「ルフィの母親」というトピックスは私の中ではホットな話題ではないのですが、なぜ今更こんなタイトルの記事を書き始めたかというと、まずはこちら↓をご覧いただきたい。こちらは本日(12月6日)の当ブログのアクセス解析の結果です。
検索エンジンごとに、
どんなフレーズで検索をかけて当ブログにアクセスしたかが分かるわけですが・・・
お前ら、ルフィの母親尋ね過ぎw
おかげで普段のサイト訪問数の3倍以上になっています。グーグル検索の場合は予測検索結果候補から直接アクセスするとこの解析から漏れるらしく(※検索フレーズは分からないが、グーグル検索からアクセスしたことは分かる)、実際はもっと多くの件数、おそらく1万件弱の検索が「ルフィ 母親」及びそれに準じるものでかけられアクセスしていると思われます。
「ルフィ 母親」の検索でアクセスがあることは常時あることなのですが、ここまで検索数が多いのは珍しく、この現象は実は2日前から続いていました。そこで2日前に何があったかと原因を調べてみると、2チャンネルの なんでも実況J板(通称:なんJ)に2日前に立てられた「
ワンピースの伏線一覧wwwwwwwwww」というスレッドに、これまでのワンピースの伏線や謎として多数の項目が箇条書きで書き込まれ、これがまとめサイト等で拡散。その書き込みの中に説明なく「
・ルフィの母親」とだけ記されている箇所があったものですから、見当がつかない人の多くがどういうことなのか調べようと検索をかけたみたいです。
実際にどのページからアクセスしているかというと、それは実際に検索してみれば分かります。
【伏線】 ルフィの”本当”の夢 【実は正解でていた件】
実際に「ルフィ 母親」で検索をかけると、ルフィの”
夢の果て”について冗談半分で考察した当ブログ記事のSEO評価がなぜか高く、検索結果の上位に表示されています。
タイトルにも本文中にも「母親」は出てこず、ルフィしか検索ヒットしていないのに。。なぜ検索結果上位に来るかなんて分かれば、極意を企業に売って丸儲けなわけですが。
こういった検索アルゴリズムのミスは前にも一度ブログで体験したことがあります。それは以前、「ワンピースキャラクター診断」という占いがFacebookページで流行った時に、なぜか当ブログの
キャラクター身長まとめ記事が検索結果1位に表示されていたため、
その占いを紹介した記事へのリンクを誤った記事のページ上部に掲載する処置を取った事で、しばらく経つとその問題は見事に解決しました(話は逸れますが、そのFacebookページは個人情報を抜き取ることを目的とした詐欺師アカウントであることが後に判明したので、気をつけてください。詳細は
こちらの記事のページ下部)。
そういうわけで、今回もこの記事へのリンクを検索ミスヒットになっている問題のページに掲載して検索ランクを下げてやろうという作戦です。じゃあ何を書くのかと。ここでは、
私が知っている限りの「ルフィの母親」という伏線・謎についての流れをまとめておきます。
結論から言うと謎も伏線もありません。
◆◆◆
まず、ルフィの母親が誰なのかということは、普通にワンピースを読み進めていれば、それ程気になることではありません。なぜかというと、麦わらの一味の中では実の親が描かれていることの方が珍しく、これまで描かれているのはルフィの父ドラゴン、ロビンの母オルビア、ウソップの両親ヤソップとバンキーナのみだからです。
ナミは戦争孤児、サンジは幼少期から親の姿はなく、フランキーとチョッパーは親に捨てられ、ロビンは物心つく前に学者の父は政府に捕らえられおそらく処刑、母は旅に出て不在、唯一両親が描かれているウソップでさえ、幼い時に父と別れ離れになり母は亡くなっています。ゾロとブルックの親については全く触れられておらず、実の親の情報があるキャラも成長するまで一緒に暮らしていた例はなく、ワンピースにおいて麦わらの一味の実の親の存在はとても薄いでしょう。
ではどうして「ルフィの母親」がここまで注目され始めたのかというと、それは最近のことで、それより以前に「ルフィの母親」について栄ちゃんが読者の質問に初めて答えたのは北米版週刊少年ジャンプの特集記事でした。
◆◆◆
2008年発行『SHOUNEN JUMP』
<原文ママ>
John Irons: What is Luffy's mother like? Was she beautiful? What happened to her? Did she die when Luffy was a baby?
EO: I think she's alive. I'm still thinking hard about this. [Laughs] But if she does appear in the story, then she'll be a very tough-looking woman. And strict. There's no way that she's a beautiful mother. She's got this typical middle-aged woman's permed hair. Speaking about families, I did a backstory for Nico Robin and her family. That was actually the first time for me to draw a mother in a character's memory. Up until that point, I'd never drawn a blood relation. In Chopper's case, he's called a son even though he's not blood-related. So I've put in a message there saying that you can still call someone who's not related by blood your family.
<私の翻訳>
読者:ルフィのお母さんはどんな人ですか?美人さん?彼女に一体何があったんですか?ルフィが赤ん坊の時に亡くなったのですか?
尾田:生きていると思う。これについては今でも悩んでるけど(笑) ただ、ストーリーに登場するなら、すごい屈強な女性じゃないかな。そして厳格。美しい母親になるはずはないし。それで、典型的な中年女性がするようなパーマをしている。
家族の話といえば、ロビンの家族の話を描いたことがあったけど、キャラクターの回想で母親を描いたのは実際ロビンが初めて。この時までは、(回想で)血縁のある親族を描いたことがなかったから。チョッパーの時は、血縁はないけど、「息子」って呼ばれてたね。血縁がなくても、家族って呼ぶこともあるってこと。
【北米版SBS】 ルフィの母親と原作者に忘れられてしまったキャラクター 【痛恨のミス】
おそらくあまり日本では知られていないこの北米版SBSのようなやり取りから分かるのは、
・この当時の時点でルフィの母親は描かれていない。
・この当時の時点でルフィの母親の構想はない、すなわち伏線はない。したがって、ストーリー上、重要な人物ではない。
・ルフィの母親像は定まっている(屈強、厳格、美人ではない、中年おばさんのようなパーマ)
ということです。
◆◆◆
2009年
原作 第551話でエースの出生の秘密が明らかになる。
エースの母ルージュの存在が明らかになったことで、この辺りから、読者がじゃあルフィは?と思うのは無理もないことでしょう。
◆◆◆
2010年
原作 第582話でダダン初登場。以降過去篇でルフィとエースの幼少期が描かれる。
ダダンの容姿はまさに2年前、質問に答えていた「ルフィの母親像」そのもの(※「厳格」ではないが)。つまり、ストーリーに登場するならこうだろうと当初考えられていた
「ルフィの母親像」は育ての親であるダダンのキャラデザインに採用されたということです。ダダンが実の母親ということでは、もちろんありません。
また、ルフィの幼少期が詳しく描かれたことで、この頃から熱心な読者の間でルフィの母親の考察が真面目にされるようになってきた気がします。
◆◆◆
2013年1月22日
”尾田栄一郎「ルフィの母親はすでに作中に名前付きで出てます」”というタイトルでクロコダイルがルフィの母親だという考察が書き込まれる。
<原文ママ>
俺の予想はクロコダイル
本当は女でルフィの母親
イワンコフに男にしてもらった
サーは敬称で本当の苗字はモンキー
このスレッドタイトルは釣りで、
全くのデマです。流れとしては、この数日前に立てられた”
【ワンピース】 尾田栄一郎 「ワンピースはすでに作中にでている」”という釣りタイトルのスレッドが伸びたことに便乗したものでした。当時からその点を指摘している書き込みは多くあり、後者はネタとして完結していますが、前者は釣りタイトルよりもルフィの母親は誰かという考察で盛り上がり、その内容の方がまとめサイトでまとめられ拡散されてしまいます。「
ソースは2ch」とは言い得て妙で、初めはただの釣りタイトルだったこの発言は、にわかに信じられ真実のように語られるようになります。”にわか”だけにね。
そしてこれ以降、「ルフィの母親はすでに作中に出ている」という2chソースを前提として、「ルフィの母親」の考察が活発に行われるようになったようです。クロコダイル、ボニー、天竜人など。最も有力なのはボニー説。
2013年12月4日
「ワンピースの伏線一覧wwwwwwwwww」というタイトルのスレッドに「ルフィの母親」がワンピースの謎・伏線の一つとして書き込まれ、「ルフィ 母親」のフレーズでネット検索が盛んに行われる。
追記)
2014年1月17日
デマの内容を利用して、499話にルフィの母親が出ているというスパムツイートのRTが伸び、やはり「ルフィ 母親」のフレーズでネット検索が盛んに行われる。(追記終)←今ココ
デマを前提にして、これは「ルフィの母親」の伏線だと読み取っても何の意味もないこと。母親最有力候補のボニーは、能力によって実際の年齢は見た目よりずっと年上であることは予想されますが、それ単独ではルフィの母親という伏線にはつながりません(ちなみにボニー・エース兄弟説は
こちらで否定)。仮にそうだとすれば、もっとルフィに対するボニーの心情等の伏線があっていいはずですが、そういったものは一切ありません。デマに踊らされて、知らずに無理な考察になっている証拠です。
私の印象としては
「ルフィの母親像」が育ての親であるダダンで代わりに描かれたことで、作者としての「ルフィの母親」に対するもどかしい想いは完結してしまっている気がします。5年前のインタビュー時と変わらずの考えならば、他の麦わらの一味の親同様、ルフィの母親もおそらくストーリーに登場せずに終わることでしょう。
いえ、人違いだお