・白ひげの形見
909話
前回までの世界会議(レヴェリー)開幕の一方、忍者海賊ミンク侍同盟の
ネコマムシチーム(ミンク族侠客団)は目的の島に到着した模様です。ワノ国での決戦の準備をする忍者海賊ミンク侍同盟は、四手にわかれており(
822話)、ルフィチームは既に目的を完遂(サンジ奪還、ビッグ・マム所有のロードポーネグリフの写しを取る)。ネコマムシチームは元白ひげ海賊団一番隊隊長
マルコを探して、ネコマムシが心当たりのある所へ向かっているところでした(820話)。
ネコマムシがやって来たのは新世界のとある島、滝の裏の洞窟の先にある断崖に囲まれた村でした。人から隠れるように存在するこの村にマルコはいました。
909話
インペルダウンLEVEL2牢番
スフィンクス(529話)の同種と思われる
人面羽毛ライオンがペットあるいは家畜として放牧されているこの村の異常性は置いといて、マルコはここで医者として暮らしている様子です。不死鳥の”再生の炎”は能力者以外にも多少効果があるらしく(自然治癒力の向上?)、マルコは元々白ひげ海賊団で船医者をやっていたことも明らかになっています。
結果から言うとマルコはこの村を離れることができないため、ワノ国には一緒に行けないようです。この島は白ひげの生まれ故郷で、村は白ひげが作った村だと言います。マルコ曰く、世界政府非加盟国はだいたい貧しさゆえに「天上金」を払えないために世界政府に加盟できず、海賊も人攫いも横行する”無法の島”になり、ついには国は滅び不幸な孤児ばかりが増えるとのこと。島の表にある廃墟がどうやらかつて滅んだ非加盟国の跡地らしく、そういった孤児の一人だった白ひげは幼少期早々に海に出て海賊になった後も、故郷を気にかけ、自分の宝の取り分全てを身分を隠してこの土地に生涯貢ぎ続けていたようです。そうして出来たのがこの村であり、白ひげ海賊団の旗印の下で守られていた国や地域が無くなった今、この村が白ひげの最後の”形見”というわけです。マルコにとってはどうしても守り抜きたい場所であり、白ひげ海賊団の残党を襲っている七武海の
ウィーブルの動向もあって、今はこの村を離れるわけにはいかないようです。
マルコの話では、ウィーブルの母親で自称「白ひげの愛人」の
バッキンは元海賊で40年近く前に白ひげと同じ船に乗っていたとのこと。40年近く前といえば、白ひげとロジャーの全盛期ですが、ここでマルコはバッキンについて元白ひげ海賊団とは言っていない点は気になるところではあります(傘下の海賊だとしても白ひげの船に乗っているのは不自然)。また、バッキンは白ひげが遺したはずという莫大な遺産目当てに白ひげ海賊団の残党を狙っているわけですが(802話)、バッキンがそう考えるのは、白ひげが自分の宝の取り分をどこかに送っていることを知っていたからなのかもしれません。結局、マルコの話が本当なら白ひげが遺した莫大な遺産は存在しないことになるわけですが。
最後にマルコはネコマムシにルフィへの伝言を頼んでいます。が、内容は不明です。
・ワノ国潜入
一方その頃、忍者海賊ミンク侍同盟の
錦えもんチーム(侍、ゾロ、ウソップ、ロビン、フランキー、ハートの海賊団)はワノ国に潜入中です。
909話
本話でようやく解禁となったワノ国は、侍や京都で先行イベントが開催されたイメージ通りに中世日本の城下町のような瓦屋根の街並で、正面奥には巨大な唐門、左右に巨大な鳥居、中央に巨大な松の上に乗った天守が配されています。左奥には清水寺の舞台の上に塔を建てた奇抜な五重塔、背景には細く背の高い独立峰が見え、おまけに桜の花びらが舞い、神社仏閣、城、富士山に桜と、日本をぎっしり詰め込んだ国になっています。ただし、岩山は山水画で見るような中国風のものです。
麦わらの一味と同行する経緯からストーリー上、錦えもんの役割はビビに似ているわけですが(実際はモモの助がビビのポジション)、ビビ登場からアラバスタ上陸までが連載約1年だったことを考えると、錦えもん登場から今回のワノ国上陸までが連載6年以上経っていますから、本当にようやくたどり着いたという感じです。
錦えもんチームの目的は一緒に戦ってくれる侍同志を集めることで(822話)、この任務には錦えもんら侍が当たると思われます。その他の者は準備が整うまで国の住人になりすまして潜伏中で、フランキーは
フラの介と名乗り大工として、ウソップは
ウソ八と名乗りガマの油売り(軟膏のガマの油の実演販売の大道芸)として、ロビンは
おロビと名乗り芸者として潜伏中です。ロビンの目的は
カイドウが所有するロードポーネグリフを調べることでもあるので(820話)、芸者になることで将軍の座敷からお呼ばれされる機会を狙っているようです。
ガマの油売りは動画を貼っておきますね。
まず「一枚が二枚、二枚が四枚…」の口上で紙を刀で切り刀の切れ味を見せた後(刀は元々切れない)、ガマの油を刀に塗って切れなくなることを見せた後、今度はガマの油を刀から拭き取って(この時に血糊を仕込む)腕を切り、傷口にガマの油を塗り込んでたちまちに治すというのがお決まりです。
909話
口がもの凄く悪いフランキーの大工の親方は本編では初登場になりますが、まさかの再登場になる大工の「
みなともさん」(名前の元ネタは「大工の源さん」)ですねw
7巻SBS
第1話にて山賊が酒場のドアを壊して入って来たのに帰る時には壊れたはずのドアが直っているというミスの指摘に対して、コミックス7巻のSBSではこの大工のみなともさんが瞬時に直したと説明されています(笑)。鼻の穴に釘を挿しているのと、頬の傷などの特徴が完全に一致するので間違いありません。実に20年ぶりの再登場です。江戸っ子もといワノ国っ子?ゆえに口が悪かったわけです。
一方、浪人剣士の
ゾロ十郎として暮らしていたゾロは、腰にぶら下げた「
秋水」が仇となったのか、辻斬りの濡れ衣を着せられ、奉行所で切腹を命じられているところでした。
909話
このようにゾロは頭にズッキーニを乗せてフザケているわけですけども(※髷です)、謂れのない罪で切腹する理由もなく、逆に町奉行を切腹刀の斬撃で斬りつけるのでした。えらいこっちゃ。
909話
ゾロの見立てでは、いかにも悪そうなこの町奉行(特徴的な吊り目は松本大洋先生の『竹光侍』のオマージュ?)が辻斬りの犯人の模様です。言動から察するに「秋水」を手に入れるためにゾロを辻斬りの犯人に仕立て上げたのだと思われます。
ゾロが剣豪
リューマのゾンビから譲り受けた「秋水」については、かつて錦えもんも気付いて墓荒らしの犯人だと誤解していたことがありました(699話)。墓荒らしの真犯人はホグバックらスリラーバークの面々で間違いないわけですが、今回の町奉行の話ではリューマの遺体と秋水について「
23年前…海賊騒ぎのドサクサで消えた」とされています。錦えもんは「墓荒らし騒動」(699話)としか言っていなかったため、これまではホグバックらがこっそりワノ国に潜入して墓荒らしを行ったものと思っていましたが、実際はひと騒ぎ起こしていたようです。そして、23年前のこの「海賊騒ぎ」というのが、ルフィの影を手に入れた際に
モリアが言っていた「
あの時」(456話)のことではないかと思われます。この時モリアが言っていたのは次の台詞です。「
これ程の部下がいりゃ あの時…!! ”新世界”でカイドウの野郎(バカ)に敗れる事もなかったか…!!」。カイドウは23年前の時点で既にワノ国を牛耳っていたのでしょうか。
793話
また、今回のワノ国で描かれた鯱を屋根に持つ城の形状から、「ある国」としてこれまでカイドウと百獣海賊団のシーン(793話、824話、907話)に描かれていた巨大なシルエットはどうやら城で間違いなさそうです。ただし、吐く息が白かったり、雪が降っているような描写がホールケーキアイランド編終わりの907話の時点でもあり、カイドウの根城と今回の桜が舞うワノ国のシーンにあった城は別物の可能性があります(雪と見せかけて実は桜の花びらというフェイクの可能性も)。
ワノ国ということで、島の中に地域別で”四季”が存在するのかもしれません。
なお、錦えもんチームはローの潜水艇でワノ国に上陸したはずですが、ハートの海賊団の面々は今回描かれていませんでした。
・ワノ国上陸
一方その頃、忍者海賊ミンク侍同盟の
ルフィチーム(ルフィ、ナミ、チョッパー、ブルック、キャロット、サンジ)はワノ国を目指して航海中。サニー号を進めて入ったワノ国の海域はただならぬ雰囲気で、錦えもんからワノ国への入国が難関だと聞いていたナミは電伝虫で錦えもんと連絡を取ろうとしますが、電伝虫は応答無しでつながらず。入国を躊躇していたところ、
謎のタコが突然甲板に乗り込んで来て、「イヨーッ ポポポン!」とお囃子風にタコの口(?)で音を奏でると、
巨大な錦鯉の魚群が現れて、あれよあれよという間に鯉と一緒にサニー号が川のような海域を進むと目の前には断崖と滝が…。このままではサニー号が滝壺に沈んでしまうという状況でルフィは鯉に腕を伸ばし、滝を登る鯉に牽引してもらう形でサニー号で滝登りすることに成功します。
しかし、滝を登った先の渦潮に巻き込まれ、結局サニー号はどこかの浜辺に漂着したようです。あたりには松が生えており、鶴が飛んでいます。そして、909話のワノ国の背景に描かれていた
細く背の高い山と同一と思われる山が奥に見えています。どうやらゾロ達がいるワノ国の町の裏手にサニー号はたどり着いた模様です。今のところサニー号と一緒に漂着が確認されたのはルフィのみでして、魚人島と同様に上陸時に一味がバラバラになったパターンでしょうか。
910話
そんなルフィの前には
唐獅子のような姿の犬(?)と
狒々(ひひ)が現れます。ワノ国の在来種かもしれませんが、ヒヒの方は刀を持っている点が普通ではありません。刀を持ったヒヒはシッケアール王国跡地のヒューマンドリルでも確認されていますが(592話)、ここは百獣海賊団の息のかかったワノ国ですから、ゾオン系能力者という可能性は十分に考えられます。また、獅子といえばまさしく”百獣”の王ではないですか。
この獅子とヒヒは戦っている様子ですが、一体どういう状況なのか。どちらかがルフィの味方でどちらかがルフィの敵になるのかもしれません。
とにもかくにも、ワノ国編の始まりです!