・卜の康の正体は?
足首に”逆さ三日月”の刺青がある者が反逆者であると敵にバレたらしく(
936話)、花の都では錦えもんの同志達が次々とカイドウ、オロチの手の者に捕まえられていました。
湯屋の件(
936話)の後、
ナミ達を連れて
サンジは「えびす町」に戻り、北の墓場にいた
カン十郎もここに合流したようです(ただし、同じく北の墓場にいたブルックの姿は見えません)。覗きをしていたサンジがナミにこっ酷く殴られたよう。サンジは「何も見ていない」と否定していますが(笑)。それとは別件で、
前回、サンジが話していたように、
ベポ達(シャチ、ペンギン)は敵の手に捕まったらしく、状況的に考えて彼らが作戦を漏らしたに違いないと苛立つ
しのぶと、そんな筈はないと
ローが言い争っています。
しのぶ:遊んでんじゃないのよ わたす達は!!!
”20年”もこの時を待ってたんだ!!!
失敗したらもう2度とチャンスはないのよ!!?
カン十郎:よさんか しのぶ!!!
(中略)この者達の力なくして
おでん様の想いは遂げられんのだぞ!!!
他人に聞かれるとまずい話ですが、つい声が大きくなってしまったようです。この会話を外から聞いた
ヤスが緊迫した雰囲気にお構いなしに飛び入ってきました。
ヤス:ごめんよーーっ!! どーーも!!
表まで声が聞こえちまってヨヨッ!!
(中略)
あ!! もしや
しのぶちゃん!?
しのぶ:!?
ヤス:
カン十郎君!!?
カン十郎:ん!?
ヤス:コレ(判じ絵)が今 都話題で!! あっしゃあ興奮しちまったよ!!
始まるのかい? ”
決戦”が…!!!
家の中から聞こえて来た しのぶ達の会話から、彼らが都で話題の”判じ絵”を仕掛けた張本人だと察したヤスは興奮して飛び込んで来たわけです。そこに顔見知りらしい しのぶ と カン十郎がおり、これまた驚くわけですが、注目するのは
ヤスが「しのぶちゃん」「カン十郎君」と親しげに名前を呼んでいるのに対し、しのぶ と カン十郎はヤスのことを一見して誰だか分かっていない様子だということです。
仮にヤスが光月家の者だとすれば、家臣のカン十郎達を親しげに呼ぶのは理解できますが、しのぶとカン十郎がヤスのことを一見して誰だか分からないのはやや不自然です。ヤスがどういう人物なのかといえば、
おそらく過去にカン十郎やしのぶら光月家の家臣と何度か会う機会があって、身分は光月家の家臣よりも上、かつ、光月家に味方する人物であるはずです。カン十郎としのぶは、今と昔の姿のギャップからヤスが誰だか想像つかなかったわけです。
929話
ここでヤスの名前「
卜の康」にヒントがあると考えてみます。
そもそも、光月家の有力な武士であるカン十郎より身分が上の人物となると、将軍家を除けば大名ぐらいしかいないわけでして……
「卜の」=「殿(との)」……(笑)
そんなまさかとは思いますが、不思議と説得力があるでしょう?w ヤスが正体を隠していたすればこの名前も本名ではないわけです。「康(ヤス)」とは徳川家康の「康」だったのでしょうか。ヤスが大名だったと仮定すると、考えられるのは
”希美(きび)”の大名です。
現在のワノ国では希美は「跡地」と表記され、元あった希美は滅んでしまったようで、その理由は明らかになっていませんが、おそらく光月家同様、将軍家に滅ぼされたのでしょう。錦えもん達がタイムスリップした後、トキの最期の言葉を信じて待っていたとモモの助に声をかけて来た
地武えもんという武士は希美の旗本でした。このことから、希美は光月家の九里寄りの国だったことが想像できます。将軍家の光月家に対する仕打ちに反発したことで希美は将軍家に滅ぼされてしまったのかもしれません。そして生き延びて、家臣の地武えもんと同じくトキの最期の言葉を信じて待っていた希美の元大名が、ヤスなのかも?しれません。
・日和と申します
937話
前回、刺客の
鎌ぞうに襲われていた子供(
おトコ)と女(
小紫)を成り行きで助けることになった
ゾロ。鎌ぞうとの勝負には勝ったものの、鎌ぞうの鎌を右肩に受けて流血し、貧血(+空腹)で倒れてしまうのでした。おいはぎ僧兵の
牛鬼丸はゾロが倒れるのを見て、その場を去ったようです。
小紫はブルック達が使っていた北の墓場の空き家にゾロを運び、通りすがりで助けてくれたゾロの看病をするのでした。どうやらゾロの傷は深いようで、”決戦”前にこれはかなり痛手かもしれません。おトコは都で盗んできた「ガマの油」(
909話)を塗ったからすぐに治ると熱弁しますが、あれは大道芸なので、その薬はそんなに効かないのです(笑)。
938話
ところで、小紫やブルック達が利用した「鈴後」の北の墓場の空き家は
合掌造りになっていますね。白川郷の合掌造りをモデルにした建物が週刊少年ジャンプ2010年1号の巻頭カラーで描かれたことで合掌造り集落がワンピースと所縁のある場所となっていますが(「
【やる夫AA】 白川郷・五箇山の合掌造り集落に行ってきた 【世界遺産】」)、本編にも登場したことでワンピース的な付加価値が再び付きました。
話は戻って、小紫は命の恩人のゾロを信用して、また、海外から来た強い侍であることに期待してか、他言はしないようにと前置きしてから、
ワノ国で秘密にしている自身の素性と願いを語るのでした。
小紫:私……兄を探したいんです!!
20年前に生き別れた兄を!
今このワノ国にいるかも知れないんです……!!
兄の名前は”光月モモの助”
私は妹……”
日和”と申します
はい、そうでしょうね。(
928話考察「花魁・小紫の正体」)
疑り深い人はこの日和と名乗る女性が小紫だと確定していないと思うかもしれませんが、本話掲載の週刊少年ジャンプ18号には「ワノ国動乱地図」(下記)なる特集ページで現在のワノ国の状況が地図上でまとめられており、ゾロが今いる「鈴後」の欄にはゾロとおトコに並んで「小紫」としっかり書かれているのでした。なんと分かりやすい。
小紫の正体については今更なわけですが、ここで注目したいのはゾロだけではなく、ワノ国の住人である おトコがいる前で小紫が正体を明らかにしていることです。小紫はゾロに対して語りかけるように秘密を明かしているので、おトコは前から小紫の正体について知らされていたと思われますが、それはいつなのかと。命を狙われて一緒に逃亡してからならば(小紫は死んだことになっている)、運命共同体のおトコに秘密を語ったとしてもおかしくありませんが、
それ以前だとすると小さな子供にわざわざ人に知られては困る秘密を漏らすだろうか、と。
もしその可能性があるとすれば、
おトコも小紫(日和)と同じ様な境遇にあるのではないかと考えてしまいます。「卜の康」が殿のヤスならば、「おトコ」はお殿の子ですか?!そんでもって「おトコ」は「卜の康」の娘という……そんな偶然、漫画ならあり得ます・。・
なお、今夜行われることになっていた小紫の通夜は人が集まり過ぎて危険だとして中止になったようです。実際は死体が無いので小紫の通夜は出来ないわけですが、通夜の中止は小紫との協力関係がやや疑われる
狂死郎による指示ではないようです。花魁の小紫を斬ったことで自身を恨む人物が少なからずいることについて、狂死郎は「アレ以外に方法はなかった 一番損害を被るのはおれだぞ」とボヤくのでした。花魁の小紫は自身の遊郭の稼ぎ頭だったわけですから、このように語るわけですが、本当に「アレ以外に方法はなかった」のかというと、やはり疑問が残ります。