先日ヤフオク(旧Yahoo!オークション)に『ONE PIECE』の
直筆ネーム(作者が下書きの前に描く漫画の設計図のようなもの)4点が出品され、最高で764,000円で落札されました。
出品されたネームは以下4点
・第485話 ‘‘麦わらの一味・海賊狩りのゾロ‘‘ 18・19ページ → 落札額 764,000円
・第485話 ‘‘麦わらの一味・海賊狩りのゾロ‘‘ 12・13ページ → 落札者なし
・第483話 ‘‘夢の終わり‘‘ 6・7ページ → 落札額 656,000円
・第482話 ‘‘朝が来る‘‘ 3・4ページ → 落札額 610,000円
おそらく本物です。
出品されたネームはいずれもスリラーバーク編終わり頃のもので、2007年末から2008年初め頃に描かれたものになります。最高額で落札された血だらけのゾロのカットがあるネームは、ネームでありながらかなり丁寧に描き込まれており、4点のうち最高額で落札されたのは頷けます。
ネームの
入手経緯については個人情報に関わるため、落札者のみに伝えると商品説明にあります。
ジャンプ漫画の”生原稿”は編集部で管理されていますが、ネームについては集英社が預かるものではありません。栄ちゃんの場合、電話打ち合わせが多いようですから、ネームは通常、FAXで担当編集に送信しているものと思われます。したがって、”直筆ネーム”となると、
入手することができるのは栄ちゃんの仕事場に訪問する機会がある栄ちゃんに近しい人物と考えられます。この場合、一番に思いつくのはアシスタントでしょう。また、栄ちゃんは芸能人やアニメスタッフなどと交流が広いため、そういった人達の中には『ONE PIECE』ファンも少なくないはずです。いずれにせよネームであれば、「記念に頂けますか?」と言われれば「いいですよ」という流れで手渡されていてもおかしく無さそうです。出品されたページが飛び飛びになっていることから察すると、その場にいた何人かで山分けにした状況も想像されます。
ちなみに、今回61万円以上の高値がネームについたわけですが、個人的にはそれ程払って欲しいとは思いません。何せ、原稿ではなくネームですからね。絵として見ると基本的には落書きです。生原稿は編集部が管理しているため世の中には出回る事はまずなく(流出したら事件)、確かに『ONE PIECE』漫画本編に関わっている、かつ作者直筆のコレクターズアイテムとなると、ネーム以上のものは無い気がします(設定ノートは栄ちゃんが管理しているので流出することはないでしょう)。しかし、実際のところ相場としてどうなのかというと、やはり高すぎると思います。
その証拠に、4点の入札履歴を見ると落札額が高騰した理由が分かります。
<最高落札額764,000円の最終入札履歴>
落札者:t*D*m***氏、競争入札者:
n*5*K***氏
<落札額656,000円の最終入札履歴>
落札者:m*C*x***氏、競争入札者:
n*5*K***氏
<落札額610,000円の最終入札履歴>
落札者:N*F*c***氏、競争入札者:
n*5*K***氏→
入札取り消し
<落札者なしの最終入札履歴>
競争入札者:
n*5*K***氏(→
入札取り消し)、m*C*x***(他のネームを落札)
入札履歴を見ると、いずれのネームにもn*5*K***氏(*はヤフオクのシステム上の伏せ字)が最後まで競っています。さらに、このアカウントが
新規(オークションで取り引きをしたことがないID)である時点で相当怪しいわけですが、
決定的なのは2つの商品で落札者となった後にいずれも入札を取り消しているということです。
これは明らかに
”さくら入札”行為です。
悪徳な出品者が落札額を吊り上げるために行なう古典的な手法なのですが、競りに熱くなると、ネットオークションに慣れている人でもどうしても引っかかってしまうと;
なお、「落札者なし」となったネームは
100万円で再出品されています。
大分、欲を出したなと(笑)。
このオークションが成立するかは私には分かりませんが、直筆ネームの相場となると高々数万円ではないでしょうか。人気作の『ONE PIECE』で、最高額がついたような良質なネームであれば10万円程度が妥当な気がします。まぁ、通常出回るものではないので希少価値は高いのでしょうけど、『ONE PIECE』で考えると、同じ類いのものがこれまで6,000点以上描かれているわけですからね。逆に、直筆ネームに100万円を払う人がいるならば、生原稿には一体いくら出すつもりなのかと聞いてみたいものです。