ゲットしたぜ〜、と。
■ 集英社分冊百科(ムック版)DVD付分冊マンガ講座 ジャンプ流! vol.03 尾田栄一郎
発売日:2015年10月1日発売(静岡版 ※静岡県限定流通)
2016年1月以降発売予定(全国版)
出版社:集英社
価格:1,393円
【商品説明】
ジャンプ流!とは、『週刊少年ジャンプ』を彩る作家陣を徹底取材!マンガ家の心・技・体を、教本と映像で学ぶことができるシリーズだ!
【セット内容】
・ジャンプ流!秘伝ガイド vol.03 まるごと尾田栄一郎
・ジャンプ流!モ写用紙 『ONE PIECE』634話
・ジャンプ流!複製原画
・ジャンプ流!DVD vol.03 尾田栄一郎
第1弾が「
鳥山明」、第2弾が「
岸本斉史」、そして第3弾に「
尾田栄一郎」と、ジャンプの人気漫画家が名を連ねている当シリーズ。マンガ講座ということで、内容は漫画家志望の人向けになってはいますが、描き下ろしの複製原画が特典に付いており、原作のファングッズにもなっています。冊子教本とDVDに関しては原作"者"ファン向けです。
本書は"モニタリングといえば"の静岡県で試験販売されていましたが、すでに来年1月から全国で発売されることが決定したようです。私はネットオークションで静岡版を手に入れていましたので、一足早くレビューしますよ!
まず、教本冊子の目次はこんな感じです↓
・イントロダクション(P2-3)
・ROAD to JUMP マンガ家デビュー秘話「第3回 尾田栄一郎」(P4-6)
・ジャンプSTUDIO発掘隊(P7)
・ジャン研 第3回「尾田流"どーんと特盛"漫画術」(P8-11)
・ジャンプ モ写塾 第3回「ONE PIECE 第634話」(P12-14)
・ジャンプ流!マンガのイロハ 第3回(P15-17)
・ジャンプ編集部㊙情報局(P18)
「マンガ家デビュー秘話」では、当時ケンカのような打ち合わせをしていたという栄ちゃんと連載開始前の担当だった久島薫 編集、両者のインタビューを交えて連載開始までの道のりが語られています(久島編集の下の名前が出たのはおそらく本書が初)。当時は自信過剰で久島編集に反発したけども、プロの世界に足を踏み込んで力不足を実感し、描いて描いて描きまくって修行したという流れです。
この辺りの話はこれまでに出版されたインタビューやSBSを一通り読んでいると、実はそれほど真新しい内容ではないのですが、画力向上のためにアシスタント修行とは別に、
ディズニーの手描き時代のアニメーション作品を描き写して作画の練習していたという話が興味深かったです。とりわけ『リトル・マーメイド』はすべてのキャラクターと気になった表情全部を描き写したとのことで、近海の主のデザイン元が『リトル・マーメイド』に出てくる双子のウツボ(フロットサム&ジェットサム)だとする説の説得力がぐっと上がりました。一度描き写しているわけですから、無意識だったとしても近海の主のデザインに影響を与えたのは間違いないでしょう。
キャラクターデザイン元・イメージ元のまとめ
「最初は、"絵が薄っぺらい"と言われ続けました。自分では認識できていなかったんですが、読切の『MONSTERS』が実際に誌面に載り、そこで初めて思い知った。他の作家さんと並んで誌面に載った自分のマンガを、プロのマンガを読むのと同じ感覚で読んでみると、久島さんの言葉の意味が悔しいけど実感できたんです。
ほかにも久島さんには、絵柄について厳しいことをいっぱい言われました。1番効いたのは"お前の描く女は全員可愛くない!"って言葉(笑)。もうムカッ!ときてその夜は眠れず、ずっと女の子を描く練習をしてました」
画力向上のため、尾田先生はほかにもさまざまな練習を行っていたという。
「『ピーターパン』とか、ディズニーのアニメーション作品を観てきっちり描き写していました。手描き時代のディズニー作品って、作画が素晴らしいんです。『リトルマーメイド』はビデオをコマ送りして、すべてのキャラクターと、気になった表情全部を描き写したりしました。
あとマンガ家ってマンガ的な絵だけじゃなく、写実的な絵も描けないといけないんです。その練習のため映画雑誌を買ってきて、載っているたくさんの映画スターの顔を、似顔絵ではなく、写真のように正確に描いていました。同時に、その頃はアシスタントをしていた時代でもあり、そこで学んだこともすごく多かったです」
(「ROAD to JUMP マンガ家デビュー秘話「第3回 尾田栄一郎」」抜粋)
「ジャンプSTUDIO発掘隊」では仕事場の写真がいくつか掲載されています。栄ちゃんの場合、メディアに露出しない代わりに、仕事場の写真は割と出てくるわけですが、
仕事場のトイレの写真まで載っているのは珍しいです。↓すっごいトイレだなぁ〜w
「ジャン研」では、所々に栄ちゃんのコメントを散りばめつつ、編集者のプロの目から観た栄ちゃんの絵柄やマンガ作りが解説されています。決めゴマの「どん!」の演出については、「
時代劇の決め場面で鳴る太鼓がイメージの発端かも」と誕生秘話(!?)が語られています。また、「
基本的には鳴るべき音をそのまま描いているだけですよ(笑)」とも言っているので、決めゴマの効果音を読む際は太鼓の音に脳内変換してお読み下さいw だとすると、「ドドン!」が一番しっくりきますね。
「ジャンプ モ写塾」は付録の模写指南です。「マンガのイロハ」の第3回ではマンガ作りの第一歩、ネームの作り方がジャンプ作品を見本に解説されています。
「ジャンプ編集部㊙情報局」では初期担当の久島編集と『ONE PIECE』現担当の杉田編集のコメントが載っています。杉田編集によると、セニョール・ピンクのファッションの秘密が明らかになる悲しい過去の話(
775話)は当初は描かれる予定はなかったとのこと。元々裏設定としてあったものが、栄ちゃんの心変わりで結局、本編のエピソードに盛り込まれた模様です。私としては、担当編集に裏設定のままで止めて欲しかったところです。結構、ページを割きましたからね。ベビー5の過去話が特にそうですけど、ギャグの理由付けに悲しいエピソードなんて要らんのですわ。
DVDのチャプターは3本立てです。
・体感!カラー作画(約48分)
・伝心!創作の現場から(約6分)
・実技!マンガテクニック 第3回スクリーントーン(約5分)
「体感!カラー作画」では、本書のために描き下ろしたカラーイラストが白紙から出来上がるまでを収録しています。収録時間から察しの通り、
カットをあまり入れず、下絵から彩色まで撮り続けている貴重な映像となっています。コピックで塗り重ねていって、いつも見る『ONE PIECE』のカラーイラストが出来上がっていく様子は地味に楽しいです。また、絵を描き終えた後に生声でインタビューが収録されています。絵の勉強になりますね(私は描かないですけど)。
【下絵】
【下書き】
【ペン入れ&ベタ塗り】
↓
下書き線を消してさらにペン入れ作業
↓
【彩色】
↓
コピックで塗り塗り
↓
ホワイトでハイライト
↓
色鉛筆で淡くハイライト ※コピックに色がのる色鉛筆とそうでないものがあるそうな
「伝心!創作の現場から」は栄ちゃんの仕事場の映像です。ナレーションはゾロ役の中井和哉さん(※ゾロを演じてはいない)。こちらのチャプターでは漫画家志望の人に向けたメッセージが生声で収録されています。
・アシスタントの机
・アシスタントの机に貼られている原稿最終チェック用のメモ。描き忘れられやすいキャラクターの特徴がまとめられているようです。最終のヨコに「アンドウ」とあるのは『ONE PIECE』仕上げ専門のアシスタントだった
安藤英先生のことでしょうね。
・仕事場にあるアイテムの中で栄ちゃんの一番のお気に入りだという等身大のターミネーターフィギュア。たぶん70万円するやつです。
■
T-800 Endoskeleton Terminator Life-Size Figure(Sideshow Collectibles製)$6,000
・ジャンプ編集部から連載作家に連載50回ごとに贈られる記念トロフィー。ゴムゴムの実型のものや、手配書盾もあります。
・こちらは連載800話記念でトロフィーの代わりに貰ったプレートみたいです。ちなみに、ジャンプ巻末の目次コメントによると、連載500話記念ではトロフィー代わりに本革の海賊旗をもらったはずです。
・秘蔵の設定ノート。今後本編でどんどん出てきそうなものが並んでいます。まだ原作本編で描かれていないためにMONO消しゴムで隠されていますが、「ゾウ」の下に書かれている文字は
802話から普通に考えて、「ミンク族の村」でしょうね。楽しみです。
静岡版はこのVol.3で終わっているのですが、全国版はVol.4以降の続きがあるのでしょうか。Vol.3までの記載のテクニックだけじゃマンガは描けませんしね。個人的には「井上雄彦」「徳弘正也」「村田雄介」「佐伯俊」あたりが出揃うまではどんどん刊行して欲しいです。
【NARUTO展】 岸本斉史×尾田栄一郎 ”龍虎”頂上対談 【道ーMICHIー/新伝・雷の書】
尾田栄一郎「過去と未来をつなげて作ることを個性にしたのが、僕が描いている『ONE PIECE』」 【熱風(ジブリ)7月号】
尾田栄一郎「ワンピースの正体は自分の心の成長でした みたいな事はしません」【さくらももこ対談】