豚肉35キロ担ぎ走る走る 消費アップへ企画
「豚王選手権」と名づけられた徒競走大会が4日、那覇市で初開催された。県産豚を扱う業界が、消費者に豚肉に親しんでもらおうと企画した。優勝者には金色の豚のトロフィーと、アグー豚10キロが贈られる。初代「豚王」の栄冠を目指し、112人が全力疾走した。
4日午後6時半すぎ、那覇市の沖縄セルラーパーク那覇は熱気に包まれていた。ネクタイ姿の会社員男性、幼子を連れた主婦、部活帰りの高校生らが参加した。5人ごとに分かれ、豚肉を背負ってスタートラインに立ち、30メートル先のゴールを目指しタイムを競った。35キロの豚肉の重みに負けて途中で下敷きになったり、勢いあまって前転してしまったり。1人では運べず、仲間に手伝ってもらい、ようやくゴールする人もいた。
豚王選手権を企画したのは、県養豚振興協議会と県食肉連絡協議会。近年は豚肉の消費が落ち込み、飼料価格の高騰が経営を圧迫。外国産豚肉との競争を強いられるTPPにも不安を募らせた。5年前に4月4日を「シシ(肉)の日」に指定し、消費拡大を図ったが浸透しなかった。選手権の事務局、「那覇ミート」(南城市)の松田浩一さん(50)は「インパクトのある催しを考え、少年が海賊王を目指す人気コミック『ワンピース』にヒントを得た。同じ王なら、豚王もありだろうと」
予選を勝ち抜いた5人による決勝レース。那覇市消防本部の消防士、大城辰さん(21)が5秒18のタイムで優勝した。賞品を贈られ、人さし指で鼻先を上げる「豚鼻」パフォーマンスで喜んだ。「日頃の厳しい訓練が生きた。同僚みんなで焼き肉をしたい」
女性の部では、那覇高校3年の西銘みずきさん(17)が優勝した。女子ハンドボール部の仲間を担いで練習を重ねてきたという。「豚女王は来年以降も後輩に引き継いでいきたい」
(沖縄タイムス)