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このマンガがすごい!WEB」にて連載中の いとうみきお先生による『月曜日のライバル -メガヒットマンガ激闘記-』は、1995年頃、和月伸宏先生の『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の漫画アシスタントとして集った、いとうみきお先生を含む四人の若き漫画家達が織り成す実話込みの青春漫画です。現在、公開中(5月28日まで)の第5話では、栄ちゃんに相当する
オダギリ一郎が初登場しています。
今回は、栄ちゃんがまだ和月組に参加する前の1994年頃の話で、手塚賞を獲って月刊少年ジャンプでデビューした後に、週刊少年ジャンプで連載するために月例賞のホップ☆ステップ賞を改めて狙うことになった経緯が描かれています。この当時、栄ちゃんは
甲斐谷忍先生の下でアシスタントをやっており、『LIAR GAME/Invitation』(2009年)に収録されている「甲斐谷忍×尾田栄一郎 特別師弟対談」でもその経緯に触れています。
甲斐谷:そう言えばさっき、尾田くんは「1ヵ月しかいなかったから印象に残っていないのでは」と言っていたけど、実は僕、その頃から尾田くんに大器の片鱗を見ていましたよ。
尾田:本当ですかぁ〜(笑)。
甲斐谷:あのね、初対面の頃から尾田くんって『ONE PIECE』のルフィそのままの人物だったんですよ。
尾田:その頃からデカイ事ばかり言っていました?
甲斐谷:僕が大物だと感じた一番の出来事は、尾田君はアシスタントに来る前に、既に手塚賞を獲っていたんです。その時尾田くんについた担当が「月刊少年ジャンプ」の方だったんです。で、「月刊少年ジャンプ」に読切が載って、そうしたら連載の準備をしますよね。その最中に突然「『週刊少年ジャンプ』で描きたいからやめます」って言ったんですよ。今更!
尾田:だってそのままだと、「週刊少年ジャンプ」に載らないって分かったから。
甲斐谷:いやいや(笑)。普通はね、そういう事は担当がつく時点で相談するんだよね。
尾田:本当に知らなかったんですよ。でもそのままだと困るので、すぐに「週刊少年ジャンプ」の賞に送って賞をもらったんです。
甲斐谷:これが凄いよね! 手塚賞獲っているのに、「週刊少年ジャンプ」で連載したいからってホップ☆ステップ賞に送り直したんですよ。もの凄い遠回りで要領悪いのに…ちゃんと夢を実現させちゃう! そこが凄いよなぁ。ルフィの天然そのままですよ、尾田くんの行動は。
(LIAR GAME/Invitation「甲斐谷忍×尾田栄一郎 特別師弟対談」より抜粋)
漫画ではルフィ並にマイペースな栄ちゃん(漫画ではオダギリ一郎)と、それに振り回されることになった月刊少年ジャンプ(漫画では月刊少年ギャラクシー)の担当編集のやり取りがコミカルに描かれています。この幻の担当編集についてはこれまで情報がなく、漫画では天知さんと呼ばれていますが、おそらく本名ではないでしょう。
言ってみれば、この人が一番最初に栄ちゃんの才能を見出したわけでして、そのまま月刊少年ジャンプで連載することになっていれば、別冊少年マガジンの『進撃の巨人』の様に『ONE PIECE』が月刊少年ジャンプを牽引する漫画となり月刊少年ジャンプも未だ休刊せずに続いていた……かもしれません。しかし、端から週刊少年ジャンプで連載することを目指していた栄ちゃんは手塚賞(漫画では塚山賞)準入選で掴んだチャンスを結果的に捨てて、週刊少年ジャンプの月例賞を獲りに行くのでした。こちら↓のカットは言わずもがな『ONE PIECE』第1話のパロディ。
そして読切『一鬼夜行』(漫画では『十鬼夜行』)であっさり週刊少年ジャンプの当時の月例新人賞「ホップ☆ステップ賞」に入選を果たし、ジャンプ本誌連載への道を切り拓くのでした。この過程は漫画では割愛されており、栄ちゃんにはこの後、0代担当編集の久島薫さんが付くことになりますが、久島さんはおそらく漫画に出て来ると思われます。
和月組アシスタント生活が漫画化!?いとうみきお新連載「月曜日のライバル -メガヒットマンガ激闘記-」
【TVレポート】 オー・マイ・ジャンプ!ONE PIECE 回 【コスプレ】