10月22日から一部劇場で上映されている
シネマ歌舞伎「スーパー歌舞伎Ⅱワンピース」を先日観てきました。パンフレットも一応買いました。昨年の『スーパー歌舞伎Ⅱワンピース』の新橋演舞場11月公演を映像化したもので、パンフレットの内容は歌舞伎の劇場で販売されていた筋書き(プログラム)とあまり変わらないだろうと、あまり期待していなかったのですが、
これが実は大変良いものでして、舞台は観たからシネマ歌舞伎は別にいいと言う人にもパンフレットだけは劇場での購入をお勧めしておきます。
これがシネマ歌舞伎「スーパー歌舞伎Ⅱワンピース」のパンフレット。価格は1500円と高めの設定。
<内容>
・尾田栄一郎コメント ※
・これまでの物語 ※
・シネマ歌舞伎『ワンピース』あらすじ
・人物相関図 ※
・ココが歌舞伎!?
・市川猿之助インタビュー
・キャスト紹介
・横内謙介コメント
・シネマ歌舞伎『ワンピース』監督に聞く!!!!
・スタッフインタビュー
・市川猿之助×北川悠仁 対談 ※
・主題歌『TETOTE』歌詞 ※
・製作スタッフ一覧
※舞台 筋書きから再録
「ココが歌舞伎!?」の特集では舞台写真入りで、スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」に取り入れられている歌舞伎独特の表現技法について解説が付けられています。スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」で初めて歌舞伎を観劇した私みたいな人にとっては、この記事だけでも、このパンフレットを買う価値があると思います。解説は「ツラネ」「クドキ」「六方」「本水」「病鉢巻」「宙乗り」「歌舞伎的キャラクター」「見得」の8項目、8ページ。
「監督に聞く!!!!」は撮影監督の渡部武彦さんとシネマ歌舞伎プロデューサーの松本宗大さんの対談です。撮影は2回(以上)行なったようです。シネマ歌舞伎では本水のシーンがそのままど迫力の映像になっているのですが、そこにも触れられています。カメラが役者に寄りすぎて全身の演技が見えないというもどかしさも所々あるのですが、役者の顔がアップで見れるのがシネマ歌舞伎の魅力ですね。坂東巳之助さんが演じるボン・クレーの顔芸がスゴかったですw
「スタッフインタビュー」では舞台美術、衣装、音楽、ヘアデザイン担当のスタッフのコメントが掲載されています。各人、製作秘話的なエピソードが載っていて面白いです。インペルダウン脱出のシーンでは猿之助さんとクジラのバルーンが宙に浮きますが、このシーンを原作通りにジンベエザメで再現しようとすると、ジンベエザメの身体は細く、ヘリウムガスを入れても浮かない、だから、クジラに変更になったとのことです。
シネマ歌舞伎は3時間半以上の舞台を2時間に映像化しているため、当然カットが多用されています。大幅にカットされた女ヶ島編と白ひげ海賊団登場シーンではナレーションによって補完されています。個人的には、ワンピース歌舞伎で人気キャラと思われる
ニョン婆が活躍する女ヶ島編をほぼ丸々カットして、女ヶ島編の宴会のシーンとバナロ島の決戦シーン、ワンピース歌舞伎オリジナルのルフィの精神世界のシーン(子役のチョッパーが登場)を残すのはどうなんだと思ってしょうがないというか、ニョン婆に関してはシネマ歌舞伎で一言も台詞を喋っていないのにキャスト紹介では写真入りで掲載されているために、シネマ歌舞伎だけを観た人には当惑ものです。舞台上で役者に解説させていたシーンこそナレーションに代替するべきとも思いましたし、序盤のギャグシーンがちょいちょいカットされていたのも残念でした。安っぽいエフェクトの追加も萎えました。
結局のところ、シネマ歌舞伎は役者の顔がアップで見れる!その点に尽きると思います。実際の舞台の魅力はシネマ歌舞伎に収まり切れていないので、シネマ歌舞伎で初めて「スーパー歌舞伎Ⅱワンピース」を観たという人には是非来年の再演に足を運んで欲しいものです。