19日より「
バンプレストフィギュアコロシアム2013」の公式サイトが本格オープン。「
造形王頂上決戦3」及び「
造形 天下一武道会4」の大会スケジュール、参加原型師のインタビュー、原型(制作途中、未彩色)が公開になりました。
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造形王頂上決戦3
公式サイト:
http://bfc.bpnavi.jp/zoukeio3/
予選投票期間:2013年12月21日~2014年1月17日
決勝投票期間:2014年2月6日~2014年3月3日
優勝賞金:100万円
今大会では”
塗装演出の禁止”という、Grandlineシリーズから培ったワンピースプライズフィギュアの流れを断ち切るような斬新な新ルールと厳格な”
サイズ規格”が導入(重量制限もあるらしい)。塗装演出を廃したことで、一見、造形力のみに重きを置いた新ルールに思われますが、実際は寧ろ「単色塗装」でまとめ上げるセンスも要することでしょう。出品されたフィギュアはある意味、
「単色塗装」縛りと「サイズボックス」の中で、キャラクターを立体物として最大限魅力的に表現する方法を模索した原型師達のそれぞれの回答とも言えるかもしれません。
【造形王頂上決戦3】 バンプレストフィギュアコロシアム2013 新ルールの明暗
ここではそういった点に着目してインタビューと原型を見ていくことにしましょう。
原型師:
鈴木 敏志
製作キャラクター:
トラファルガー・ロー(新世界編)
―― 作品のココがポイント!
帽子のツバと腕、手、頭の角度などを考えて
ローの目が見えるポイントを意図的に少なくしました。やっと見えたローの目がかっこよかったら嬉しいので、
目の造形はこだわりました。
―― 造っていて楽しかったポイントは?
前から言っていますが、服の皺は楽しいです!腕の血管もローらしく入れました!
―― 製作上で大変だったポイントは?
ポーズです。ローは人気なので激しいアクションポーズのフィギュアはどんどん出てくるかもしれませんので、今回は
立ちポーズからの「これから戦うぞ!」という瞬間を上手く立体化できないか試行錯誤しました。
▼キャラクター人気◎。単色塗装(品質の低さ)はキャラクター人気でカバーしようという戦略意図があるかは露知らず(※第1回造形王ではゾロで準優勝だったので・・・)、目線を敢えて隠すという戦略はいい働きをしそうです。と言うのも普通の人型フィギュア、特にローのようなイケメンの場合、キャラ人気に相反して
単色塗装の顔でチープな印象を与えてしまうのは免れないので、隠しておいた方が見た目の印象は良くなるでしょう。服皺の造形はリアルで、すでに陰影がよく出ているため、単色塗装後、陰影によるグラデーションが期待できそうです。帽子の質感もいい感じ。ポーズは「立ちポーズから『これから戦うぞ!』という瞬間」だそうですが、鞘から刀を抜いた動きがイマイチ伝わってこず、寧ろ”静”な印象を受けます。
原型師:
笠井 晶次郎
製作キャラクター:
錦えもん
―― 造っていて楽しかったポイントは?
まず顔ですね。
タンポ印刷で目を処理されたら睨み感が死んでしまうので、 造形として成立しきるようヘラ角度も慎重に造形しました。塗装でのフォローが考慮できない分、
自然に落ちる影が効果的になるよう 通常の商業原型とは違うアプローチをかなり意識しましたが、 その作業は新鮮で楽しかったです。挑み甲斐がありました。
―― 製作上で大変だったポイントは?
とにかく
規定の中で、最大限に空間を使おうと思っていたのでその調整に手間がかかりました。上下左右ミリ単位で。 そしてそれに付随する重さ問題がまた厄介で。 他の方もそうだったようですが、グラム単位で材料を調整し最後は常に計量しつつ、レジン反転後の重量を計算しつつの作業でした。
―― 自分なりに出来映え/作品のココがポイント!
衣装だけじゃないチャンバラらしさが出せたと思いますし、錦えもんというキャラクターの意志が表現できたかな、と。
ポイントは見る角度によって「向き」が違うのではなく、「意味」が違うように作ってある点です。グルリと回してさらに角度も変えて見てもらえればと思います。
―― メッセージを一言!
子供達に「チャンバラカッコいい!」と刷り込んでやりたいです。「
背中で受けつつ、裏で鯉口を切ってるんだね!」みたいな事を言い出すように洗脳できれば1回戦敗退でも本望です。
▼モモの助を助けに現れた錦えもんの鬼の形相を再現。陰影が出るほど彫りが深い表情は単色塗装でも映えそうです。ポージングはオリジナルで、メッセージにある通り、二刀流の錦えもんが背中で剣を受けつつ、左手で鯉口を切っている(鍔に親指を押し当てて剣を抜く準備をしている)というもの。足の指先まで神経が行き渡ったかのような、”動”が感じられる造形です。全体の印象としては
歌舞伎浮世絵のような雰囲気が出ており、元より「影がない」浮世絵の表現と「単色塗装」がうまくマッチするかもしれません。
原型師:
山下マナブ
製作キャラクター:
センゴク(モデル大仏ver.)
―― 作品のココがポイント!
静寂の中から滲み出る覇気を
仏像感を 感じて頂ければと思います。
―― 製作上で大変だったポイントは?
全体の構成 と 布のしわ表現。
―― キャラクターへの思い入れを!
毎回、造るキャラチョイス時は、先ず「立体として絵的に良くなりそうかどうか」というところをポイントにして考えています。今回、また何にしようか悩んでいる中、
このレギュレーションにして、センゴク しかもホトケ.ver・・・、ヤバそう。と思いついた時、自分でもこれはどうなるか観てみたい と。選ばずにはいられませんでした。
―― メッセージを一言!
造形王にオレはなる!!!
こんなセンゴクを観れるのはBFC造形王だけ!
▼キャラクター希少度◎。キャラクター人気△。「こんなセンゴクを観れるのはBFC造形王だけ!」と言う通り、このサイズのセンゴクの獣型は希少。金ぴかの仏バージョンは「単色塗装」の新ルールに噛み合っています。が、女子ウケを切り捨てています。溢れ出る”仏像感”は、
ポージング、服・皺造形、筋肉造形を実際の仏像、特に金剛力士像を参考にしているためでしょう。画像に写っているプレゼン用?のデザイン画ではもっと恰幅がよく横幅がある原作に近い体型をしているのですが、縦長になっているのは、金剛力士像に寄せたためなのか、サイズボックスの規格に合わせたためか。いくら女子ウケを無視しているにしても、血管の造形はやりすぎでちょっと気持ち悪いかも?w
原型師:
福家 悠太
製作キャラクター:
シンドリー
―― 大会に出場しての感想は?
前回に比べて、かなりルールを気にして、原型をつくることになりました。 また、
このルールだったからこそ、引き出された作風になりました。 他の方々の作品も、今回のルールだったからこそ、引き出されたものになっていて、すごく勉強になりました。
―― 作品のココがポイント!
ルールを踏まえて、
1色でもそれが必然となるような、「ドール風表現」で攻めてみたつもりです。 植毛風の髪の毛の造形や、衣服の素材感、少しリアル寄りにした体、
目や口が別パーツ、、などがポイントです。あとぷるぷるしてるプリンの漫画っぽさとのギャップでしょうか(笑)
―― 製作上で大変だったポイントは?
髪の毛です!
髪の毛は、一本一本細い銅線を貼り付けて、原型にしました。単純に時間がかかりました。 植毛風に見せたいがゆえ、試行錯誤した結果そうなりました。手造形では出ないであろう表情が得られたとおもいます。
―― 造っていて楽しかったポイントは?
いつもより少しリアル寄りをねらった体のフォルムの肉付けのときや、顔のお人形さん的な表情など、いつもどおりスカルピー(オーブン粘土)で作成している部分が、楽しかったです。
無駄に肋骨とかからつくりました。
いや、無駄じゃないんです、ぼくにとっては(笑)。
▼キャラクター希少度◎。このサイズのシンドリーは大変希少です。「単色塗装」という新ルールに対しては「ドール風表現」を考案。
髪、服が単色になるのは必然、肌部分の樹脂のつやは寧ろ好都合というわけです。口が別パーツというのはよく分からないですが、目が別パーツなのは、これも「ドール風表現」の追求でしょう。体型はリアルに寄せているため、”尾田絵”から遠ざかったのは良かったのか悪かったのか。本来のくびれが消えてドレスがマタニティドレスに見えてしまうのは私だけ?というか、肋骨の造形いる~~?w おかげで鎖骨の造形がリアルになっています。髪の毛は一本一本、細い銅線を貼り付けて造形したとのことですが、この原型ではまだ制作途中のようです。
原型師:
岩倉 圭二
製作キャラクター:
ナイトメアルフィ
―― 作品のココがポイント!
ゴリゴリにムキムキな所がポイントです。
―― 製作上で大変だったポイントは?
顔を似せて作る事と、見栄えがするようにポーズをつけて作る事です。
―― 造っていて楽しかったポイントは?
ほとんど全部なのですが、特に筋肉を作るのが楽しかったです。
▼「単色塗装」で肌の露出が多いのは不利なため、皺、筋肉、血管をゴリゴリに造形しており、ボロきれになった服の造形も細かいです。顔も凹凸のはっきりした造形でよく似ています。ポージングは縦長のサイズボックスに合わせたもののようです。一番のポイントは製品化した際、唯一安定して自立することかも。
原型師:
サイトウヒール
製作キャラクター:
ロロノア・ゾロ(新世界編)
―― 作品のココがポイント!
どこまで勢い重視の作品作りが出来るのか?がポイントでした。まだまだ荒削りな面もあるのですが、イメージ通りの作品に仕上がってくれたと思っています。 鬼気迫る表情と勢いのあるポージング、表現方法を感じ取って下さい!!
―― 製作上で大変だったポイントは?
表現方法として普段とは毛色の違うモノに挑戦するので、
顔だけはしっかりと似せないといけないなと思っていました。 結果としては最高にカッコいい顔が作れたんじゃないかと自画自賛しているのですが、正直かなり手こずりました。 ゾロの顔は面構成含めて、かなーり難しかったです。
▼「勢い重視」というオリジナルのポージングはまさに前に駆け出す勢い。台座に固定すると勢い余って前のめりに倒れてしまいそうな勢いで、おそらく製品化の際には、造形王SPゾロの時と同様な補助パーツが付属すると予想されます。ただ、そうなると駆け出す瞬間の”動”が失われてしまう心配があり、さらに補助パーツの色がまた黒だと考えると・・・製品化が思いやられますが、原型は原型なので。。髪の毛の造形は細かく、服はダメージ造形。顔は鬼気迫る表情となっており、新世界編ではまだ描かれていない”本気”のゾロが再現されています。ただし、「汚し塗装」が禁止されているルールの中でこのシチュエーションの選択は分が悪そうです。また、ゾロが左手に鞘を持って刀を抜く姿・シチュエーションに違和感があり、左手は腰に差してある刀の柄を持っていた方が想像が湧くような気がします。
原型師:
小林 義仁
製作キャラクター:
トニートニー・チョッパー
―― 作品のココがポイント!
シンプルながら、毛のモフモフ感や頬のふっくらした雰囲気等、全体的に柔らかな感じを出すのに注力しました。
クリアパーツを使用しての涙の表現にこだわったのですが、結構イイ感じ仕上がったのではないかと思います。
―― キャラクターへの思い入れを!
今回、チョッパーが初登場のドラム島編で「冬に咲く奇跡の桜」を見て、ウルっと来た瞬間をイメージして造形したのですが、僕自身、雪国出身なので、共感する部分が多いんですよ。
▼キャラクター希少度×。シンプルは別にいいですが、チョッパーの毛のモフモフ感はありふれたもの。バンプレストフィギュアコロシアム初参加ということで、勝手がイマイチ分かっていないのでしょうか。獣型なら話は違っていたのでしょうけど。うーん、勝てる気がしない(ぁ
原型師:
NAOKI
製作キャラクター:
フランキー将軍
―― 作品のココがポイント!
既存のフランキー将軍の立体物とは異なるアプローチが出来たのではないかと思っています。『メカでもありキャラクターでもある』
フランキー将軍のキャラクターとしての勢いを損なう事なく、チラリと見える細部まで作り込んだメカらしい密度感と同時に、メカならではの隙間や空間の演出を堪能していただければ幸いです。
―― 製作上で大変だったポイントは?
とにかく大きさと重量のレギュレーションに慣れずに戸惑いました。結果的に途中で3回も作り直しです(笑)。
―― キャラクターへの思い入れを!
まさかワンピースにロボが登場するとは思ってもみなかったので、初登場時はルフィやウソップ、チョッパー達と完全にリンクしてしまいました(笑)。やっぱりロボは男子の永遠の憧れ!
▼「単色塗装」がさほど影響にならないメカ。サイズと重量制限に合わせたためか、体型のバランスは割とデフォルメされています。
本来設定にないボディ部分の関節やハッチ部分のハンドルが追加、肘関節は新しくデザインされて、よりメカらしい演出がされています。肩の(クロサイFR-U4号の)マフラーが開いているのも、多少原作の設定を無視していますが、まぁメカらしくいいんじゃないのと。これもまた造形王でしか見れないフランキー将軍ということです。