ワンピース世界の住人の血液型については、原作609話でサンジの血液型が「S型RH-」と判明して以来、コミックス66巻のSBSにて、「
X型」「
F型」「
S型」「
XF型」に分かれること明らかになっています。
ベガパンクが発見した「血統因子」がこちらの世界で言う「ゲノムDNA」や「遺伝子」であるように、おそらく「XFS」の血液型はこちらの世界の
ABO式血液型を模していると思われます。ちなみに、由来は”SFX”(特殊撮影)でしょう(SはサンジのSだったとは思いますが)。同SBSによると、他にA、B、Cを使う国もあるという話ですが、これは呼び方の問題なので原理は同じでしょう。
ABO式血液型は赤血球膜表面の抗原Aと抗原Bの有無で分けるもので、A型であれば抗原Aのみ、B型であれば抗原Bのみ、AB型はAとBの抗原両方、O型はどちらも無いという具合です。この血液型の分類は輸血の適合判定に重要なものですが、それについてはここでは必要ないので説明を省きます。
ここから中学校理科(あるいは高校生物)の時間ですが、これらの抗原(A、B、無し)を規定する対立遺伝子はA、B、Oの3種です。私たちは父由来と母由来の染色体を対で持っており、対立遺伝子についてそれぞれ父と母から引き継ぎ遺伝子型が決定します。血液型においてはA、B、Oのいずれかを父と母から引き継ぎますから、その組み合わせはAA、BB、AB、AO、BO、OOの6種になります。
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A |
B |
O |
A |
AA |
AB |
AO |
B |
AB |
BB |
BO |
O |
AO |
BO |
OO |
例えば、遺伝子型が”AO”であれば、抗原Aは有りますから「A型」です。
AA、AO = A型
BB、BO = B型
AB = AB型
OO = O型
これをワンピース世界の「XFS」の血液型に当てはめると、おそらくこうなります↓
XX、XS = X型
FF、FS = F型
XF = XF型
SS = S型
さて、キャラクターデータブックのONE PIECE図鑑(ビブルカード)では、ご丁寧に血液型が記されており、多くのキャラクターの血液型が明らかになってきています。それを見ると以下の特徴が見えてきます。
1)種族間でも血液型は共通している
2)血縁関係者は同じ血液型の場合が多い
3)RH-型はS型のみに存在
サンジの血液型の「RH-」はおそらくこちらの世界のRh式血液型の分類で、Rh抗原の陰性を意味しています。いずれの血液型でも「Rh-」はありますが、ワンピースの世界では「RH-」はS型の特徴のようです。
2番目の特徴については編集の手抜き感が否めませんが、親子間、兄弟間で血液型が異なる例もちゃんとあり、ネプチューン家が良い例です。
父 ネプチューン X 型
母 オトヒメ S 型
長男フカボシ S 型
次男リュウボシ S 型
三男マンボシ S 型
長女しらほし X型
ネプチューン家についてはどうやって子供を作って産んだのか、そちらが大きな謎ですが、血液型については明確です。母親のオトヒメのS型の遺伝子型は当然SSであり、子供にもS型がいるということは、X型の父親のネプチューンの遺伝子型はXSだと分かります。もしネプチューンの遺伝子型がXXだと、X型(XS)の子供しか生まれません。
他に、図鑑でこれまでに明らかになっている兄弟間で血液型が異なる例は以下の3例です。
兄 ドフラミンゴ X
弟 ロシナンテ S
兄 トム F
弟 デン X
姉 モネ X
妹 シュガー XF
兄弟の場合は親が異なる場合もあるかもしれませんが、いずれの例も1組の両親で成立する血液型の組み合わせです。
一方、親子間で血液型が異なる例はネプチューン家以外に現時点で一例のみ確認できるわけですが、こちらは少々問題があります。
父 モーガン XF
子 ヘルメッポ S
例えば、A型(AO)とB型(BO)の親からO型の子供が生まれる可能性はありますが、AB型の親からO型の子供が生まれる可能性はありません。なぜなら、AB型の親からAかBの対立遺伝子どちらかが必ず遺伝するため、遺伝子型がOOにはなり得ないからです。これを「XFS」の血液型に当てはめると、
XF型の親からはS型の子供が生まれないと言えます。
つまり、
モーガンとヘルメッポは実の親子ではないということになってしまいます。
しかし、モーガンはヘルメッポを薄らバカ息子と思いながらも育てた節がありますし、ヘルメッポが義理の息子だと自覚している様子は見受けられません。XF型の親からはS型の子供は生まれないと言いましたが、厳密に言うと、可能性がゼロというわけではありません。特殊な場合ですが、それは
XF型の親がトリソミーの場合です。
通常、染色体は父由来と母由来の2本1対で存在していますが、トリソミーでは染色体を片方の親から通常1本のところを、異常に2本引き継ぎ、染色体が3本になって存在しています。トリソミーの場合、XF型の遺伝子型はXXF、XFF、XFSの3種が存在し得ます。XFSのXF型の親からはS型の子供も生まれる可能性があるわけです。
染色体には様々な遺伝子が載っており、トリソミーになることで遺伝子の発現量が異常になり、胎生致死やそうでない場合にはトリソミーになる染色体によって様々な症状を呈するものですが、モーガンはいたって健康のようです。
モーガンがトリソミーである可能性よりも、モーガンあるいはヘルメッポの血液型が間違っている可能性の方が高そうですが・・・(ぁ
追記)
コメントでシスXF型(シスAB型)の可能性もあると指摘を受けました。
シスAB型とは対立遺伝子であるはずのAとBが同一の染色体にあるAB型の稀な例です。つまり、シスAB型を持っていると、ABO型の通常の分類では必ずAB型になります。モーガンはシスXF型を持っており遺伝子型がシスXF/Sであれば、S型のヘルメッポが生まれる可能性があります。トリソミー同様に稀な例(10万人に1人と推定されている?)ですが、こちらの方が健康なので妥当な気がします。