ルフィの仲間も銅像に 熊本の各地に設置方針 ワンピース作者の寄付金8億円、一部活用へ
熊本市出身の漫画家尾田栄一郎さんの人気作品「ONE PIECE(ワンピース)」の主人公ルフィの銅像を、熊本県が県庁敷地内に造る計画に異論が出ていることを受け、蒲島郁夫知事は15日の県議会で、県庁のルフィ像に加え、ルフィの海賊仲間「麦わらの一味」のキャラクター像を県内の被災地各地に設置する方針を表明した。さらに、尾田さんから熊本地震からの復興支援として、寄付など計8億円の提供を受けたことも明らかにした。
ルフィ像を巡っては、県庁以外の繁華街や観光地などへの設置を求める意見がインターネット上などで相次いでいた。蒲島知事は「銅像の設置効果を点から面に広げ、復興につなげたい」と説明した。尾田さんや出版元の集英社と協議しているという。
蒲島知事によると、尾田さんからは2016年の熊本地震後、「ルフィ」名義で5億円の義援金と3億円の寄付が寄せられていた。尾田さんの意向に沿い、これまで公表していなかった。ルフィ像設置など一連の取り組みには、この寄付の一部を活用するという。
(西日本新聞社)
松野明美:次に「ONE PIECE」のルフィ像の設置についてお尋ね致します。最近話題になっています「ONE PIECE」のルフィ像についての質問です。インターネット上には様々なご意見がありますが、私自身も一人のファンとして、また今回の計画の実現を待ち望む一人として応援するつもりで質問をしたいと思います。県では今年4月に本県出身の漫画家である尾田栄一郎さんの功績と復興支援への御尽力を称え、県民栄誉賞を贈呈されました。また、その栄誉を称えるために「ONE PIECE」の主人公であるルフィの銅像を県庁プロムナードに設置する予定があるということを表明されました。皆さんもご存知の通り、尾田栄一郎さんが描く漫画「ONE PIECE」は2015年6月に”最も多く発行された単一作者によるコミックシリーズ”としてギネス世界記録に認定されるなど、その影響力は日本だけではなく世界に及びます。知事はその効果について世界に一つのルフィ像の波及効果は計り知れないと仰られましたが、私自身も世界各国からの来訪者が期待でき、私達の想像を遥かに越える効果が熊本にもたらされるのではないかと思っています。
ただ、インターネットなどでは「熊本にルフィ像が設置されたらすぐに行きたい」「自分達が住む熊本に設置されるのはとても嬉しい」という歓迎の声がある一方で、「なぜ県庁なのか、繁華街や観光地や熊本城の方がいいのではないか」との声があり、また財源や金額についても異論が示されています。様々なご意見があるということは多くの方が関心を持たれているということであり、熊本の復興に活かしてもらいという想いがあるからこそだと考えています。
私も県民が一体感を持てるアイディアはないかと自分なりに考えて来ました。例えば、ルフィ像を移動式にしまして、まずは復興中の各地を巡りながら被災地に勇気と元気を届け、最後に県庁に到着するといったアイディアはいかがでしょうか。台座はサウザンド・サニー号、材質は小国杉など熊本産の木材にすれば軽量かつ場所を問わず、ルフィのイメージにピッタリくるのではないかと思います。ルフィ像が復興中の熊本を”ひとつなぎの大秘宝”さながらに”グランドライン”で結び、阿蘇、天草、人吉など県全体に勇気と元気を与えてくれる…私はそんな存在であって欲しいと思っています。
そこで知事にお尋ねを致します。このルフィ像の設置については、熊本に様々な形でご支援を頂いている尾田さんの気持ちを第一に考えることは言うまでもありませんが(ブログ注:設置場所に異論があることについて知事は「県庁であれば、ということで(尾田さんに)認めてもらった」と説明していた)、なぜ県庁なのかという疑問の声も非常に多いです。ネット上でも69%、約7割の方達が「納得できない」という声も出ております。今回のルフィ像について、なぜ県庁プロムナードに設置するのか。またこの計画に込めた想いと今後の展開について蒲島知事にお尋ね致します。
蒲島知事:漫画『ONE PIECE』のルフィ像の設置に関し、優先順位、設置場所、財源の3つの観点から、多くの皆様からご意見を頂いておりますので、このことに関して県の考えをお答え致します。
まず、一つ目のルフィ像よりも被災者の生活再建の方が先ではないか、といった優先順位についてです。私は熊本地震の発生以来、被災地の方々に寄り添い、一日も早く元の生活に戻れるよう全力を尽くして参りました。現段階ではその基盤となる恒久的な住まいの確保に県庁の総力をあげて取り組んでおります。この決意、取り組みはなんら変わるものではありません。今回と後に述べる「ONE PIECE」の展開は私の決意に矛盾するものではなく、寧ろ被災された方々を勇気づけ、復旧復興を加速させるものと確信しています。
次に、お尋ねのなぜ県庁プロムナードなのか、という設置場所についてお答え致します。これには二つの理由があります。1つ目は県民の誇りである尾田栄一郎先生の功績を皆様と末永く讃えていくためです。柔道の金メダリスト山下泰裕さんや元巨人軍監督の川上哲治さんなど歴代の県民栄誉賞ではその記念として県庁プロムナードに植林を行っています。青々と立派に育った記念樹は今も県内外からのお客様をお迎えしています。今回の尾田先生の県民栄誉賞贈呈にあたっては、これまでと同じように植樹という形も考えました。ただ、世界中の人々に愛されている「ONE PIECE」の素晴らしさを県民をはじめ多くの皆様に再確認していただきたい、さらには被災された方々を勇気づけたいという思いから、私からルフィ像の設置を提案し、快諾を頂きました。
もう一つの理由は尾田先生とともに復興を進めていく象徴とするためです。発災直後から南阿蘇鉄道のラッピング列車や益城町のふるさと納税の返礼品へのイラスト提供など尾田先生にしかできない継続的な支援を頂いています。また尾田先生からは今後も自分にできる最大限のエールを送り続けたいとの言葉も頂いており、ともに復興を進めていく象徴として熊本の復興と防災の拠点である県庁への設置を考えたものです。
そのような中、皆様から県庁以外の場所に設置してはどうかとのご意見も寄せられています。私自身、像の効果を最大限発揮したいと考えており、ルフィ像という一つの”点”を”線”として繋ぎ、さらには被災地の復興という形で”面”として広げていくことが大変重要だと考えています。そのためにはルフィだけではなく麦わらの一味の力が必要です。県庁に設置するルフィ像を起点に、被災した各地に仲間達の像を展開していくことができれば被災地を大きく勇気づけることに繋がります。また、国内外から多くの人が訪れ、被災地を回って頂くことで経済や観光の面でも復興の大きな後押しとなります。さらに来訪者の増加は震災の記憶の風化防止や教訓の伝承でも効果を発揮し、震災ミュージアム構想(ブログ注:県が進めている、熊本地震の教訓を後世に伝承することを目的に震災遺構を保存し、それらを巡ることを想定した地域構想)にも資すると考えています。こうした考えから、ルフィだけでなく仲間達についても被災した地域に像を設置できるよう、尾田先生や集英社、市町村との具体的な協議を開始致します。
最後に、財源についてです。尾田先生からのご希望もあり、これまで公表を控えて参りました。しかし、熊本の一日も早い復興を願う気持ちから「ONE PIECE」の主人公モンキー・D・ルフィの名義で平成28年度に5億円の義援金を、平成29年度には3億円の寄付金を頂いております。2年間で合計8億円のご支援を頂いた尾田栄一郎先生に改めて心から感謝を申し上げます。今回のルフィ像の設置をはじめとする「ONE PIECE」の一連の取り組みについては、尾田先生から頂いた寄付金の一部を活用させて頂きたいと考えています。県民の皆様のご意見をお伺いし、世界のワンピースファンの共感を得ながら、取り組みを進めていくことが被災地の復興への大きな力となります。今後も被災市町村と連携しながら、ルフィとその仲間達の応援を復興の原動力に繋げていけるよう全力で取り組んで参ります。
松野明美:只今の蒲島知事の答弁を聞いておりまして、胸がいっぱいになりまして、何を言っていいのか分からないぐらい感動しております。私は予想では100%の一番良い答弁が来るのではないかなと予想しておりましたが、それ以上の200%の答弁を頂きまして、ちょっと鳥肌が立って感動をしております。確か、物語の中のルフィは仲間を非常に大切にして、仲間とともに助け合い、そして絆を深めて仲間をどんどんと増やしていくという、読者には非常に共感を持って、ファンにつながっているということを聞いております。その様子というのは非常に熊本県に似ているなぁと。熊本県も復旧復興に向けて一歩一歩成長している中、出会った方達が助けてくれる、そして絆が生まれる、仲間になる。そういうところでですね、非常に熊本県の姿に似ているなぁと思いました。是非ですね、蒲島知事、お体を大切にされまして、一生懸命頑張って頂きたいと思います。私もですね、何もできませんが、心から応援をしたいと思っています。