・九里が浜
910話
前回、サニー号が漂着した浜辺は「九里」の
九里が浜という場所でした。
「九里」といえば光月家(モモの助)が大名として治めている土地です(817話)。現在、錦えもん達がいる城下町も仮に「九里」と呼ばれる土地であれば、天守は光月家のものとなりますが、錦えもん達が潜伏している様子からすると、既にカイドウとワノ国の将軍の手に落ちていると思われます。
浜辺でルフィの姿しか見えなかったのは、サニー号が渦潮に巻き込まれる前に
サンジがナミ、キャロット、チョッパー(とブルック?)を抱えて陸に飛び移っていたからでした。サンジ達はワノ国の「九里」とは別の地域(※
前回の考察でワノ国には地域別で”四季”が存在すると予想)から入国しているのかもしれません。
911話
渦潮に巻き込まれる最中、
ルフィはゴムゴムの風船でサンジ達を送り出した後、サニー号を一旦放棄してサンジ達を追おうとしますが、前回現れた
謎のタコがルフィに絡み付き、ルフィが船から脱出することを阻止したようです。この時、この謎のタコは泣いており何やら必死な様子なのですが、目的がよく分かりません。百獣海賊団の手下なのか、カイドウの支配から救ってほしいタコなのか。
ルフィはそんなタコのことや、
前回、浜辺に現れた2匹の動物(
狛犬と
狒々、ともにワノ国の在来種の模様)の喧嘩には気にも留めず、辿り着いたここが本当にワノ国なのかと思いを巡らせるわけですが、ふと、麦わら帽子の異変に気がつきます。
ルフィ:あれ!?ここ(麦わら帽子のリボン)にいつも挟んでるビブルカードがない!!
現時点でルフィが麦わら帽子にいつも挟んでいるビブルカードと言えば、レイリーから貰った
レイリーのビブルカードのはずです(507話、597話)。このビブルカードはルフィにとっては仲間と再会を誓った思い出の品であり、レイリーに再び会おうとするならば有効なアイテムになりますが、今のところ使い道は無く、また他の一味も同じビブルカードを持っているはずなので、ビブルカードを失くしたことにルフィも一瞬ショックを受けますが、「しょうがねェ」とすぐに立ち直っています。
追記)「いつも挟んでいるビブルカード」=レイリーのビブルカードを連想しましたが、同盟の各チームがワノ国に集合するためにネコマムシが作らせたはずの錦えもんのビブルカード(820話)の存在を忘れていました。実際に錦えもんのビブルカードが配られ、ルフィがそれを受け取った描写はありませんが、ルフィは決まって麦わら帽子のリボンにビブルカードを挟んでいるという意味であれば(エースのビブルカードも同じ場所に挟んでいた)、「いつも挟んでいる」というニュアンスが通り、ストーリー上の意義もしっくりきますね。以下、レイリーのビブルカードに着目して考察していますがお構いなく。(追記終)
ここで気になるのはワノ国でルフィがレイリーのビブルカードを失くした
ストーリー上の意義です。先に説明したようにレイリーに会おうとするならば、他の一味が同じものを持っているため問題はありません。バラバラになった麦わらの一味が再会する手段の一つにビブルカードが使えますが、サボがルフィのビブルカードを作ってくれた今や、ルフィがビブルカードを持っておく必要もありません。そこで、失くしたレイリーのビブルカードに関連したストーリー展開として次の3つが考えられます。
1. ワノ国編の間にレイリーに危険が及ぶ
2. レイリーのビブルカードを何者かが拾う
3. ルフィがレイリーの知り合いだと証明する手段が無い
1はワノ国編の終わりにルフィがレイリーの危機を知るという演出上の仕掛けで、ストーリー上の意義はやはり薄いです。一方、2はルフィがビブルカードを失くしたことで発生する展開であり、ストーリー上の意義は大いにあります。また、拾った者がどういう人間かによってストーリーが色々と考えられるでしょう。3はこのままルフィが単独で錦えもん達以外の光月家の侍に接触した際、自分が敵ではないと証明する手段がありません。光月おでんはロジャー海賊団の船員でしたから、レイリーと知り合いであることを証明できれば、味方と判断してくれる可能性があったわけですが。
さてこの後、ルフィは襲ってきた
百獣海賊団の三下を一蹴しています。襲った側はルフィを不法入国の船の乗組員としか認識しておらず、どうやらこの辺りの百獣海賊団はワノ国の海域の特殊な潮の流れによって漂着する船を標的に日頃から海賊行為を行っているようです。それとは別にワノ国で警察行為を行っているようで、ルフィを襲った三下は”とある法”を犯したというワノ国の少女を捕えていました。
犯した罪の重罪さゆえに遊郭に売られるか実刑を受けるところをルフィに出くわしたおかげで命拾いした少女の名は
お玉。年は8歳。
911話
女忍者になることを夢見るお玉は能力者であるらしく、「
きびだんご」のひと声で頬をちぎって団子を作ると、それを与えられた狒々はそれまでの凶暴性がウソのように従順になっています。『ドラえもん』のひみつ道具で言うところの「
桃太郎印のきびだんご」ですね。従えた狒々には
ひひ丸という名前が付けられています。狛犬の方は元々、お玉の仲間だったようで(名前は
狛ちよ)、おそらくこちらもお玉の能力によって従えていると思われます。
もちろん、この能力のモチーフは御伽話の『桃太郎』であるわけでして、狛犬=イヌ、狒々=サルが仲間になったとなると、
キジに相当する動物も新たに仲間になることが予想されます。日本では伊予(愛媛県)に伝わる「波山(ばさん)」と呼ばれる幻の怪鳥がいるみたいですが、ワノ国にもいるでしょうか。この能力をうまく使えば、動物の軍団を作ることも可能ですね。
話を聞くと、お玉は町に買い物に出かけた帰り道で狒々を連れた百獣海賊団に見つかり、狛ちよはお玉を守る為に狒々に飛びかかったものの、その間にお玉は持ち物を全部奪われてしまい(その割には櫛と簪は奪われていないわけですが)、悔しさから
”とある法”に触れる暴言を吐いてしまい、略奪された上に捕まってしまったとのことでした。
お玉:光月家が帰ってきたら覚えてろ!!!
カイドウは”世界の秘密”を知っていた光月おでんの跡取りであるモモの助やその従者を狙っているわけですが(819話)、”とある法”とは「光月家」の関係者を取り締まるものみたいです。お玉は勢い余って自身が
光月家の”侍者(おもと)”(
※ふりがな「おもと」となっていますが、おそらく「おとも=お供」の誤植 御許(おもと)=主に女性を指して、そばに仕える者。転じて女房)であることを明かしてしまったのです。ルフィにはこのことをまだ明かしていませんが、「光月家が帰ってきたら覚えてろ」という言い回しから察するに、お玉はモモの助と従者の侍が友軍(ミンク族)を集めに外海に出たことを確かに知っている様子で、光月家の侍者であるというのは間違いなさそうです。
一方、ルフィにやられた百獣海賊団の三下が連絡を取っていた
”真打ち”と呼ばれる彼らのボスが最悪の世代の一人、
バジル・ホーキンスであることが判明しています。最悪の世代のホーキンス、アプー、キッドは海賊同盟を組み四皇シャンクスを落とそうと策略を立てていたところ、突然、カイドウに遭遇するという事故に遭い(795話)、その結果、キッドはカイドウに打ちのめされて牢屋に入れられ、アプーはカイドウの配下に入っていることが判明していましたが(821話)、ホーキンスについては不明でした。負け戦を選びそうにないホーキンスの性格上、カイドウの配下に付くのは自然の流れかもしれません。
部下が不法入国した何者かにやられたと知ると、今度はホーキンス自身が動き出すようですが、「カイドウさんにはまだ伝えるな」と言っており、カイドウに対する忠誠心については疑問です。ホーキンスからすれば、上陸したのが麦わらの一味あるいは光月家の者だというのは想定の範囲内だと考えられ、もしかするとホーキンスはカイドウを出し抜こうとしているのかもしれません。アプーもカイドウの配下にいますが、彼も一筋縄ではいかない人物です。新世界で早々にカイドウと接触して配下についたはずのドレークについても、本意が不明であるためワノ国編でどういった動きをするのか展開が読めません。麦わらの一味を除き、キッドを含めて最悪の世代が4人もいるので、うち誰かは味方に付きそうなものですが、現時点で一番可能性が高いのはやはりキッドでしょうか。
・玉と師匠
お玉は命の恩人であるルフィをもてなすため、
師匠と二人暮らししているという家に連れて行きます。道中、「山の中に村があるのか?」というルフィの質問にお玉は
村は無くなったと答えています。最初はカイドウとワノ国の将軍に滅ぼされたのかと思いましたが、後々の話から察するに、村が元あった土地はカイドウの工場排水によりひどく汚染されてしまい、村の人達は別の土地に移り住んだことで村が無くなったと思われます。
911話
ルフィはお玉に白飯をご馳走になりますが、実はお玉は飯もろくに食べられない極貧生活をしており(よく見れば着物はつぎはぎだらけ)、ルフィが食べたのはお玉のなけなしの米でした。後から現れた
師匠と呼ばれる天狗の格好をした人物はお玉がルフィに白飯をふるまった経緯を知らず、ルフィが勝手に米を食べたと誤解して激怒しますが、お玉は自分が勝手にしたことだと許しを請うのでした。しかし、お玉はルフィに空腹を悟られまいとして腹の虫を抑えるために川の水を飲んだことが原因で体調を崩してしまうのでした。カイドウの工場排水で汚染された川の水はお玉のような幼い少女にとって毒同然だと言います。
師匠は「もう少しマシな土地はある」と言いますが、お玉がどうしてこの土地に住み続けるのかというと、なんと「
また来る」と約束した「
”エース”という名の海賊」を待っていると言うではないですか。エースとワノ国といえば、リトルオーズJr.が身につけていたワラ笠はエースがワノ国で作り方を習って作ったものでした(555話)。お玉は笠を編んで生計を立てており、このエピソードと確かにつながります。エースがワノ国に訪れたのは2年以上前のことですから、お玉が5、6歳の頃でしょうか。編み方をエースに教えたのはお玉の家族なのかもしれません。
エースが訪れた頃の「九里」はまだ光月おでんが健在していた頃で、おそらくまだカイドウと将軍の手に落ちる前の平和な頃だったと考えられます。2年前にエースが戦死した事実を知らないお玉は強者だったエースが再びワノ国に訪れた時に光月家に助太刀してくれることを期待していたのかもしれません。
師匠に関してはまだ謎ですが、くノ一になることを目指している、かつ、光月家の侍者らしいお玉の師匠ですから、光月家の侍(忍者)でしょうか。
フフフ…ワノ国編、面白い…!!