ヒット&ロングラン「チョコエッグ(フルタ製菓)」
流行見極め精巧フィギュア
フルタ製菓が1999年に発売した「チョコエッグ 」は、菓子におまけの玩具がついた「食玩」人気の火付け役といえる商品だ。卵形チョコレートに入った組み立て式フィギュア(模型)は動物からアニメまで多彩で、精巧さにも定評がある。社員のアイデアと、流行を的確に見極める目が、ロングセラーを支えている。
大人気漫画も
27日、大人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」とコラボしたチョコエッグの新シリーズが発売された。キャラクターの人形に加え、漫画でおなじみのドクロマークの「海賊旗」を分割したパーツが付属する。4体分を組み合わせると旗が完成するという趣向を、初めて採用した意欲作だ。
商品化の構想自体は、5年前からあった。だが、同社には「流行に飛びつくと失敗する」とのジンクスがある。企画開発部課長の塩谷雄(48)は機が熟するのを待ち、ワンピースが少年誌で連載20周年を迎えた2017年に「今なら間違いなく売れる」と開発にゴーサインを出した。「世代を超えてヒットが期待できる」との読みだ。
慎重にもみえる開発姿勢の背景には、過去の手痛い経験がある。
例えば、阪神タイガースがリーグ優勝した03年。選手のフィギュアが入った阪神の「Vチョコエッグ」をシーズン途中から急ごしらえで開発した。だが、発売にこぎ着けた頃には優勝から1か月が過ぎて熱気は冷め、販売は伸びなかった。
常に目新しさを
開発着手から発売まで約1年半かかるため、手応えを感じたアイデアも発売時に旬を過ぎているケースは少なくない。現在、開発を担う企画開発部のメンバーは5人で、堂浦可奈子(35)は「発売時に流行が続いているかどうかを見極める目が大事」と強調する。
版権をもつ企業と打ち合わせを重ねながら外部にフィギュア製作を発注し、その傍らで常に1~2年先のアイデアを練る。「毎日企画会議をしている月もある」(塩谷)といい、アニメやゲームに関するSNSのチェックなど、市場調査は欠かせない。数百のアイデアのうち、商品化されるのは一つあるかないか、という。
年5回の新シリーズを発売し、コンビニエンスストアやスーパーの店頭では2か月ほどで新作に切り替わる。人気シリーズは販売終了を惜しむ声も寄せられるが、堂浦は「常に目新しさを発信することが、消費者へのアピールになる」と話す。(後略)
(読売新聞)