・監獄デスマッチ
囚人採掘場にて、ルフィ救出の任務に当たっていた
雷ぞう(933話)は海楼石の手錠の鍵を守る鍵番を上手く(?)騙し、ついに目的の鍵を手に入れることに成功したようです。後はルフィの鍵を外して逃げるだけという算段です。
一方、
ルフィはヒョウじい(正体は20年前まで花の都の裏社会を取り仕切った仁侠の大親分「
花のヒョウ五郎」)を虐めていた看守に飛び蹴りを浴びせたことで(
934話)、囚人採掘場の掟により「死刑」が決定し、場内は大騒動になっていました。
囚人採掘場で能力者には”働ける程度”に加減した海楼石の手錠が付けられており、割とピンピンと動いているルフィですが、この状態では覇気は使えないようです。しかも、全く平気な様子のルフィに海楼石が効いていないのではなく、かなりの負荷はかかっていた模様です。囚人採掘場での囚人生活はルフィにとって、言わば”
能力者の高負荷トレーニング”になっていたわけです。新世界編に入って、実戦以外で初めての修行になるでしょうか。カタクリ戦では新章ルフィの自力がようやく全て見えた感がありますが、この修行によって能力と覇気が飛躍的に向上することになるのかもしれません。そうなると、見えてくるのはもちろん”覚醒”です。
ルフィ「おれは今 修行中なんだ!! コレが外れた時 少しでも強くなってる様に…!!!」
とは言っても、この状態ではまともに戦えるはずもなく、雷ぞう がようやく手に入れた鍵も間に合わず、ルフィはあっさり捕らえられてしまいます。囚人採掘場を取り仕切っている百獣海賊団大看板の
クイーン(懸賞金額は13億2千万ベリーと判明)はルフィとヒョウ五郎の処刑を”大相撲地獄(インフェルノ)”で行うことに決定。
”大相撲インフェルノ”では土俵に上げられた囚人に特殊な首輪が装着され、この状態で土俵を出ると首輪の内側に刃が飛び出し、死刑が行われます。相撲に勝ち続ければ死なずに済みますが、相手するのは武器持ち多勢のクイーンの部下たち。クイーンはこの処刑を見世物の余興程度に考えており、あまりにも不利なルールでは面白くないと思ったのか、
サービスとしてルフィの海楼石の手錠を外します。
それを見て驚いたのは雷ぞう です。苦労して手に入れた鍵が役に立たなかったこともそうですが、ルフィの海楼石の手錠が目の前で鍵により外されたことで、自身が手に入れた鍵が本当にルフィの手錠のものだったのか自信を失くした様子です。
雷ぞう が手に入れた「海楼石の手錠の鍵」がルフィのものでないとすれば、今のところ考えられるのは手錠は付けたまま脱出した
キッドのもの(934話)ですね。これはキッドへの貸しになるので、ルフィとキッドの共闘を視野に入れた非常にスムースな展開が見えてきます。
雷ぞう がもう一つ驚いたのは、探していた3人の侍同志(921話)の二人目、
河松を偶然に発見したことでした。看守から毒魚を1日1匹与えられていた謎の囚人(924話)が彼でした。
河松:信じられぬ……本当に あの頃の姿…そのままだな…
雷ぞう:何奴!! そこに誰かおるのか!?
河松:拙者だ 雷ぞう ”河松”だ
雷ぞう:!?
河松:モモの助様は……ご無事か…!?
雷ぞう:河松か 本当におぬしか………!!? 生きておったのだな!!
河松:ああ 腐った魚を
13年も食い続けた甲斐があった
936話
今回の河松のシルエット(924話の時とは異なる)では三度笠を被っているように見えることから、河松は20年前の回想シーン(
920話)で錦えもん達の他に描かれていた
もう一人の家臣だと考えて間違いないでしょう。
錦えもん達と一緒にタイムスリップしなかった河松は状況的に当時6歳(
928話)の幼い
日和(ひより)を守るために残ったと考えられます。河松の発言から少なくとも彼は13年前から投獄されていたようですから、
日和と共に身を隠してから7年後には捕まってしまったと考えられます。この時、日和は13歳です。河松は真っ先にモモの助の安否を聞いていることから察すると、自身が捕まる前に危険を察知した河松は敵の意表を突いて日和を遊郭に入れて身を隠す策を講じていたのかもしれません。
光月家への忠義を失わずに耐え抜いた河松は決戦に参戦する覚悟です。確証は無いものの、20年後の決戦を予め知っていたというのは精神的に大きいでしょう。河松の脱獄に必要なものは「
檻の鍵」と「
手錠の鍵」とのこと。河松の手錠が海楼石の手錠という可能性もありますが、「鎖につながれている」という河松の発言から、この手錠は物理的に拘束するためのものであると考えられます。河松も海楼石とは言わず単に「手錠の鍵」と言っており、先述したキッドとの共闘の線も薄くなるので、ここは素直に普通の「手錠の鍵」だと解釈するべきでしょう。
また、気になるのは河松の笑い声「カッパッパッパ」。ーーーさては、こいつ河童ですね(笑)。924話の毒魚の骨を飛ばしているシルエットでは口が嘴のようにも見えますが、実際はどんなキャラデザインなんでしょうか。
ともかく、ヒョウ五郎と一緒に”大相撲インフェルノ”の土俵に上げられたルフィ。最初の百獣海賊団の三下は覇王色の覇気で軽く全員なぎ倒しましたが、どうなることやら。面白いのは、
前回の考察で指摘した囚人採掘場でキーパーソンとなるだろう
おリンと
お玉を連れた
チョッパーがこちらに向かっていることですね(924話)。
・しのぶの忠義
本話の
しのぶの話によれば、オロチお庭番衆は元は光月家に仕えていた忍者部隊だったようです。光月おでんが処刑された後、お庭番衆を率いる
福ロクジュはオロチに仕える道を選んだ模様です。当時、お庭番衆の一員だった しのぶ はそれが許せず、逃亡したのだとか。
元は光月家に仕えていたのであれば、しのぶ の様にお庭番衆から抜けないにしても、光月家が復活したと知れば、もしかすると寝返る忍者も現れるかもしれません。
・帰ってきた幸せパンチ
今回はムフフなお風呂回。任務を一旦終えた
ナミ、
ロビン、
しのぶの女性陣は、花の都の湯屋(銭湯)に疲れを流しに来ていました(934話)。
ワノ国が主に江戸時代の日本をモデルにしていることは言うまでもなく、もしかしたら…というのは頭にありましたが、まさかの
混浴でした。
935話
江戸時代の中期頃までは湯屋は混浴だったと言います。ただし、混浴だからと言って、この男共のように女性の裸を凝視したり盗み見するのは江戸時代でもマナー違反です。それに実際、当時は湯船に電灯は無く薄暗いため、よく見えないというのが実情だったようです。
湯屋の作りもやはり江戸時代がモデルになっており、ナミ達が湯船から上がって洗い場に行く時に”低い入り口”を通っていますね。これは”石榴口(ざくろぐち)”と呼ばれるもので、湯船の湯気を部屋から逃がさないために、このように低い構造になっていました。
洗い場では「
三助(さんすけ)」と呼ばれる”男性”が、流し代を別途支払った浴客に洗体や垢すりの接客サービスを行っていました。このサービスは男女問わず受けることができました。浴客の女性も三助も下心は無かったと言われています。同じ”サン”でも、どこかの”サン”とは大違いですね。
元は「
湯女(ゆな)」と呼ばれる”女性”が江戸時代初期にこのようなサービスを行っていましたが、次第に性的サービスが行われるようになったために禁止され、「三助」に取って代わったようです。これらのことから、花の都は江戸時代の”中期”をモデルにしていると言ってもいいかもしれません。しかし、さすがに男の「三助」がナミやロビンの身体を洗うのは読者に目の毒なので、ワノ国では”タコ”に変わっています。
ちなみに、これらの知識は『浮世艶草子』(漫画:八月薫 原作:篁千夏)という江戸時代の性風俗を描いたエロ漫画の受け売りです(笑)。確かにエロ漫画ではあるのですが、日本史好きの身としては、普通の歴史本では語られない江戸時代の風俗や文化の解説が付けられていて面白いので、オススメしておきます。八月薫先生が描く女性は最高ですしね。
ナミ達が風呂から上がった頃、湯屋に百獣海賊団の
ホーキンスと
ドレークが乗り込んで来ます。ドレークの任務は「おそばマスク」(正体はサンジ)を仕留めることのようですが(ページワンが居ないことから察するに、サンジに戦闘不能にさせられた模様)、ドレークの任務は
足首に”逆さ三日月”の刺青がある者を連行することだと言います。
つまり、錦えもん達の作戦が漏れた可能性が高いです。素直に考えれば、オロチ城で
狂死郎が作戦の暗号札を手にしているので(933話)、彼が作戦に気づいてしまったのかもしれません。作戦には気づかれておらず、足首に”逆さ三日月”の刺青がある者が光月家側の関係者だとバレただけなら、まだ作戦は生きています。一番考えたくないのは、同盟側に内通者がいること。内通者がいるとすると、このタイミングでバレるのはやや不自然であり、同志集め(作戦の暗号札の配布)の任務に当たっていた
ベポ達が捕まったという情報もあるので、やはり作戦自体がバレたと考えるのが筋でしょうか。
ともかく、足首に”逆さ三日月”の刺青がある者を探すには湯屋が絶好の場所というわけです。ドレークに顔が割れているナミとロビンは身体の大きな しのぶ の後ろに咄嗟に隠れますが、ドレークにすぐにバレてしまいます。威嚇攻撃してきたドレークに対して、まだ隠れているロビンを切り札に残し、ナミはドレークの前に姿を現しますが、観念して両手を上げたために身体に巻いていたバスタオルがはらりと解けて・・・・・・
ぱさっ!!
936話
しのぶの弟子(?)であることは多分全く関係ありませんが、ナミの
妖艶の術が炸裂しました(笑)。今回の”幸せパンチ”はナミが意図したものではないようで、はらりとタオルが落ちる→全裸→「きゃ!!」と、あのナミが恥ずかしがる様子の3連コンボで破壊力は凄まじいものです。
そして、この様子を密かに見ていた
あの男が・・・
936話
サンジ:幸せパーーーンチ♡♡
936話
もう死ねよw こいつw
かくして、
サンジは「ステルスブラック」の透過能力を使って湯屋で覗きを行っていたのでした。混浴なのだから一緒に入ればいいものを、ど変態ですわ(笑)。湯屋の騒ぎに外で待機していたドレークも中に駆けつけますが、ドレークはドレークで、彼は実は女の裸に弱いことが判明します。
お前、もう33歳だろ!(笑) 裸の女を前にしても鼻血出して倒れるだけですから、なんて健全な漫画なのでしょう。
さて、突然、変な衣装の男が大量の鼻血を出して現れたことに湯屋は騒然となったわけですが、”北の海”出身者のホーキンスとドレークはその
変態男がジェルマ66のステルスブラックであることに驚くのでした。
ホーキンスとドレークが面喰っている隙にサンジはナミ、ロビン、しのぶを抱えて空を飛び、湯屋を脱出。とりあえず、サンジが湯屋にいたおかげでナミ達は窮地を脱することができたのでした。
ロビン:出血大丈夫?
サンジ:
もはや死んでも構わねェ!!
死ねよw
・秋水の因縁
えびす町にいた
ゾロは何者かに刀を盗まれ(935話)、その盗人を追いかけて鈴後(りんご)に来ていました。擬宝珠の付いた雰囲気のある橋でゾロがついに対峙したのは
僧兵らしき大男。
936話
「僧兵らしき大男」と回りくどく書きましたが、モデルは明らかに武蔵坊弁慶です。彼がゾロから奪ったのは剣豪リューマの遺品である
秋水。「あるべき場所に返し申した」と言っているので、リューマの墓に戻したようです。ゾロとしてはリューマ本人(?)から貰い受けた刀なので易々と返す道義もなく、大男はゾロが逆らうならさらに残りの2本の刀も奪うと強気です。
弁慶は薙刀、鉄の熊手、大槌、大鋸、刺又、突棒、袖搦(そでがらみ)の7種の武器を持っていたとされ、この大男は手に薙刀、背中に鉄の熊手、大槌、大鋸、刺又と袖搦らしきものを背負っていることが確認できます。弁慶は牛若丸(義経)に出会う前までに999本の太刀を武芸者から奪っていたという話です(小説では)。その姿と言動から、ゾロは彼が武器コレクターだと思ったようです。彼を倒せば、秋水を取り戻すついでに作戦に必要だった大量の武器が手に入り、一石二鳥というわけです。
そして読者から見ると、
彼は光月家側の味方の可能性が非常に高いです。それも強い侍です。”赤鞘九人男”の枠はイヌアラシとネコマムシを除いて考えるとまだ2枠残っていますし、しのぶ のようにオロチに仕える時に”お庭番衆”を抜けた忍者が他にいてもおかしくはないですね。