お便りが届いたお
コミックス『ONE PIECE』の投稿イラストコーナー「
ウソップギャラリー海賊団(通称:UGK)」。こちらのコーナーはコミックス5巻(1998年)から続いており、最近ではネットの公式ページで投稿作品のカラー掲載も行われています。また、当時学生だった大賞受賞者やイラスト採用者の中からはプロの漫画家になった人達が出てきていることは、時々、同コミックスのおまけコーナーで紹介されています。UGKが漫画家を志す切っ掛けやモチベーションになっていることは大変喜ばしいことで、そういった側面は読者にも理解されているところだと思いますが、ここでは
UGKの"陰"の側面について書いておこうと思います。
と言うのも、ここ最近
ワンピース同人界隈で問題になっている騒動とUGKが切っても切れない関係にあるからです。ワンピース同人者の(かなり行儀が悪い)問題行動については私が関知していないことでして、実はそれらの問題をブログで紹介して欲しいというメールがありました。どういった形でブログ記事にしようか迷ったわけですが、一般のワンピースファンに説明する上で、数件の事例を簡潔に挙げて何が問題なのか指摘する程度で十分だろうと考えます。そして同人の事情についても私はそれほど詳しくありませんから、やる夫に解説してもらうことにしましょう。
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ケース1 〜PU氏の場合〜
・Twitterフォロワー数2万人の人気ワンピース同人者
・同人者はUGKにてイラスト採用数件(ペンネーム及び本名名義)
【問題点】
UGK採用イラストをポストカード等のグッズにして販売
UGK採用イラストを表紙・ストーリーにした同人誌を販売(未遂)
それ海賊版だお
やる夫が言葉足らずなので結局私が解説します(ぇ
一般的な感覚ですと、投稿作品の著作権は投稿者に当然あるものだと思いがちですが、実はそうではありません。UGKのページには注意事項として「
応募された文面(文章、イラスト等)は集英社に帰属する」とちゃんと記載されています。これは投稿コンテスト等において、著作権のいざこざをクリアするための防衛的な手段として主催者が取る一般的な文言ではありますが、
「採用作品」に限らず「応募作品すべて」が出版社に帰属するというのは
二次創作ならではのことではないかと思います。
と言うのも、
二次創作者の著作権が認められるのは原作の著作権者が許諾した上の創作に限るという旨が著作権法に明記されているわけですが、著作権者の集英社がUGKでファンイラストすなわちワンピースの二次創作作品を募集するということは、
暗に投稿者に対して二次創作の著作権を認めたことになる可能性があります。「応募作品すべて」の著作権が集英社に帰属すると断っているのは、これを悪用されることを回避するためだろうと考えられます。
集英社は二次創作に対する具体的な声明を出していませんが、UGKのこの記載からその態度はある程度理解することができます。暗黙の了解だとして、二次創作者が著作権を主張するのは不届き千万です。話が少しズレましたが、
たとえ本人のイラストといえど集英社がその著作権を認めていないのに、単行本に掲載されたイラストのグッズを販売することは海賊版の販売行為にあたります。立派な著作権法違反の刑事事件であり、同人活動の域を逸脱しております。
これも少し一般人の感覚からは分かりにくいことですが、二次創作による著作権侵害行為より海賊版による著作権侵害行為の方がより直接的で罪が重いようです。また、逮捕されるリスクも高いです。
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ケース2 〜PO氏の場合〜
・Twitterフォロワー数4万人の人気ワンピース同人者
・YouTubeにワンピース模写の早描き動画を投稿
・SBSの題字イラスト(UGK投稿の一部)に採用多数
【問題点】
原作に酷似した絵柄の同人誌を大っぴらに告知・販売
ワンピース模写絵の色紙を販売(モノクロ3000円〜/カラー5000円〜)
集英社にその活動がバレており、その後イラストが全く採用されていない(現在は別のペンネームに変えて採用されている)
やり過ぎだお…
同人活動とは文字で言えば同人誌を作る人達の活動ですが、広義では二次創作やコスプレも含まれており、その活動は多彩です。いずれにせよ、多くの場合、
二次創作にまつわる同人活動は原作者の著作権を侵害している可能性があり、アンダーグラウンドで行われるべき活動のはずです。本来の古き良き同人活動は仲間うち数人で行われる同好会のようなものであったはずですが、コミケのような大規模な同人誌即売会の存在で同人活動とは何なのかよく分からなくなってきます。自己防衛のために同人者が使う詭弁は色々あるのですが、「同人誌の売買には同人者しか携わっていない」というものがあります。これは同人誌の売買が原価による取り引きであって、
あくまでも同人者同士の"配布"行為だと言うわけです。この体裁は約20万人が参加するコミケでも一貫しており、参加者は全員同人者という体になっています。実際はほとんどが同人誌を買い求めにやって来た客であり、転売ヤーもいるわけですが。
日本の著作権侵害罪は親告罪であるため、原作の著作権者の裁量に委ねられているという側面があります。原作の著作権者の立場で二次創作活動を見た時、その想いは様々でしょうが、一般的に考えて、
良識的な範疇であればその活動はファン活動として好意的に認識されると思われます。良識的というのはもちろん金銭が絡まない活動です。二次創作について具体的なガイドラインを発表している著作権者も稀にいます。その場合、エロやグロなど、著作権者が不快に思うであろう表現は当然NGになる可能性が高いでしょう。
最近、TPPの知的財産権協議で著作権侵害罪が非親告罪へ変わるのではないかと同人界隈は戦々恐々としているようですが、同人活動は全てNGという事態になることはおそらくないでしょう。そうなった場合には、出版社は二次創作に関するガイドラインを出すことになるはずです。これはダメで、これはOK、ここまでやってはダメという具体的な指針です。同人誌の販売はNGというケースもあることでしょう。しかし、たとえ同人誌の売買が禁止になっても本来の同人活動が続けられなくなるわけではありません。
結局、何が言いたいのかというと、それまで採択率がすこぶる良かった投稿イラストがある時を境に一切採用されなくなった(当人がそう発言している)というこの事例は、
その大胆すぎる同人活動が集英社が想定するラインを完全に越えていたということです。同人活動の多くは著作権者と一般人の目に隠れた陰で、同志らの中で密かに行われるべき活動なのです。ワンピースの場合は「大宴海」という同人誌即売会があるようですが、その存在は一般のワンピースファンに知られていませんし、私もよく知りません。
そういえば、62巻のUGK大賞作品は有名なワンピース同人作家S氏のイラストを模倣した、いわゆるパクリ作品だったため、当時同人界隈では騒ぎ立ったようですが、パクられた本人は事が大きくなる前に「騒ぎ立てないでくれ」と鎮火に努めたようです。事が大きくなるとは、要するに集英社に問い合わせが殺到して、集英社にその同人活動を知られてしまう事態です。
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ケース3 〜T氏の場合〜
・Twitterフォロワー数1万人の人気ワンピース同人者
・UGK大賞受賞者、受賞以降もイラスト採用多数
・職業:イラストレイター
【問題点】
UGK投稿イラストや版権イラストがある場(pixivやHP)で仕事を募集
海賊版を販売するサークルの同人誌にイラスト寄稿
そこまで問題視することじゃないお
この人は私と直接因縁があり、ブログでは一切説明していなかったのでついでに紹介しておきましょう。
このツイートは私が つよ丸さんをフォローしてすぐのことでした。彼のツイート内容は自身のイラストがアミューズメント施設等、色々な所で無断転載されていて困っているというもの。
一見、真っ当な発言ですが、私には違和感がありました。ので、本人はどう考えているのかと思い、軽くツッコミを入れました。
これに対して、次のようなリプが返ってきました。
ほう、と。ただ、私が論点にしたい部分からは逃げられてしまったので、もっとはっきり質問します。
そうすると、先のリプに対してはほぼ即答だったのに、今度はリプがすぐ返ってきませんでした。1時間以上経って、次のようなリプが返ってきました。私のブログを色々調べていたようです。
再び論点をずらされた上に、質問しておいて「これ以上リプはお返しできません」と逃げられてしまいます。本人が聞いているか分かりませんが、質問されたので私は一応答えます。
これを最後に私は彼にリプを一切送っていません。
私としては本人がどのような考えなのかは、このやり取りでもう理解できたわけです。ちなみに、その後、私は彼のフォローは当然外すわけですが、彼は私のアカウントをブロックしています。一度もメッセージを送ったことがないpixivのアカウントまでもブロックしています。どこまで幼稚なんじゃいと。私としては発言に対する純粋な違和感からリプしたのですが、相当の敵意を持たれてしまったようです。
勘違いして欲しくないのは、私は同人活動に対して割と寛容な人間だという事です。正直、同人活動との接点を断っても一切困る事はないわけですが、立場としては世間一般の感覚より寛容な方だと思います。
私のスタンスを一言で言えば「弁えろよ」ということなのです。金銭授受が発生する同人誌販売は快く思っていませんが、大手サークル以外は利益を出していないことは理解しています。逆に言えば大手サークルは利益を出し過ぎていてアウトだと思いますし、委託販売は同人者の詭弁がまかり通らないことだと思いますし、二次創作者に著作権があるなんてぬかす輩は逮捕されればいいと思っています。というか、オンラインストレージの時代に、配布方法は同人誌じゃなくていいだろうとも思っています。
話を元に戻して、私のツイートは大したものではなかったのですが、このツイートをした時はよくぞ言ってくれたという旨の長文メールが同人界隈から数件届きました。
そもそも同人者が公式の企画に積極的に参加することを良く思っていない人もいるようです。また、指摘することで攻撃されてしまうことを恐れているようでした。一方、Twitterでは私のリプに対して彼と同様の論点ずらしの指摘をする人が多数いました。
私が指摘したかった論点は、
・集英社が認めていない二次創作で起こったトラブルについては、まず二次創作者に責任がある(→Twitterでその過失を拡散するのではなく、黙って自分で解決しろ)
・自身のイラストを悪用されて不当な利益が生まれることを懸念しているが、自身がイラストを寄稿した同人誌が委託販売されている
という2点だったのですが、この点についての回答は一切なく、私がブログでワンピース原作の無断転載していることを追及するものばかりでした。なぜかといえば、その回答が不都合であることはもちろん、
私が金銭の授受でライン引きをしており、ブログではアフィリエイトによる金稼ぎなど一切していなかったため(寧ろ広告を消すために月々お金を払っている)、私を"敵"と見なす同人者達は私の無断転載を指摘して「お前が言うな」と言うほかなかったわけです。
これは私の指摘に対する反論にはなっていませんし、同人者がこれを指摘することで自己矛盾になっていることには気付いていないようでした(つまり「お前が言うな」と言っているお前こそ「お前が言うな」状態)。
一方、私は金銭の授受でライン引きしているため、自己矛盾していません。そして、著作権侵害について、
金銭の授受でライン引きすることや"丸上げ"行為と区別する認識は、世間一般の良識と違いないと思います。このブログの読者もきっとそういう認識でしょう。先程、TPPの知的財産権協議について触れましたが、もし著作権侵害が非親告罪になったとすれば、このコンプライアンスはもっと厳しいものに移り変わっていくと予想されますが、今はそういう状況にはなっていません。実際、出版社やテレビ局はマンガや動画の違法アップロードにただ手を焼いているのが現状です。
話が大分長くなったのでそろそろまとめに入りますが、今回紹介した3つの事例は
いずれもUGKで知名度がある同人者が、同人知識のない一般のワンピースファン(特に中高生)を同人に巻き込んでいるという根本的な問題があります。UGKは潜在的な同人活動の土壌とも言えるでしょう。しかしUGKは栄ちゃんの肝入りのコーナーですから、今後もなくなるようなことはないと思いますが、SNS等のツールが普及している現在、同じような事例が発生する可能性は十分にあり得ます。
ここで私から言えることは、
安易に同人に関わるな! それだけです。
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