ジャンプ編集長「ワンピース、過去にない作り方」 長期連載の理由を明かす
海賊王に憧れた少年ルフィが世界の海を渡り、仲間と冒険を繰り広げる漫画「ONE PIECE」は1997年に雑誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載がスタート。魅力的なキャラクター、張り巡らされた伏線、ドラマチックなストーリーで連載開始と同時に大人気となった。同作の壮大な世界観が体感できる企画展「尾田栄一郎監修 Hello,ONE PIECE ルフィが町にやってくる!」が4月7日まで、福井県福井市のベル・あじさいホールで開かれている。「週刊少年ジャンプ」編集長を務める同県越前市出身の中野博之さん(41)に話を聞いた。
―「週刊少年ジャンプ」で20年を超える長期連載に至っている理由とは。
常に子どもが楽しめる漫画を描くことを、作者の尾田さんは20年以上揺るぎない信念として持ち続けている。そのことが絶えず新しい読者、ファンを生みだすことにつながっている。キャラクターの造形、ストーリー構想へのこだわり、子どもが喜んでくれるようにと、たくさんの色を使ってイラストを描いている。
―「ONE PIECE」を彩るキャラクターについて。
キャラクターづくりへの過剰なまでの熱意を感じる。テレビや映画はもちろん、出会う人をよく“観察”し、見つけた個性をどうデフォルメして反映させれば面白くなるかを考えているはず。色合いやシルエットだけで何のキャラクターかがすぐ分かる。
―他の漫画との違いは。
感動シーンを導くために、大きな構想と数多くのエピソードを積み上げていく。過去の「週刊少年ジャンプ」掲載作品にはない作り方だと思う。キャラクターが背負う物語がしっかり練り込まれ、魅力的だから時代を超えて読まれ続けている。
―ルフィの魅力とは。
何事にも悲観せず前向きに楽しむ姿勢。実社会で生きる上で、つらい目に遭わない人なんかいないけれど、ルフィはそれをも楽しむ太陽のような存在。キャラクターの魅力を増すストーリーにも力があり、漫画で泣ける感動があり、生きる活力になる。
―国内外5カ所で企画展を開催したが。
さまざまなイベントはこれまで都市近郊に限られてきた。尾田さんは、地方都市や海外の人たちに間近で作品の楽しさに触れてもらいたいと、ずっと願っていた。
―展示作品の楽しみ方は。
緻密なタッチを感じてほしい。モノクロのこま割りカットには、吹き出しの字体や大きさ、ベタ塗りなどを指示する尾田さんの筆跡などが見られる。カットが完成していくまでの作家とアシスタント、編集担当との“やりとり”が感じられ面白い。「週刊少年ジャンプ」の巻頭カラーの扉絵が、発色よく鮮やかにイラスト画で表現されており、細部まで色の塗り分けが美しい。ぜひ、尾田さんの漫画に対する熱意や独創性に触れてほしい。
■なかの・ひろゆき 1977年、福井県越前市生まれ。味真野小、武生第四中、武生高を経て早稲田大卒業。2000年に集英社入社。週刊少年ジャンプ編集部編集者として「NARUTO」「トリコ」「BLEACH」などの人気作を担当。14年、少年ジャンプ副編集長に就任。17年6月から第11代少年ジャンプ編集長。
(福井新聞)
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