサイズボックスを設け、 その空間の中でキャラクターの個性を表現すべし。
最初の項目は前置きなのでスルーして、衝撃的なのはグラデーション塗装や墨入れなどの
塗装演出の一切を禁止するという2番目の項目です。これはつまり、
単色塗装のみを許可するということです。それによって陰影の演出が出来ず誤魔化しが効かなくなるため、原型師の"造形力"そのものの力量が問われることになります。
一方、実際に投票するユーザーには原型師の"造形力"を競うという大会の本来の趣旨が意識付けされやすく、"造形力"を見極めやすいことでしょう。また、塗装を不得手としている原型師には追い風の新ルールと言えます。
まさに大会コンセプトに相応しい新ルールに見えますが、裏を返せば、
彩色原型から製品版への劣化が緩和されるということで、どちらかと言えばこちらの方がメーカーとしては重大なことのように思えます。
製品版劣化の例:左)彩色原型 右)製品版サンプル
製品版の劣化という現象は原型との素材の違い、塗装の完成度の違い、金型の品質などから、どうしても生じるもので、その程度の大きさはユーザーの購買欲に影響するため、メーカーにとっては重大な課題と言えます。
原型師の造形力を競うバンプレストフィギュアコロシアムの当初のもう一つの目的は、
バンプレストの商品開発力を世間に示すことでした。したがって本来であれば、高いレベルの原型をいかに劣化を感じさせず製品で再現できるかという点にバンプレストが注力するところでしたが、
新ルールにより、逆に原型師達が塗装演出がない状態でも見栄えの良いフィギュアを模索するという今までと180度異なる商品開発の方向性になっています。コペルニクス的発想の転回というか原型師丸投げというか(ぁ
新ルール3番目の項目は、明確なサイズ規定を設けることでブランドとしての統一感を出すということですが、こちらも裏を返せば、より商品化し易いルールになっていると言えます。サイズ規定は縦長なので、前回、前々回の優勝作品のクロコダイルやワイパーのような横に広がったポージングは選びづらく、ポージングの自由度は狭くなりそうです。ただし、
220mm×150mm×150mmのサイズ上限はプライズフィギュアとしてはかなり大きく、このサイズに収まればOKというルールなので、原型師にとっては寧ろやりやすいルールなのかもしれません。
先月号の「フィギュア王」には全出場原型師のインタビューが掲載されており、新レギュレーション(ルール)について言及している人が多かったのですが(※この時点では具体的なことは明らかにされていない)、これはやはり2番目の項目が大きいところだと思われます。
新ルールに対応して各々の原型師たちが出した答えは?新ルールでバンプレストフィギュアコロシアムがどう変わるのか?さらにはプライズフィギュアの未来は?といったことに期待と注目をしていきたいところです。
そして、
山下マナブさんがキャラクターに
センゴクの大仏ver.を選んでいるのは一つの答えというわけでした。
だって、金一色でいいんですもの。
【速報】 造形王頂上決戦3 トーナメント発表