あの日から買い続けた少年ジャンプ 津波で失った息子へ
350冊の「週刊少年ジャンプ」が、新しい部屋の壁一面を埋めている。震災から7年3カ月。宮城県名取市閖上を襲った津波で亡くなった息子のため、母親が毎週買い続けてきた。
丹野祐子さん(49)の長男、閖上中1年だった公太くん(当時13)が遺体で見つかったのは、3月末のこと。公太くんは毎週小遣いでジャンプを買い、部屋で友達と読んでいた。続きが気になるだろうと、祐子さんは思った。
最初は棺に置き、次は仏壇に供えた。新しいジャンプを買うと、前の号は仮設住宅の押し入れに積む。震災前、公太くんの古い漫画を勝手に処分したこともある。本当は読み返したかったのかもしれない。捨てられなかった。
月曜が来ると生協で、売り切れていればコンビニかショッピングセンターの書店へ。生まれる前に始まった「ONE PIECE」は、連載が今も続く。「ハイキュー!!」は震災の翌年から。バレーボール部だったから、きっと好きに違いない――。
先月末、自宅を再建。2階7畳間を公太くんの部屋にした。並べてみて3号分が欠けていると気づき、バックナンバーを注文した。本棚はまもなくいっぱいになる。
生きていれば20歳。ジャンプは、今年で終わりにしようと思っている。
(朝日新聞デジタル)