・康イエの置き土産
前回、
ヤスの正体が「白舞」の元大名・康イエだと判明しました。本名は霜月康イエだと判明しています。康イエの話では、
おでんが処刑された後、
オロチは
残る4人の大名に問いかけたと言います。
ーーー 黒炭家に仕えるか、戦うか。
おでんは九里の大名だったということですから、ここで言う残る4人の大名とはワノ国の郷の数から自ずと「希美」「兎丼」「鈴後」、そして康イエ本人である「白舞」の大名達だと考えられます。
934話
そしてこの時、花の都の将軍が黒炭オロチのはずですが、ワノ国の将軍家は代々、光月家だったところをどのようにして将軍の座についたのか、おでんの父親で将軍だった
光月スキヤキがどうなったかについては未だ語られておらず不明なところです。
これについて康イエは「
おでんに大恩ある」オロチが「
姑息な計略で奪い取っただけの将軍の座」だと言っています。回想を含め今回のエピソードでは、ワノ国で有力な大名だった康イエは光月家のおでんが将来、将軍になるべき人物だと考えていたことが窺え、先の言葉には”おでんが将来就くはずだった将軍の座を奪った”という意味合いが含まれていると考えられます。
オロチがおでんから受けた大恩については色々考えられそうですが、オロチの「姑息な計略」には23年前の「海賊騒ぎ」(
909話)と言われている事件が関係している気がしてなりません。
25年前より以前 ー ロジャー海賊団の最後の航海におでんが同行する
23年前 ー 海賊騒ぎ
ー この間にオロチが将軍になる?
20年前 ー おでん処刑
先のオロチの問いかけには各郷の大名と民は”戦い”を迷わず選択したという話ですから、オロチが将軍になった当初は形だけで、各郷の大名はそれを認めず、実質、スキヤキの後継者である「九里」大名のおでんに仕えていたというのが当時のワノ国の状況だったのでしょうか。それに業を煮やしたオロチはおでんを処刑し、花の都を除く全ての郷を滅ぼすことにより、ようやくワノ国の天下人になったわけです。
そして、オロチとの戦いで不本意にも一命を取り止めていたのが康イエでした。この話を聞けば、当時を知らない子供はともかく、ワノ国の人たちは皆、心の中ではオロチのことを良く思っていないというのがよく分かりますし、康イエを前にしたワノ国の人たちの様子から明らかです。
941話
前回、捕らえられオロチに処刑されることを覚悟した康イエは、皆に詫びたい事が二つ、オロチに言いたい事が一つあると言っていましたが、それは次のような事でした。
オロチに言いたい事は、
オロチが美しいワノ国を汚す害虫だという事。
皆に詫びたい事の一つは、
丑三つ小僧の正体だと言ったのは嘘だという事。
皆に詫びたい事のもう一つは、
判じ絵の札は自分が作ったイタズラだという事。
2つ目の事は3つ目の事を言うために注目を集める目的があったのでしょう。
前回の考察では、康イエは潰れかけていた錦えもんの作戦を自分を犠牲にして再び押し上げるつもりではないかと考えていましたが、康イエの発想はそれとは逆で、
作戦を一旦無かったことにしてまたやり直す事でした。
作戦をゼロにと言っても、康イエは首尾よく羅刹町に捕らえられた同志達に
新しい集合地を提示しています。つまり、作戦決行日に変わりはないということでしょうか。
光画タニシでワノ国中に中継されている絶好の機会で、康イエの取った手段は羅刹町に捕らえられた同志達を救うことはできても肝心の同志を増やすことはできないわけですが、上手いのはオロチが光月家の20年越しの復讐という幻を恐れている臆病者だということをこれまで以上に強く印象付けたことでした。これによってオロチが火祭りの夜に光月家の復讐を警戒して警備を強化しようとしても思うようにはいかないでしょう。
・SMILEの闇
かくして
康イエはとうとう
オロチに処刑されてしまいます。
そして駆けつけた
トコとえびす町の人達はそれを目撃して盛大に大笑いします。
「ぷわーっはっはっはっはっはっは トノヤッさんが死んだー」
「わっはっはっ 康イエ様が死んじまった〜」
「あっはっはっはっはっはっはっ お父ちゃんが死んじゃったよー」
トコを追いかけて、この異様な状況を目の当たりにした
ゾロは「人が死んで何が可笑しい」と怒りますが、
日和は「みんな泣いてるんです」とゾロを諫めます。
日和:えびす町の人達は苦しくても悲しくても
顔に出せないんです
「笑顔」以外の全ての”表情”を奪われ……笑う事しかできなくなってしまったんです
カイドウとオロチが持ち込んだ「
SMILE」という果実のせいで!!!
これは一体どういう事なのでしょう。
「SMILE」こと人造 悪魔の実はパンクハザードで作られていた、血統因子の応用(698話)とされる「SAD」を原料にドレスローザの工場(738話)で作られているものでした。SMILEの能力者となる当人達もそうですが、SMILEの製造に携わる人物達についてこのような話は出てきたことがありません。悪魔の実の呪いが”カナヅチ”になることである一方、
SMILEの呪いが笑顔以外の表情が失われるということであれば理解しやすい話ですが、そうではないので話はそう単純ではありません。
例えば、SMILEの初期の試作品の副作用がそういうもので、えびす町の人達がその実験台になったとか?・・・でも、それはパンクハザードでシーザーによって行われそうなものです。
ともかく、人造 悪魔の実がどうして「SMILE」と呼ばれ、原料はなぜ「SAD」という名前なのか、どうやらこの謎が明らかになるようです。