市町村 | 設置場所 | 仲間の像 | 復興ストーリー |
熊本市 | 動植物園 | チョッパー | ・地震で獣舎が被災した熊本市動植物園には、「船医」のチョッパーが駆け付ける。 ・県外の動物園への避難を余儀なくされた動物たちの ケアを行い、来園する子どもたちの笑顔を創り出す。 |
益城町 | ミナテラス→木山地区 | サンジ | ・2度の震度7の地震で給食センターが被災した益城町 には、「コック」のサンジが駆け付ける。 ・地元農産物を使い、美味しく温かい給食を作ることで 町の未来を担う子どもたちの健康と笑顔を創り出す。 |
西原村 | 俵山交流館 萌の里 | ナミ | ・集落単位で被害を受け、コミュニティの再建が課題で ある西原村には、「航海士」のナミが駆け付ける。 ・ココヤシ村での経験に重ねながら、被災した村のシンボルの風車と全集落の復興に応援の風を送り続ける。 |
南阿蘇村 | 東海大 | ロビン | ・地震の被害や教訓を後世に伝承する拠点に生まれ変わ る東海大学には、「考古学者」のロビンが駆け付ける。 ・南阿蘇村の「復興」が花開くよう、歴史の語り部とし て研究を重ね、記憶と教訓を語り継ぐ手助けを行う。 |
阿蘇市 | 阿蘇駅前 | ウソップ | ・住民の誇りである阿蘇の大草原が大きく傷んだ阿蘇市には、「狙撃手」のウソップが駆け付ける。 ・緑(自然)の力を操る道具で、草原の再生を手助けし、 住民の誇りと笑顔を取り戻す。 |
大津町 | 大津中央公園 | ゾロ | ・子ども達が稽古に励んだ武道場の被災をはじめ生活が 一変した大津町には、「戦闘員」のゾロが駆け付ける。 ・剣道が盛んな土地柄を活かして、子どもたちと広場で 剣の修行を重ね、地震に負けない町づくりを目指す。 |
高森町 | 高森駅前 | フランキー | ・通院・通学の足である南阿蘇鉄道が寸断された高森町 には、「船大工」のフランキーが駆け付ける。 ・海列車を作った師匠トムのように、被災地域の希望と なるべく、鉄道の終着駅で全線再開への金槌を鳴らす。 |
御船町 | ふれあい広場 | ブルック | ・音楽大学に加え、多くの住宅が被害を受けた御船町 には、「音楽家」のブルックが駆け付ける。 ・音大生と奏でる復興への応援歌と軽快なジョークで 住民の心の復興を後押しし、町の明るい復興を目指す。 |
ルフィ仲間像設置、8市町村が喜びの声 [熊本県]
県は17日、人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」の主人公ルフィの仲間8キャラクターの像の設置場所を発表した。像ができる8市町村は、発生から3年を迎えた熊本地震からの復興の途上にある。「復興のシンボルにしたい」。各市町村からは期待や喜びの声が上がった。
「誘致合戦の中で選ばれ、とても光栄」。8キャラのうち1番人気の考古学者「ロビン」を“獲得”した南阿蘇村の担当者は声を弾ませた。計13市町村が「復興への物語」を競い、地震で大きな被害を受けた村内の旧東海大阿蘇キャンパスへの設置が決まった。
益城町へはコック「サンジ」。若手の町職員チームが「学校給食センターが被災した町にサンジが駆け付け、温かい給食を作る」との「物語」を考えた。チームリーダーの中山尚大さん(36)は「像を見に来た人に復興の様子も見てもらえるようにしたい」と力を込めた。
航海士「ナミ」は西原村に。風が強く風車がある環境を踏まえ、村は「ナミに復興への追い風を吹かせてもらいたい」と提案していた。設置場所の俵山交流館萌の里は地震で周辺道路が寸断するなどし、一時閉店した。村は「村民の心の復興につながってほしい」。
大津町は、町内で剣道が盛んなことを絡めて提案し、剣士で戦闘員の「ゾロ」が設置される。熊本空港から近い立地も念頭に「ゾロはルフィの最初の仲間。熊本に来た来訪者が最初に訪れてくれたら」と町担当者。像などを巡る街歩きプランも今後計画する予定だ。
音楽家「ブルック」は、九州唯一の音楽大の平成音楽大がある御船町に決定。設置場所のふれあい広場は地震当時、避難所として使われていた。町担当者は「音楽イベントを開催できたらいい。積極的に企画したい」と意気込む。
船大工「フランキー」の像が置かれるのは、高森町の南阿蘇鉄道高森駅前。同鉄道は、地震で橋やトンネルが被害を受け2022年度の全線復旧を目指し工事が続けられている。町担当者は「ファンの方が駅に来ることで、住民や沿線の活力になる」と喜んだ。
阿蘇市のJR阿蘇駅前には狙撃手「ウソップ」が設置される。JR豊肥線阿蘇-肥後大津(大津町)は地震で今も不通で、駅には早朝からバスを待つ学生らが多く集う。市担当者は「不便なことも多いが、冒険と思って楽しめるようになれば」と完成を待ち望む。
仲間の像を巡っては、県内31市町村が51の設置場所案を提出。県は3月、8体の配置案を4案に絞り、設置が決まった8市町村のほか宇城市と宇土市が最終的な候補地に残っていた。
三角東港にナミを希望した宇城市の担当者は「市はナミの好物、ミカンの産地なので良いと思ったが…」。地震で被災し、再建する市役所新庁舎にフランキー像を求めていた宇土市の担当者は「新庁舎の新しい船出を願う絶好の機会だったのに」と残念がった。
この日、設置場所を発表した蒲島郁夫知事は「像が設置されない市町村にも効果が波及するようさまざまなアイデアを考えていきたい」と述べた。
■「2匹のチョッパー、会いに来て」 熊本市動植物園
熊本地震から復旧し、昨年12月に全面開園した熊本市動植物園には、船医のチョッパーが配置される。市は被災した動物たちをチョッパーが支える物語を描く。戸沢角充園長は「チョッパー自体が動物(トナカイ)のキャラクターで、動物園にぴったりだと思っていた。地震からやっと復旧を果たした園にとって、とてもいい知らせだ」と喜びを語った。
また、同園には「チョッパー」と名付けられた、シカの仲間のシフゾウ(雄)がいる。飼育員が大のワンピース好きだったことと、シフゾウがチョッパーに似ていることから命名された。現在6歳のチョッパーくんは、おっとりした性格だという。園長は「銅像と一緒に、シフゾウのチョッパーくんにも注目してくれたら」と話した。
(西日本新聞)