・ベッジのオーマイファミリー
948話から連載が始まった短期集中表紙連載「”ギャング”ベッジのオーマイファミリー」では、トットランドを無事脱出したファイアタンク海賊団のその後が描かれており、
シフォンが双子の姉妹の
ローラに会いたいということで、ファイアタンク海賊団はローラを探してドレスローザに上陸しているところです。
今回のVol.16の話タイトルは「ベッジの妻シフォン、美容室にて海軍に捕まる!!」となっており、
シフォンが美容室で髪を切っていたところに、押し入った海軍がベッジの手配書を掲げている様子が描かれています。しかし、ファイアタンク海賊団は前回まで、街中でバイキン海賊団と交戦中だったため、シフォンだけ呑気に美容院で髪を切っているというの変な話です。おそらく、これはシフォンではなく
ローラでしょう。
海軍が掲げている
ベッジの手配書の懸賞金額は8?or3?億5千万ベリーとあり、3億ベリーからホールケーキアイランドの一件で懸賞金が上がった模様です。ベッジの妻としてシフォンの顔も海軍に知られているようですから、双子のローラが平和に暮らすことは難しく、ローラもベッジの船に乗ることになるのかもしれません。
・光月おでん武勇伝その6
前回から引き続き、
26年前の回想です。白ひげ海賊団の2番隊隊長となった
光月おでんは、ロジャー海賊団と初めて交戦します。いつものように先陣を切って飛び出した おでん でしたが、
ロジャーの片手の一太刀〝神避(かむさり)〟に一蹴されてしまいます。
剣を刀で受け止めたはずなのに?
謎の力で吹っ飛ばされたことに おでん は納得いかない様子です。このロジャーの力が何なのかは直後のロジャーと白ひげの直接対決で明示されています。
このロジャーと白ひげの剣のかち合いは
963話の おでん と白ひげのかち合いと分かりやすい対比になっています。白ひげの薙刀が今回は武装色の覇気を纏っている(黒く描かれている)ことからも白ひげの本気が窺えるわけですが、おでんはロジャーと白ひげの剣が「
触れていない」ことに驚いています。
武装色の覇気(ワノ国で言う流桜)については
947話でヒョウ五郎が解説してくれましたから、この現象は武装色の覇気により”
見えない鎧”を剣に纏っているのだと分かります。おでんはこの時点で武装色の覇気の2段階目である”見えない鎧”を習得していなかったわけです。
また、
黒い稲妻のようなエフェクトは おでん と白ひげの剣のかち合いやカイドウとビッグ・マムの対決で描かれていましたが、今回は剣から「バリバリ」とエフェクトが漏れ出ている様子が描かれています。この黒い稲妻のようなエフェクトは
武装色の覇気そのもので、武装色の覇気が流動的であることを表現しているのだと思われます。これを纏ったものが黒く見え、稲妻が散っているのは、ぶつかり合った武装色の覇気が飛び散っているわけです。
ロジャーと白ひげの直接対決のほか、ロジャー海賊団と白ひげ海賊団の総力戦は3日3晩続いたものの、休戦となります。ちなみに、レイリーと同じぐらいロジャーに親しげにしているのはロジャー海賊団の古株で名前が知れている
スコッパー・ギャバンです。彼の武器は両手に2つ持っている手斧で、少し変わっています。
そして、ロジャーは おでん が古代文字を読めると知り、おでんを最後の航海にスカウトします。ロジャーはこの時より13年前(39年前)に、誰も到達したことがなかったという記録指針(ログポース)の最終地点である〝
水先星(ロードスター)島〟に行き着き、そこが最後の島ではないことを理解し、最後の島にたどり着くためには4つのロード・ポーネグリフが必要であることを突き止めていました。それまでに13年掛かったわけです。麦わらの一味にはロビンがいますが、ロジャー海賊団には古代文字を読める人間はいませんでした。ロジャーは おでん を1年貸してくれれば、最後の島にたどり着けると力説します。
ロジャーによる おでん の引き抜きを白ひげは拒否しますが、光月家と古代文字の謎に興味をそそられた おでん自身もロジャーに同行することを熱望し、おでんはロジャーの最後の航海に旅立ちます。4年間の航海ですっかり海賊に馴染んだ
イゾウは白ひげ海賊団に残り、
トキは
モモの助と
日和を連れて おでん に同行、
ネコマムシと
イヌアラシは再び隠れてロジャー海賊団の船に乗り込み、おでんに同行します。
後に白ひげ海賊団の隊長となるイゾウと白ひげの間で何かしらの取引があるのかと思っていましたが、すんなりイゾウが白ひげ海賊団に残ることになったのは意外でした。また、ロジャー海賊団が一旦ワノ国に寄ったのか、トキがそのまま最後の航海に同行したのかは不明です。
・ティーチの秘密
ロジャー海賊団と白ひげ海賊団の休戦後、当時、ロジャー海賊団の見習いだった
シャンクスと
バギーが、白ひげ海賊団の
ティーチを話題にして話しているのですが、これまで明かされていなかった黒ひげティーチの衝撃の事実が明らかになっています。
というのも、ティーチは
生まれてから一度も眠ったことがないというのです。
これを聞いたシャンクスが「人生〝
倍〟楽しいのかな」とご丁寧に言ってくれているので、これが
エースがバナロ島でティーチに向かって言った「
人の倍の人生を歩んでるお前」(440話)の意図していることだと分かります。『ONE PIECE GREEN』の伏線ガイドによると、このエースの言葉は、マルコがティーチの身体について「
異形」(577話)だと表現したことや、ティーチが
2つの能力を手に入れたことの謎を解く鍵だとされています。
動物が眠るのは、脳が休息をする時間が必要だからです。無理やり睡眠を断つと、脳神経が障害を受けることが分かっており、ヒトの場合でも寝ないでいると幻覚を見ることなどが知られており、最終的に死亡すると考えられています。つまり、生まれてからずっと眠らないでいることは、眠気を我慢したとしても普通の動物には出来ないことです。
そう、例えば、
脳が2つあって片方の脳が活動している時にもう一つの脳が休んでいるみたなことがない限り・・・
・ロジャーの夢
ロジャーが白ひげと おでん に語るシーンで、ロジャーがなぜ偉大なる航路の最後の島「ラフテル」を目指したのか、その動機が窺い知れます。
まず一つは、前人未到の世界一周を達成するという冒険心。
そして、最後の島にあると噂されていた莫大な財宝でした。
最後の島にたどり着けば、富と名声を手に入れることができ、おれ達は世界一の海賊団になると力説します。ロジャーの夢はさらにあり、「そしたらおれはよ……!!」と語りかけますが、その内容は今回明かされておらず、呆気にとられる白ひげと おでん のリアクションが描かれています。
この時点でロジャーは世界の真実を知っているはずはなく、この後、ワンピースという宝探しを仕掛けようという話ではないはずです。仮にそうだとして、ここで敢えて隠す必要はないわけです。
ロジャーには世界一の海賊団になり、莫大な財宝を手に入れた後に、実現させたい夢があったわけです。
そして注目なのは、ロジャーが白ひげと おでん に自身の夢を語るこのシーンが、
ルフィがエースとサボに自身の夢を語ったシーン(585話)に酷似していることです。
ルフィがここで何を言ったかは未だに明らかになっていません。
一方、レイリーの回想で、
シャンクスがルフィを気に入った理由としてシャンクスは「(ロジャー)船長の
あの言葉」「ロジャー船長と同じ事」(506話)をルフィが言っていたことを挙げています。「船長のあの言葉」とはおそらく、507話でルフィがレイリーに答えた「支配なんかしねェよ この海で一番自由な奴が海賊王だ」に近いものだと考えられます。
しかし、海賊王という言葉はロジャー海賊団がグランドラインを制覇した後にロジャーの称号として出来た言葉であり、つまり海賊王はロジャーを指しているわけですから、ロジャーが海賊王とは何かを語ったとは思えません。ですが、ロジャーとルフィの思考回路は非常に似ているのだと思われ、この両者が夢を語るシーンが同じ様に描かれている(かつ隠されいる)のは、
ロジャーの夢とルフィの夢は同一であると考えられます。
そうだとすれば、ロジャーの夢を聞いた白ひげが「
ガキでもあるめェし」と笑っているのは、両者の夢が何かを考えるヒントになります。
以前の考察「
【伏線】 ルフィの”本当”の夢 【実は正解でていた件】 」では、ルフィの夢は
ガイモンが言った、
ワンピースを手に入れて世界を買うことだと考察しているのですが、白ひげの「ガキでもあるめェし」という感想はピッタリ当てはまる気はします。上記の考察記事のコメントにあった「ワンピースを手に入れて世界中のみんなと宴をする」というアイディアもアリだなと思っていたのですが、白ひげの「ガキでもあるめェし」という感想は当てはまらないです。
そして、世界を買って世界を支配したいのかと問われると、世界を買って(世界政府から)世界を自由にさせたいのだと、きっとロジャーは答えるわけです。
・万物の声
空島のポーネグリフにロジャーの名前が刻まれていた事について、ロジャーが古代文字を使えたのかとロビンが尋ねたところ、レイリーは
ロジャーが「
万物の声」を聞くことができたと答えています(507話)。
本話では、ロジャー海賊団が空島のポーネグリフにたどり着いた様子が描かれており、ロジャーの名を記した古代文字は当然、おでん が彫ったわけですが、巨大豆蔓(ジャイアントジャック)の先端に人知れずあったポーネグリフを発見したのはロジャーの「万物の声」を聞く力によるものだったようです。
ロジャーは古代兵器ポセイドンのことについて書かれている空島(シャンドラ)のポーネグリフについて「
この石は強い〝声〟が詰まってて見つけ易い 大きな〝力〟の話だな?」と語っています。ロジャーが象主(ズニーシャ)や海王類の声が聞けることは判明していましたが、ポーネグリフの声すらも聞こえるとは、まさしく「万物の声」を聞く力と言えます。
ロジャーは古代文字は読めませんが、ポーネグリフから発せられる〝声〟から感じるニュアンスから、ポーネグリフの内容を判別できたようです。強い〝声〟であれば、古代兵器の〝力〟が記されたものという具合です。ロードポーネグリフの他、真の歴史の本文(リオ・ポーネグリフ)は9つあり、これを最後の島に導くこともロジャーの目的だったはずで、9つのリオ・ポーネグリフの中でも古代兵器について記されたポーネグリフは「強い〝声〟」が発せられているので見つけやすかった様です。
しかし、ロジャーがどうして「万物の声」を聞くことができるのか、ポーネグリフの〝声〟として実際に何が聞こえているのかは未だ不明です。