大英博物館で日本国外最大規模の「漫画展」。葛飾北斎から東村アキコまで
イギリス・ロンドンの大英博物館で、日本国外では最大規模となる漫画の展覧会が行なわれる。
2019年5月23日に開幕する『The Citi exhibition Manga』展は、漫画が日本でどのように生まれ、世界に広がる文化的潮流となっていったのかを探る展覧会だ。日本の漫画や、アニメ、ゲーム、コスプレといった漫画から派生した影響を紹介し、漫画の魅力と多様な文化的横断について検証する。
展覧会では漫画の歴史を『北斎漫画』を残した葛飾北斎や河鍋暁斎らの表現まで遡る。日本から貸し出される膨大な資料と共に漫画業界の内部構造にも迫るという。『コミックマーケット』や『世界コスプレサミット』といったイベントを通して、漫画のファンダムについても考察する。さらに会場には東京の古い漫画店が再現される。またアニメ作品をフィーチャーした映像インスタレーションやオーディオインスタレーションも登場する。
本展では多くの世界的に知られる漫画家の作品が紹介される。
現時点で発表されている漫画家には、手塚治虫、赤塚不二夫、鳥山明、井上雄彦、尾田栄一郎、萩尾望都、竹宮惠子、こうの史代、東村アキコといった名前が含まれている。
そのほか野田サトルの漫画『ゴールデンカムイ』が出展されることも、同作の公式Twitterで告知されている。『ゴールデンカムイ』のビジュアルは、現在、大英博物館の公式Twitterのヘッダー画像にも使用されている。さらにゲームをもとにしたエンタメ資産の一例として世界に広がるポケモンの波を取り上げる。
展示品の目玉の1つとなるのが、1880年に河鍋暁斎によって描かれた劇場の舞台幕だ。
早稲田大学演劇博物館から貸し出されるこの一品は、明治時代の歌舞伎の劇場・新富座で使用されていたもの。横幅17メートル×縦4メートルの大きな幕が、展示室の壁一体にかけられる。作品状態の関係から、この作品が日本国外に持ち出されるのは今回が最後になるかもしれないというから貴重な機会となる。
大英博物館では中村光の『聖☆おにいさん』の原画をコレクションに収蔵している。また2015年には『Manga now three generations』と題した展示を行ない、中村光、星野之宣、ちばてつやの3作家を取り上げた。
日本の漫画は『DEATH NOTE』や『銃夢』などがハリウッドで実写映画化されており、『ONE PIECE』の実写ドラマ化も発表されるなど、他方面で話題を呼び続けている。国外最大規模の漫画展となる今回の展覧会では、西洋の視点からどのように紹介され、現地の漫画ファンにはどのように受け入れられるのだろうか。参加作家や出版社、紹介される漫画キャラや専門家の詳細は2019年に発表される予定だ。
大英博物館の館長ハートウィグ・フィッシャーは本展について次のようにコメントを寄せている。
「何世紀もの日本の伝統の上に形作られた素晴らしい漫画作品は、感情に訴える独創的なストーリー展開と共に、読み手を掻き立て、その世界観に引き込む視覚的なパワーを持っています。大英博物館は世界でも有数の日本のグラフィックアートのコレクションを誇っています。近代の漫画作家や北斎、暁斎といった過去の巨匠たちの作品をこの展覧会に迎えられることを光栄に思います」
(CINRA.NET)