海でも「渋滞」は起きるのか?
『羅針盤なんて 渋滞のもと熱にうかされ 舵をとるのさ』
これはTVアニメ『ONE PIECE』のオープニングテーマ、『ウィーアー!』(作詞:藤林聖子、作曲:田中公平、編曲:根岸貴幸)の一節である。羅針盤通りに進んだって面白くない、自分の中の熱だけを信じて道を選べよ、と。いい歌詞だ……。
それはそれとして、広大な海で「渋滞」なんて考えたこともないが、どれだけの船があれば渋滞するのだろうか。
海上に船がギュウギュウに並ぶには
<世界にある船の数>
そもそも世界に船はどれくらいあるのか。日本船主協会によると、総トン数が100トン以上の船舶は世界に約11万6000隻あるという。
総トン数は船の容積を表す値で、海上保安庁のPC型(30メートル型)巡視艇「きたぐも」(画像)がちょうど100トン。
世界規模でもこれくらいの船は10万隻ちょっとなのか。想像したよりも少ない印象だ。
全ての船が海に出たときに占める面積
仮にこの船が一度に海に出たとして、どれくらいの面積を占めるのか見積もってみる。海上保安庁の船艇一覧から、11.6万隻が全て全長100m×幅15m=1500平方mの面積を占めると(雑に)仮定すると、総面積は11.6万×1500=174平方km。
一方、地球の表面積に占める海の割合は約70%、数値にして3億6000万平方km。船は海の21万分の1の面積しか占められない計算になる。海は広いな、大きいな……。
で、海の渋滞とは?
渋滞といえば普通は道で生じる混雑を指す。船の渋滞の場合も、海の上の道=航路で考えるべきだろう。
結論からいえば、湾や海峡といった幅の狭い海域は混雑することがある(船の混雑を輻輳:ふくそう、と呼ぶ)。日本では特に東京湾、伊勢湾、瀬戸内海が輻輳海域として知られている。
ちなみに、上記の3海域は特に輻輳が多いため、海上交通安全法によって個別に航行ルールが設けられている。一般の海上交通のルールを定めた海上衝突予防法、とくに船舶の出入りが多い港に対して適用される港則法と合わせて「海上交通三法」と呼ばれている。
自由な航海は逆に渋滞を生む
ルフィたちは海賊だからいいかもしれないが、現代で「羅針盤なんて渋滞のもと」の精神で航海すると、逆に渋滞のもとになってしまう。ルールを守って安全な航海を!
(ねとらぼ)