・世界会議で起きた事件
前回でワノ国編 第二幕が終わり、幕間となる今回。世界会議(レヴェリー)は7日間の会期を終えて解散され、1週間が過ぎた頃です。今回の世界会議では事件に次ぐ事件が起き、世界経済新聞社では”
新聞王(ビッグニュース)”こと社長の
モルガンズが一面をどのニュースにするべきか、興奮した様子です。
社員:社長!! 一面は一体どのニュースに!?
モルガンズ:「
死者」がでたんだ!!! 死亡記事は飛ぶ様に売れる!!
だが「
議決結果」も最高だ!!
「
殺人未遂」も胸が踊る!!!
このモルガンズの発言からは少なくとも
3つの重大事件が起きたことが窺えます。そして、その一つである「
議決結果」については、「
王下七武海制度の撤廃」であることが本話で明らかになっています。これは
藤虎が画策し、会議前にアラバスタの
コブラとドレスローザの
リクに持ちかけていたと思われる議案であり、七武海に実害を受けた二国の王から提出されたこの議案は大多数の賛同を得て可決されたとのこと。決議されてすぐに王下七武海の権利は剥奪されたようで、元王下七武海の海賊たちは本来の追われる立場に戻っています。
バギー、
ミホーク、
ウィーブル、
ハンコックら元王下七武海のもとには早速、これを拿捕しようとする海軍が迫っているのでした。ミホークが懸念していたレヴェリーの「妙な議題」(
925話)とはやはり王下七武海制度の撤廃であり、その後に起きることをミホークは予見していたわけです。海軍はカイドウとビッグ・マムがワノ国で接触することを危惧していながら、ワノ国が世界政府非加盟国であり管轄外であることを理由に派兵は控えている状況でしたが、こうなってしまうと兵力が足りず、ワノ国に派兵する余裕は無さそうです。
残る2つの事件については詳細は明らかになっていません。
サボと
アラバスタ王国がそれぞれ事件に関わっていることが窺え、しかも「死者=サボ」と読み取れるような描写がされていますが、これはミスリードを誘うようなものだと考えています。したがって、
「殺人未遂」の方がサボ、「死者」の方がアラバスタ王国の人物だと予想されます。
そこで、レヴェリー会期前と会期中のマリージョアの事件に関わりそうな動向を整理してみます。
908話
まず、
五老星と
イムの動向です(
908話)。イムはそこで「
歴史より消すべき”灯”」を五老星に伝えたと思われます。ここで言う”灯”とはロビンが革命軍に呼ばれている”革命の灯”と同じ意味で使われているはずです。つまりは五老星にとっては”空白の100年”の真相が明るみ出ることにつながりかねない都合の悪い因子のことでしょう。そうやって過去何百年に渡って”灯”を地道に消すことで彼らは世界政府の体制を維持してきたと考えられます。
五老星を集める前にイムはルフィとティーチの手配書、しらほしとビビの写真を見ていました。ルフィとティーチは”D”、しらほしは伝説の人魚(ポセイドン)、ビビは唯一下界に残った”最初の20人”の血族であるネフェルタリ家の王女で、五老星曰く「言わば裏切り者」です。そして、五老星の前に現れた時にイムが手に持っていたのは
ビビの写真でした。さらに、ワノ国にいるルフィももちろんのこと、本話においてティーチとしらほしが無事であることは確認できます。
そうなると、「歴史より消すべき”灯”」はやはりビビに決まって、ビビは暗殺されてしまったのだろうかと考えてしまいますが、気になる点もあります。イムが見ていたルフィとティーチの手配書は切り刻まれ、しらほしの写真には剣が突き刺さっていたのに対し、ビビの写真は一切傷つけられていない様子でした。これはどういうことなのか。希望的観測ですが、ビビは殺されずに生かして捕らえられたのかもしれません。しかし、そうなると「
死者」が出ません。
本話では国王同士がいがみ合うレヴェリーの実情を語った上で、
ガープは「
血さえ流れんのなら わしゃコレを平和と呼ぶが……今回のはマズイな」と発言しています。つまり、レヴェリーに参加した国王の誰かに血が流れたことが推察されますが、この発言に続いてガープはアラバスタ王国に関する事件がレヴェリー解散後にあったことを報告しています。
つまり、
コブラが「
死者」…という話になってきます。コブラは会期中に五老星との面会を求めていました。それに対して五老星は「何かに気づいたか……?話が拗れぬ事を祈ろう」と発言していました。コブラはロビンとの出会いをきっかけに「歴史の本文(ポーネグリフ)の事」「その昔 ネフェルタリ家の王は世界に何をしたのか」を世界政府に尋ねたいと発言しており(823話)、五老星と面会した際にはこの話をしたと考えられます。このコブラの純粋な疑問は、五老星にとっては”空白の100年”に真相に迫ろうとする疑念であり、コブラが危険分子とみなされた可能性は高いです。レヴェリー解散後にCP(サイファーポール)-0を使って、コブラが暗殺されたのかもしれません。先の予想と合わせると、その際にビビが誘拐された可能性もありそうです。世界経済新聞社にはサイファーポールが送り込まれ、とある事件をもみ消そうとして失敗していますが、世界政府が隠蔽しようとした事件はおそらくアラバスタ王国が関わるこの事件のことでしょう。
レヴェリーでは4日目にして、革命軍がバーソロミュー・くま奪還のため、マリージョアで海軍大将の緑牛、藤虎と衝突したことが既に報じられていました(
925話)。その任務についていたのが参謀総長の
サボと3人の軍隊長たちです。この作戦で革命軍はついに天竜人に宣戦布告したということでした。その後続報はなく、革命軍総本部では作戦に参加したメンバーと連絡が途絶えている様子です。
その状況で報じられたのがサボに関わる記事です。内容は不明ですが、革命軍総本部にいる者たちは記事が信じられないという様子で、コアラは涙を流し、その記事を読んだマキノやダダンたちは悲しみに暮れています。一方で気になる発言をしているのはティーチです。
ティーチ:おい野郎共 船出すぞ!!
海軍に取られるぐれェなら おれが貰っちまおう!!!
「
殺人未遂」の記事がサボに関わることであれば、おそらくこの記事の内容は
サボが天竜人の殺人未遂の罪で海軍に捕まったことだと予想されます。ティーチの発言がサボに関わる記事かどうかは定かではありませんが、仮にそうだとすれば、ティーチが「海軍に取られるぐれェなら おれが貰っちまおう」と言っているのはサボ本人もしくはメラメラの実の能力だと考えられます。黒ひげ海賊団は能力狩りが可能ですから。後者であれば、”おれ達が”ではなく、”おれが貰っちまおう”と言っているのは見逃せません。予てから黒ひげ海賊団の海賊旗のデザインからティーチの3つ目の悪魔の実の能力に関する説があるわけですから。
とにかく、サボが本当に海軍に捕まったのだとすると、
まるでエースの時と同じようです。つまり、サボを奪還するために革命軍と麦わらの一味が海軍と衝突する頂上戦争のような大きな戦いが起きることが予想されます。この戦いには当然、麦わら大船団の船長たちも集結することでしょう。すでに予言されている歴史に名を残す「一大事件」(800話)とはそのような大きな戦いこそ相応しいでしょう。
・海軍本部機密特殊部隊
954話
前回、ワノ国花の都「羅刹町」の牢屋敷にて捕まっていた
ローが何者かの助力により救出されていました。その人物のシルエットと状況から
ドレークで間違い無く、過去の出来事からローを助ける動機はドレークにあったとしていましたが、ドレークが百獣海賊団にいる目的自体は依然不明のままでした。
しかし、ドレークにまつわるこれまでの疑問は本話でまるっと解決しています。実はドレークが
海軍本部機密特殊部隊「sword」の隊長であることが明らかになったからです。つまり、ドレークは海軍を裏切って海賊に成り下がったわけではなく、海賊になったと見せかけて百獣海賊団に潜入した海軍のスパイだったわけです。ドレークはカイドウが支配するワノ国と世界政府が取り引きをしている情報を手に入れており、そのことにショックを受けたようです。
「sword」の名前の由来は分かりませんが、機密特殊部隊というからには世間には知られていない特殊部隊です。なんと
コビーも「sword」の隊員であることが明らかになっています。ドレークとコビーの電伝虫の通話では合言葉(「海」→「霧」)が使われており、ロシナンテとセンゴクのやり取り(「おかき」→「あられ」)が思い出されます(764話)。「sword」はセンゴクが大将だった時に命令していた諜報活動に通じる組織なのか、そのものなのか。
ロシナンテはセンゴクと直接やり取りをしていましたが、ドレークはそうではなく少将で隊員のコビーとやり取りをしており、「sword」を指揮している海軍本部の人物は不明となっています。また、コビーが諜報部員なのであれば、その対象は麦わらの一味の可能性がありますが、コビーがそのような諜報活動をしているとは非常に考えにくいです。隊長自身が潜入して、かつ、隊員と連絡を取っているとなると、この機密特殊部隊「sword」は海軍本部の指揮からある程度独立して行動していると推察されます。したがって、コビーはこの部隊で連絡役を務めている隊員だと考えられます。
今後、「sword」は世界政府の闇に迫っていきそうな感じがしますね。今後起きるだろう大きな戦いでコビーはもしかするとルフィ側に付く可能性もあるのではないでしょうか。