アメリカとカナダ(及びイギリス)向けに
VIZ Mediaが販売している英語版『ONE PIECE』。先日、アメリカに行った際に最新刊の72巻を買ってきました。まぁ、日本でも海外書籍を扱っている大型書店で買えるわけですが、自分へのお土産です。
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■ 表紙
・タイトルロゴの上にある「ワンピース」の代わりに劇中の舞台の名前がついています。新世界編以降は「NEW WORLD(新世界)」でひとくくり。また、
ロゴのカラーリングもそれに準じて統一されています。
・巻数の標記がでかい
・サイズは日本の大判コミックスより大きく、
韓国版ワンピースと比べると横は若干小さく、縦は若干大きいです。
拡大比率としては横長になっています。オリジナル版ではカバーで中に折り込まれてしまう左端も表紙に収まっています。
・印刷は原稿の横幅に合わせられており、オリジナル版では切り落とされる外側の部分が残っています。拡大比率は横長のため、逆に下側は切り落とされています。
■ カバー
・カバーはついてません。つまり、カバーをめくった表紙や裏表紙に隠れているパンダマンは無しと(72巻の場合はチンジャオの背中にパンダマンがいる)。海外のコミックスはカバーがついていないのが一般的らしいです。
・カバーの折り込み部分にある作者欄はオリジナル版では空白である最初のページに記載。栄ちゃんの簡単な経歴も記載されています。
・翻訳にかなり無理がありますが、頑張ってます(笑)。小林ーズ(笑)。表意文字でしかできない表現を表音文字で正確に翻訳することはできないんですよね。
■ 裏表紙、背表紙
・裏にもタイトルロゴがあるのと、カラー扉絵(前巻収録分)がデザインされているのが特徴的。
・コミックスの発刊は2~3巻分ほど遅れていますが、連載は北米版週刊少年ジャンプである電子コミックス誌「Weekly Shonen Jump」に掲載され、日本と同日発売されています。
・定価は税抜きで9.99 USドル、12.99カナダドル、6.99 UKポンド。オリジナル版の約3倍ほどの価格で販売されています。
・「
This book reads from right to left(この本は右から左に読みます)」という標記も↓
・裏表紙をめくると「
You're Reading in the Wrong Direction!!(間違った向きで読んでいます)」という注意書きとともに、日本のマンガの読み方について説明されています。日本の右開きのマンガは英語圏の人には不慣れのため、欧米で販売される際はしばしば、英語で読み易いようにページを左右反転(flopped)して左開きのコミックスに変えられることがありますが、絵が鏡像になる不都合やそれを好ましく思わない日本の漫画家に配慮して、最近では反転なしコミックスが増えているようです。添えられているルフィの絵はどこから切り抜いたものでしょう?
・裏表紙にはこんなマーク↑も。これはVIZ Mediaの独自のレイディングで、描写や台詞の表現によって、A(=ALL AGES、全年齢)、T(=TEEN)、T+(=TEEN PLUS)、M(=MATURE、成人)の4つに分けられており、Mになるにつれ推奨対象年齢が上がっていきます。ワンピースは10代以上向けのTにレイティングされており、ジャンプマンガでは『食戟のソーマ』『銀魂』『DEATH NOTE』『暗殺教室』『HUNTER x HUNTER』などはT+、『NARUTO』『ドラゴンボール』などはTです。Aの判定は
酒やタバコの描写があるとアウトみたいです。ドラゴンボールはおそらく初期に裸の描写などがあるためTで、
サイヤ人襲来編以降のドラゴンボールZのみに限るとAになります。その他、リアルな暴力はアウトで、ファンタジーの暴力はOKというよく分からない基準があるようですw
■ 扉
・なぜか野球のドクロ(反対はシャンクスのドクロ)。反対のページには書名や発行者が記載されています。翻訳者は北米のワンピースファンコミュニティ「
One Piece Podcast」のメンバーでもあるStephen Paul氏。日本のアニメやマンガが好きで、いわゆるファンサブ(ファン字幕)を手がけていた人がそのまま正規の翻訳者になったらしいです。
■ 登場人物
・このページはほぼ同じかと思いきや、ゾロ(Zoro)って英語版だと「
Zolo」になってるんですね。LとRの発音の違いは日本語にはないのでどちらでもいいのですが、手配書の表記は「Zoro」になっているので改変と言えば改変です。ネイティブ的には「Zolo」の方がしっくりくるのでしょうか。
※「Zolo」の表記は米国において初めてアニメ「ワンピース」のテレビ放送を手がけた制作会社4Kids(日本の数々のアニメを改悪編集したことで知られる)の訳に由来し、その後のFunimation版アニメ、Viz版マンガに引き継がれてしまったとのこと。北米のファンの間では、手配書で「Zoro」となっていることを知っているため、歯がゆいようです。4Kidsの負の遺産ですね。
■ 目次
・右上に微妙に違うサンジのドクロ(※ぐるぐる眉毛がない)
■ 本編
・「ドン!」や「バン!」などの描き文字は「BOOM!」や「DOOM!」に。1対1に変換されておらず使い分けは不明ですが、砲撃や雷のオノマトペである「BOOM!」が一応「ドン!」に相当するようです。
■ SBS
・72巻収録分については全て翻訳されていました。
・これはローの麦わらの一味の呼び方についての質問なのですが、そもそも「~屋」と呼ぶ特徴的なローのあだ名のつけ方が英語版で翻訳されていないため、しっくりこない質問にしっくりこない回答になっていますw
■ ウソップギャラリー海賊団(UGK)
・本編のコマ切抜きに差し換え。UGKが載っている海外版のコミックスは今のところ確認していません。最近は海外からの投稿もあったりしますが、こういう人たちは日本語版も買っているのでしょうか。
というわけで英語版との今更な比較でした。海外で販売されているワンピースはもっと集めたいのですが、現地に訪れる機会があったとしても販売している書店を見つけることができなかったり、そもそも通販のみだったりするのでなかなか難しいんですよね・。・
追記)ベトナム語版はUGKも載っているらしい!
世界のワンピース -List of ONE PIECE Publications from All Over the World-
フランス版ワンピース 【フランス語版】
韓国版ワンピース 【朝鮮語版】