・つかの間の航海
前回でホールケーキアイランド編は一旦区切りが付き、今回は戦闘終了後の恒例のお楽しみエピソードとなっています。つまりは、麦わらの一味が起こした事件が新聞記事になり、そのニュースが世界中に広まる→これまでに登場した主要キャラクターが次々に登場する、懸賞金が上がるという具合です。また、今週号(2018年23号、5月2日発売)の巻頭カラーは連載4周年の『火ノ丸相撲』ですが、表紙は『ONE PIECE』というイレギュラーな構成になっており、"仲間の印"をつけた今のルフィとビビ、それにカルーとコブラを配したノスタルジックなイラストとなっています(本当は連載900回記念号で今回のエピソードを間に合わせたかったのだろうと察します)。"仲間の印"のポーズでお馴染みの第216話「ビビの冒険」はもう16年前のエピソードです。
新聞記事はホールケーキアイランドの現場に居合わせたモルガンズのスクープを基に、関係者(キャベンディッシュとバルトロメオ)への取材を重ね、ルフィがビッグ・マムの城を破壊したこと、ビッグ・マム海賊団の3将星クラッカー(懸賞金8億6000万)とカタクリ(懸賞金10億5700万)を倒したこと、さらに「ジェルマ66」と「タイヨウの海賊団」「ファイアタンク海賊団」を"その場"で従えたこと、すでに"強力"な7つの海賊団を傘下につけ5千人を超える子分を持っていること、エースに加え革命軍No.2のサボとも義兄弟であることを、やや誇大気味に伝えています。これには最悪の世代の中から近々「海賊王」が誕生すると予想するモルガンズの意向(
901話)が多分に含まれており、記事はルフィが5番目の「海の皇帝」である、すなわち四皇と肩を並べる存在であると締めくくっています。
新聞記事を受けてルフィをさらに危険視した海軍は、
ルフィの首にかけた懸賞金額をドレスローザの事件後の5億ベリーから一気に
15億ベリーにまで上げるのでした。また、
サンジの懸賞金額はドレスローザ後の1億7700万ベリーから
3億3000万ベリーに上がっています。ゾロの懸賞金(3億2000万ベリー)をついに超えたことにサンジは一瞬喜びはしたものの、素性がバレたために手配書の名義は捨てたはずの本名のヴィンスモーク・サンジに変わっていることに気づき、懸賞金額が跳ね上がったのはジェルマの悪名のおかげであると察してひどく落ち込むのでした。なお、ドレスローザ後についていた「ONLY ALIVE(生け捕りのみ)」の限定条件はもちろん外れています。
一方、本話で再登場したキャラクターは世界会議(レヴェリー)が開幕間近ということで、ゾウ編の後と同様にレヴェリーに向かう王達がメインで描かれています。リュウグウ王国のネプチューン一行(しらほしも参加の決意をする)、サクラ王国のドルトン、アラバスタ王国のビビ、ドレスローザのリクにプロデンスのエリザベローなど。
記事を読んだ四皇それぞれのリアクションも描かれているのですが、黒ひげ海賊団の左のシルエットは誰でしょうか?…一番右はもちろんティーチ、その隣がドクQ(帽子を被って俯いている)、続いて順にアバロ・ピサロ、ヴァン・オーガー、シリュウと並んでいると思うのですが、左は…ラフィットでもバージェスでもなさそうですし、サンファン・ウルフなわけはないですし、残っているのはカタリーナ・デボン?…黒ひげと青キジの繋がりは示唆されていますが、クザンには見えない気がします。
・ジェルマのサンジ
略してジェマンジ(ry
本話冒頭ではルフィのポケットからサンジ用と思われるジェルマの
レイドスーツ(ケースに数字の3がプリントされている。ルフィが使っても変身できない)が見つかっています。これはカカオ島で敵の銃撃を回避するためにニジがルフィと一緒にサンジを担いで超高速で移動した際に(898話)、
ニジがルフィのポケットに忍ばせていたようです。
サンジがレイドスーツに変身してパワーアップするという激アツな展開がキター!という感じですが、サンジ本人はこのジェルマからの餞別を自分への当てつけだと受け取り、レイドスーツを使うことを拒否しています。ジェルマが一体どのタイミングでサンジ用のレイドスーツを拵えたかは気になるところですが、当てつけのためだけにレイドスーツを渡したわけではないでしょう。サンジがジェルマに対するわだかまりをどう解消していくのか、もしくは不本意ながら使わざるを得ない状況に追い込まれるのか、サンジがレイドスーツに変身する時を心待ちにしておきましょう。それまではルフィあるいはチョッパー?がレイドスーツを預かっている模様です。
ところで、
サンジ用レイドスーツの色は何になるのでしょう。サンジのイメージカラーの青はデンゲキブルーのニジに既に使われており、他はスパーキングレッド(イチジ)、ウィンチグリーン(ヨンジ)、ポイズンピンク(レイジュ)という具合です。戦隊ヒーローのカラーパターンで言えば、残りは黄色か黒ですが、黒はジャッジに使われているので、自ずと
黄色だと予想されますが、果たして。。
・タクトの魔人
ナミの下僕になった
ゼウスは魔法の天候棒(ソーサリークリマ・タクト)に取り込まれたらしく、当人もタクトの中を甚く気に入った様子です。一体どういう仕組みなのかは全く分かりませんが(笑)、とにかくナミの火力は格段に上がったことでしょう。ソーサリークリマ・タクトはウソップによるポップグリーンの改造が加わっても名前はソーサリークリマ・タクトのままなんですね。ナミの考えでは「ウソップの技術」ありきで完成版だった模様です。
・コビーは○○
コビーは遠視でした。(※どうでもいい)
コビーとヘルメッポはレヴェリーに向かう途中で海賊に誘拐されたルルシア王国のコマネ王女(おそらくロシアのコマネチがネタ元)を救出する任務に就いていたようで、その海賊がコマネ王女に続いてヴィオラを狙いドレスローザの船を襲撃したところをコビーが阻止しています。具体的には海賊の魚雷攻撃を海上から察知して、剃(ソル)で魚雷に近づき力技で魚雷の向きを変えるという脅威の身体能力を発揮しています。海軍本部大佐になった2年後のコビーの姿は『ONE PIECE FILM Z』で既に描かれていましたが、やはり覚醒した
見聞色の覇気を使いこなせるようになったようです。
また、キュロスとコビーの会話から、コビーは「
ロッキーポート事件で市民を守った英雄」として有名な海兵みたいです。ロッキーポート事件って何か聞いたことがあるぞ、と。さて、これはパンクハザード編の後の新王下七武海の紹介でブランニューがローについて語っていた文言で出てきています(700話)。ここでブランニューは王下七武海の海賊の条件として「圧倒的な強さ」と「知名度」を挙げており、ミホークについては「世界一の大剣豪」という具合で、ローについては「最悪の世代」と「
ロッキーポート事件の首謀者」であることを挙げています。
元々、ローは王下七武海になることを目論んでいたので、ロッキーポート事件なるものはローがそのために計画したと考えるのが筋でしょう。そして、パンクハザードでローと対峙したスモーカー率いる海軍G5の海兵はロッキーポート事件という単語は口にしなかったものの、ローについては「
コイツは"七武海"になる為に海賊の心臓を100個本部に届けた狂気の男だ」と語っていました(659話)。つまりはローの「圧倒的な強さ」と「知名度」を裏付けるものは、この海兵が語っていた海賊の心臓100個を海軍本部に届けた行為であり、ロッキーポート事件はそれにつながる事件だと考えられます。
具体的には海賊の心臓100個を集めるための画策だと考えられ、ここで言う「心臓」が外科的あるいは解剖的に取り出した心臓なのかオペオペの実の能力で取り出した心臓なのかはひとまず置いといて、いずれにせよ海賊を100人一挙に集める必要があります。それも「圧倒的な強さ」を証明するには強者の海賊たちです。ロッキーポートは名前からしておそらく港町の名前で、そこに海賊たちが集められたのではなかろうかと。どういった理由で集まったかは不明ですが、デマロ・ブラックの例では麦わらの一味の名を語って大勢の海賊を集めていました。ローの場合はルフィに持ち掛けたように海賊同盟を騙って海賊を集めたのかもしれません。
そして今回、海兵のコビーが「ロッキーポート事件で市民を守った英雄」とされていることから、ローの作戦では市民が巻き込まれる可能性があったようです。そのことから海賊たちを順番に仕留めていくわけではなく、一挙に倒すような作戦だったのではないかと思われます。そして海賊を追ってロッキーポートに潜入していたコビーは、今回ドレスローザの船を守ったように、いち早く危険を察知して市民を守ったのではなかろうかと。ちなみに、首謀者とあるのは、実行部隊がハートの海賊団で、船長のローが首謀者ということなのでしょう。
ロッキーポート事件でローは王下七武海加入のきっかけをつかみ、一方コビーはその事件をきっかけに本部大佐に昇格したのかもしれません。