「
キャラ差なし!勝者の作品のみ商品化のガチルール「裏造形王頂上決戦」開幕」
「
【裏造形王頂上決戦】 出場原型師インタビュー(ONE PIECE.com) 【本日投票締切】」の続報です。
原型師のサイトウヒールさんが造形王頂上決戦のあり方に異議を唱えて、山口範友樹さんの第4回大会優勝にケチをつけたことがきっかけでプロデュースされた本大会は「造形(モノ)で語れよ!」のキャッチコピーのもと、原型制作による両者の直接対決が行われ、その判定はユーザーに委ねられました。8日間の投票の結果、
186,320ポイントを獲得した山口さんが、
108,930ポイント獲得のヒールさんに倍近く差をつけて圧勝しました。
※大会告知後、両氏のTwitter上のやりとりの流れで、勝者がステーキを奢ることになっていました。実際にステーキ屋に行ったかは不明です。
●
ポイント経過
13日以降はポイントが非表示になったため2日間のポイント経過は不明です。とは言え、ご覧の通り初日からダブルスコアの大差がついており、途中でポイントを隠したところで蓋を開けてみれば、ヒールさんが獲得したポイントは山口さんの投票2日目のポイントにも及ばない見え見えの結果でした。
投票形式は初回の投票分が100ポイント、2回目以降は10ポイントとなり、1日1回投票可能という造形王頂上決戦のWEB投票と同じ形式です。が、これは実際に投票してみないと分からないもので1票あたりのポイント詳細については記載がありません。これもいつものことです。投票期間終盤にポイントを隠す演出もいつものことです。しかし、
裏造形王は本家の造形王と違って1対1の対決で、かつリアル投票のように大きく加点されるイベントもないというのに、いつもと同じで良かったのかは甚だ疑問です。初日で死に体のヒールさんにとって残りの投票期間は死体蹴りのようなものですし、投票するユーザーも結果が既に見えているので面白くありません。1人1回のみの投票でポイントは結果発表まで表示しないことはもちろん、どちらも良いからと迷う人もいるので、手持ちの100ポイントを自由に振り分けるような投票形式が今回の大会ではベストだったのではないかと思われます。
初日から投票に参加した人は約1200人で、これは第4回大会とほぼ同じですから、裏造形王が本家の造形王と同じくらい注目を浴びていた、というか造形王でいつも熱心に投票する人が裏造形王でも投票していたことが窺い知れます。
●
「造形力」について
原型師が「造形力」を競い合い、バンプレストは商品開発力をアピールする大会がバンプレストフィギュアコロシアム(造形王頂上決戦)であるのに対し、裏造形王頂上決戦は原型師による「造形力」の競い合いをフィーチャーした大会と言えるでしょう。ルールは、ヒールさんが物申したように投票にキャラ人気のバイアスがかかることを考慮して、制作キャラはサンジで統一され、着色なしの原型で勝負することとなりました。
しかし、「造形力」とは何か?
具体的な例を挙げれば、造形の緻密さ、ポージングのセンス・構成力、いかにリアルに見せるかという再現力、立体物として成立させるアレンジ力、キャラクター造形であればいかに似せて造るかなどなど。プロの原型師であれば合理的なパーティングラインの設定や仕事の早さも「造形力」の要素になり得るかもしれません。また、
投票前の記事でも触れたように、造形そのものを超越した表現力を「造形力」と認めるかは意見が分かれるところでしょう。
何を基準にして投票するべきかは大会において示されておらず、「造形力」についてもやはり各自ユーザーの判断するところとなっています。「造形力」とは何か。これについて、両氏がTwitter上で言及しています。
「造形力」の基準こそが本大会で両氏が原型師としての己の意地をかけた重要な点であるわけですが、
ルール上、勝者のみが彩色を許され、その作品が商品化されることになっている以上、本大会でユーザーに問いかけられたのは「造形力」の基準ではなく、結局どちらがより欲しいかということ。すなわち、
ユーザーへの訴求力がより高い山口さんの造形スタイルが、今、ユーザーに求められている「造形力」の基準に沿っていたというわけです。
投票前の記事で書いた通り、実際、私は山口サンジに投票しました。
上のツイートで紹介したように、ヒールさんは自身の造形スタイルについて「
粗い、汚い=造形力低い」で済まされる事が残念だと嘆いていますが、想いが伝わらないのは表現力が低いから、あるいはそういった表現・造形は求められていないのが大勢ということでしょう。私には、ヒールさんの造形スタイルでよく見られる腕や脚、服のダメージ造形は理に適っていないように感じられます。表現力の”表現”は伝わってこそですから、(名指しで言っていませんが)山口さんが指摘するように、
ヒールさんの造形スタイルは表現力に見合う造形力が伴っていないというのが的確なのだと思います。
●
サイトウヒールさんについて
ところで、喧嘩を売って敗れたヒールさんは自身のTwitterアカウントを7月いっぱいで削除する予定だそうです。
何を思ってか、理由は定かではありません。敗者は潔く身を引いて、今後、表舞台への露出は控えるつもりなのか。文脈的に新しいアカウントを作るつもりのようにも受け取れますが(Twitterをやめるとは言っていない)、そうだとすればあまりにも無責任な気がします
(追記:記事中にサイトウヒールさんのTwitterアカウントが表示されていないことから分かるように、実際に7月いっぱいでアカウントは削除されました。商業原型師を引退し、以前から活動していたマシーネンクリーガーの造形をメインでやっていくとのこと。11月に登場するバンプレストプライズがサイトウヒールさんが携わった最後の商業原型になる模様です。追記終)。本大会の発端となったのがTwitterであり、大会告知後、山口さんやユーザーらとのやり取りが本大会の痕跡になるわけですが、それを勝手に削除してしまうのはどうなのかと。そもそも、ポイントこそは山口さんの圧勝、ヒールさんの惨敗となりましたが、最初から2択で「どちらが欲しいか」を問うような投票で3分の1の票を獲得しているヒールさんの造形スタイルはそれだけの訴求力・シェアは持っているわけですから、少しは誇ってもいい気はします。確かに、負けは負けですが。
ヒールさんに理由を尋ねようにも、
私のTwitterアカウントはヒールさんにブロックされていますので(笑)、ここからは予想ですが、考えてみれば、キャラ人気のバイアスがかかっていると投票結果に難癖をつけることは、投票者であるユーザーにもケチをつけることと紙一重ではないですか。それでも裏造形王のジャッジをユーザーに委ねたのは、キャラ差がなければ自身の造形スタイルが認められるものだと妄信していたからこそでしょう。しかし、投票結果はそうではなかったと。自身の造形スタイル云々より、ユーザーへの失望感や大勢が山口さんの造形スタイルを支持したことのショックが大きかったように思われます。
ブログのコメントを読むと、山口さんの人間性を否定してヒールさんの人間性を評価している人が割と多いようなのですが(そもそもフィギュアについて原型師の人間性は関係ないですが)、私は全く逆に感じています。Twitterを見ると、山口さんはユーモアがあり、本音で語っていて誠意があり、ユーザーに媚びていないところを好意的に感じています。
だから敢えて書くのですが、ちょっと聞いて欲しい。
話は2年半前に遡るのですが、まず、Twitterで最初にフォローしてきたのは私のブログを見ているというヒールさんでした。
とまぁ、こんな感じで私もヒールさんをフォローして相互フォローとなったのですが、いつの間にやらヒールさんが私のフォローを外していたんですね。それに気づいたのが、第3回大会の造形王頂上決戦の際、ブログでヒールさんのゾロについて
批判的なレビューを書いた後のことで、思い当たる節はそれしかありませんから、私はおや?と思うわけです。
そして、ヒールさんをTwitterでフォローしている人(ヒールさん派が当然多いと思うが)は分かると思いますが、ヒールさんは自分や自身の作品を褒めているツイートをバンバン、リツイートするんですね。フォロワー数を増やしたいのでしょうけど、自分への批判に対しては耳を塞いで、まるでそれを覆い隠すように自分のことを褒めているツイートばかりをリツイートしまくる行為に私は幼稚さしか感じませんでした。
結果、耳障りのいいツイートばかりしてくれるフォロワーを囲ったことが、今回の敗因につながったと言っても過言ではないのかもしれません。自分を持ち上げてくれるフォロワーに乗せられて、本大会のきっかけになる発言に至ったということもあり得るでしょう。
もし私の批判的なレビューを「愛ある批判・不満」だと受け入れていれば、もし自身の作品に対する批判にもっと耳を傾けていれば、今回の結果は変わっていたのかもしれません。少なくとも、ヒールサンジの顔の方が原作に似ているという声は多かったのですから。
しかし今回の結果を受けてもなお、我が強いヒールさんが自らの造形スタイルを変えることは、おそらくないでしょう。良く言えば、ブレない。一方、山口さんは、公式サイトに掲載されている裏造形王への意気込みで、もし負けたら、すなわち「
もし今回、サイトウさんの表現が評価されるのであれば、自分は今後はその表現も意図的に造形していく」とコメントしており、結局、プロの原型師としても、人間力でも山口さんの方が上手だったなと思い知らされます。
ちなみに、フィギュアに原型師の人間性は関係ありませんから、こういったことが分かった後も私は造形王頂上決戦等で公平にレビューしていたと一応断っておきます。フォローを外された後は私はヒールさんに直接ツイートしたことは一度もなく、ブロックされた理由はさっぱり分かりません(笑)。ごく最近ブロックされた模様です。
ヒールさんに対して特に私怨はありません。ただし、山口さんの人間性を否定して(否定する理由もよく分からない)、ヒールさんの人間性を評価するのは、私の中ではあり得ない事です。
●
彩色原型公開
勝利した山口サンジの彩色原型が公開になりました。
(;つД⊂) 緑がチカチカする。
彩色に対する厳しいレギュレーションは裏造形王でもあったらしく、シャドウやグラデーション無しの
単色塗装となっています。あの熱い戦いはなんだったのかw
単色塗装は彩色の善し悪しや彩色による補正を排除して原型を評価する為に、造形王頂上決戦3から導入されたルールですが、もう勝負は決したのだから単色塗装である必要はないだろうと。
単色塗装というルールはバンプレストの商品開発上の都合(限界)から生まれた詭弁という可能性が強くなってきました。折角の原型がもったいない。ただ、
後ろからはめ込んでいる眼球のカッコよさは彩色原型で初めて分かりました。原型の時は別パーツになっていることすら分かりませんでしたね。
大会を終えてのコメント(山口さん、ヒールさん、大会プロデューサー阪田さん)
→
http://bfc.bpnavi.jp/urazoukeio/result.html