(前略)そして「ごくまれに、こんな覇気を扱える者がいる」と言って、レイリーが巨大なゾウをひと睨みすると、ゾウは一瞬で気絶した。
これが相手を威圧する力……“覇王色”の覇気……!!
レイリーの説明と、マンガで起きた現象を総合すると、“覇王色”の覇気は、全身から威圧感を放ち、周囲の者を失神させるのだろう。
失神とは「脳の血流が減少し、意識を消失する」ことで、別の言い方をすると「脳貧血」。
つまり“覇王色”の覇気とは「周囲の人々に脳貧血を起こさせる技」ともいえるのだ。
なんだか、夏の朝礼を思い出しますなあ。
朝礼で倒れるのと違うのは、“覇王色”の覇気が「威圧感」で脳貧血を誘発させることだ。
そういうことがあるのかなあ?
と思って調べると、おお、ありました。
血管迷走神経反射という現象!
人間が、鋭い痛み、強い光、大きな音、驚き、怒りを感じると、脳が「リラックスしなければ」と考えて、血管迷走神経に指令を与え、毛細血管を拡張させる。
この結果、脳へ行く血流が減少し、失神に至るのだ。
注射が嫌いな人が、注射されただけで失神することもあるという。
つまり、敵に強い精神的ストレスを与えれば、手を触れずに失神させることもできる!
“覇王色”の覇気も充分に可能ということだ。
ただし、ルフィはいっぺんに5万人も失神させている。
目の前にいる相手には強い精神的ストレスを与えやすいとしても、5万人もいると、かなり遠くの相手にも影響を与えなければならない。それは大変ではなかろうか。
いくつかのコマから計算すると、ルフィにいちばん近い魚人まで10m、最も遠い魚人まで440m。
距離にして44倍も違う。
“覇王色”の覇気が、ルフィの体から放たれて、四方八方に広がるとすれば、それはロウソクや星などの「点光源」から放たれた光と同じ性質を持つと考えられる。
つまり「距離×距離」に反比例して弱くなるだろう。
ということは、距離に44倍の差があるとき、感じる威圧感は44×44=1936倍。
最も遠い魚人たちは、最前列の魚人の1936分の1の威圧感しか感じなかったはずなのだ。
それでも失神した。
逆にいえば、最前列の魚人は、いちばん遠くの魚人の1936倍の威圧感を味わったことになる。
もう、メチャメチャ怖かったでしょうなあ。
よく死ななかったなあ。
世にも恐ろしい覇王色の覇気。
ルフィを怒らせないように気をつけよう。