『オデッセイ』原作者が作品の魅力と“アニメ愛”を語る!
リドリー・スコット監督がマット・デイモン主演で描く超大作『オデッセイ』は、コンピュータ・プログラマーから作家に転身したアンディ・ウィアーの小説が原作だ。国際電話でウィアーにインタビューすると、彼から出てきた言葉はなぜか、ワンピース、涼宮ハルヒ、モスピーダ……電話口の相手は、『オデッセイ』の話よりも日本のアニメの話がしたくてたまらない男だった!
『オデッセイ』は、火星での有人探査の最中、ひとり取り残されてしまった宇宙飛行士のワトニーが、空気も水も通信手段もない過酷な環境の中、知恵と強い精神力を発揮して生き延びようとする姿を描いた作品で、原作小説がオンラインで発表された段階でプロデューサーは映画化権を取得。日本では『火星の人』のタイトルでハヤカワ文庫から出版されている。
2005年に自宅の居間で小説のアイデアを思いついたウィアーは、4年かけて小説を執筆したが「最初の段階からユーモアが重要だと思っていた」という。「あのような状況に放り込まれた男が、ただサバイバルをするだけじゃ退屈だ。それに主人公が暗い想像をするシーンばかり書きたくなかったんだ。僕が書きたかったのは、科学の力によって物事を解決していく物語。読者は宇宙飛行士は頭が良くて、感情をコントロールする訓練を受けていると知っているから、僕はワトニーが間違いのない手段を使っていくのを丁寧に書いていけば良かった。そうしたら読者はワトニーのことを信頼してくれるからね」
彼の言う通り、劇中のワトニーは過酷な状況でも、記録用のカメラに向かってジョークを飛ばし、気合いではなく理論と計算を駆使してトラブルを解決していく。問題があっても諦めない、不具合を見つけ出しては修正する。ウィアーは、ワトニーには自身と同じように“プログラマーの気質”が備わっているという。「ワトニーは自分に似せて書くようにしたからね。でも、ワトニーは絶対に諦めない男なんだ」。映画では火星でひとり奮闘するワトニー、地球で彼を生還させるべく奔走する人々、そしてワトニーは死んだと思い込んで先に脱出してしまったクルーのドラマが描かれる。「この映画は脚色が本当に素晴らしいと思ったよ。自分では予想もしなかった解釈が描かれていたシーンもあって驚かされたし、ワトニーが記録用のカメラに向かって話をするシーンがこの映画の成功のポイントだね」。
ウィアーは、日本のアニメが大好きで、飛行機が嫌いなために来日経験はないが、アニメを見まくって日本語を覚えたという。「子供の頃は『ロボテック』が好きだったんだ。シッテイマスカ? マクロスとサザンクロスとモスピーダを合わせたアニメなんだ(ブログ注:米国では『超時空要塞マクロス』、『超時空騎団サザンクロス』、『機甲創世記モスピーダ』の3作品に”同一世界の異なる時代の物語”という解釈を与えて『ロボテック(Robotech)』というシリーズで放送され、ヒットした)。僕は特にモスピーダが好きだ! インタビュアーに質問していいかな? イチバンスキナアニメハナンデスカ? 僕は最近のものだと『ワンピース』と『ハルヒスズミヤ(涼宮ハルヒの憂鬱)』が好きだよ。飛行機が苦手なんだけど、少しずつ練習して、いつか日本に行きたいと思ってるよ。サンフランシスコカラトウキョウマデドレグライカカリマスカ? 10時間ぐらいか……少しずつ練習するよ」
ちなみにアニメ以外では、懐かしいディスコミュージックが好きなようだ。「すごく好きなんだけど、友達からはバカにされてるんだ。でも、僕はいまだにディスコミュージックが大好きなんだ! 今日は話せて楽しかった。ありがとう! シツレイイタシマス」
(ぴあ映画生活)