・ベッジのオーマイファミリー
948話から連載が始まった短期集中表紙連載「”ギャング”ベッジのオーマイファミリー」。トットランドを無事脱出したファイアタンク海賊団のその後が描かれており、
シフォンが双子の姉妹の
ローラに会いたいということで、ファイアタンク海賊団はローラを探してドレスローザに上陸。
Vol.16の話タイトルは「ベッジの妻シフォン、美容室にて海軍に捕まる!!」となっており、シフォンが美容室で髪を切っていたところ、押し入った海軍により捕まっていました。ただし、状況的にこれはシフォンではなく
ローラだと予想されます。
今回のVol.22の話タイトルは「おかみさん救出成功!!」となっており、
ゴッティが海軍との戦闘を経て「シフォン」を奪還した様子が描かれています。この「シフォン」が予想通り本当は「ローラ」であれば、
ローラはこの後ゴッティに求婚するはずです。ゴッティが事情を知った上でローラのプロポーズを受ければ、シフォンと同様にローラ(ローリング海賊団)もファイタンク海賊団の船に乗ることになるでしょうか。双子の姉妹をベッジとゴッティが嫁にもらうとなると、色々と面白いことになりそうです。
・もしもの時
「狂死郎」の正体が傳ジローだと判明した
前回。今回は小紫として花魁にまで登りつめた
日和と
狂死郎(傳ジロー)の遊郭での一幕が描かれており、オロチの城内で不敬の小紫を狂四郎が斬殺した事件のトリックが明かされています。と言っても大したことではなく、仕掛けは小紫が着物に仕込んでいた
血糊でした。血糊と二人の演技にオロチ達は皆、騙されたわけです。
ワノ国編の開幕では、ウソ八ことウソップがガマの油売りをしていました(
909話)。ガマの油売りには血糊を使ったトリックがあり、おトコを含めてワノ国の人たちはまんまと騙されていたわけですが、一応これが薄い伏線になっていたのかもしません。傳ジローはオロチが小紫に惚れ込んでいることを危惧して、日和に毎日着物に血糊を仕込むよう指示し、いつでも小紫の”死”によってオロチと日和を引き剥がす準備をしていたのでした。
なお、これは「狂死郎」「丑三つ小僧」の正体が傳ジローだと判明した時点で予想されたことですが、日和が小紫として悪人から騙し取った身請け金(
928話)は傳ジローに渡し、傳ジローは丑三つ小僧としてお金をばら撒いていたようです。これは日和が不幸な「えびす町」の住人を思いやる気持ちからだと思われます。
・内通者
本話では時折、オロチが独自に入手していた情報の元(
959話)および、おでんの討ち入りの際にカイドウが仄めかしていた光月の内通者が明らかになりました。
これはオロチら黒炭家の残党が少なくとも39年以上も前から仕掛けていた陰謀の一つでした。
この時オロチらは、
とある黒炭家の生き残りと接触しています。彼は大衆演劇の一座の生まれで、黒炭家への迫害により両親は舞台上で殺されています。オロチ曰く、舞台での生き方しか知らない男で、完全に心を失い何者かを演じる事で生き長らえていたとのこと。オロチらはそこに目をつけ、彼を光月に潜入させる忠実なスパイに仕立て上げるのでした。
オロチがコマ使いとして潜入していた康イエの城を出立し、
光月おでんがワノ国を漫遊している間(
962話)に、彼はおでんに接触して家臣に加わっています。
それから39年後 ーーワノ国編 第三幕。
光月おでんの遺志を継いだ光月の家臣達は4200人の同志を集め、決戦当日の火祭りの日の夕刻、集合場所の「常影港(トカゲみなと)」から用意した船でカイドウとオロチがいる鬼ヶ島を目指し、討ち入りするはずでした。しかし、光月の家臣達が集合場所に着いた時、港は破壊され、船は一隻もなく、誰一人見当たらない状況になっていました(
958話)。
大時化の海に小舟を出し、
モモの助と
しのぶの制止を振り切って玉砕覚悟で乗り出した赤鞘九人男でしたが(
959話)、20年前の出来事から彼らの中のあった考えたくもない疑惑が今回の件で確信に変わっていました。そこに誰も触れず小舟を進めていましたが、
菊之丞が耐え切れず、この中に「敵の内通者がいる」ことについて言及します。
お菊:おかしいですよ…こんなの!! 作戦が漏れてるって事でしょう!? また!!
カン十郎:それがしも……いや皆同じ事を考えていた筈!!
錦えもん:考えたくなかったが……!!! ーこの中におそらく敵の”内通者”がいる…!!!
正直今更知りたくない…!!
お菊:錦様!! あなたらしくないですよ!!
内通者を見つけ!! 斬り捨てて前へ進むあなたじゃなければ!!
錦えもん:拙者達も前に進めません!!! ーだが当人は自首などすまい!!
カン十郎:菊の言う通りだ!! 錦!! はっきりさせようぞ!!!
カン十郎:おれがそうだって事を
これにはゾッとしました。
ワンピースには数々のキャラクターが登場していますが、これほどサイコなキャラクターはいないため、そのギャップにやられます。このカン十郎の描写は完全にホラーですし(笑)。もし、自分が子供の時に読んでいたら軽いトラウマになっていたかもしれません。正体を明かしたカン十郎の首を錦えもんは斬り落としますが、それはカン十郎の能力で描かれた偽物であり、錦えもん達が知るカン十郎の画力ではないことが確認されたことで不気味さが際立っています。
黒炭カン十郎はおでんの家臣になる前は、「希美」にて日銭稼ぎに切り奪った髪で”筆”を作って売っており、「希美の妖怪」として恐れられていました。そして、希美の妖怪として、おでんを襲うことでおでんに接触することに成功していますが、おでんの家臣は勝手に付いて行けば成立するので、そんな役作りは必要だったのかというか、一体どういう算段だったのかというツッコミどころはあります。オロチらがこの任務のためにカン十郎に悪魔の実を授けていた点もよく分からないところです。この段階でオロチらは資金集めをしているわけですから、手に入れた悪魔の実は売ってしまった方が話が早いですから。その点についてはオロチ自身の悪魔の実もそうですが。
それはともかく、光月の家臣になることに成功した黒炭カン十郎はオロチがおでんに金を借りに来る度に必要額の倍の金を金庫から出し、おでんの討ち入りの情報を流し、20年後にタイムスリップした後は錦えもん、雷ぞう、菊之丞、モモの助そしてカン十郎がワノ国に20年前から飛んで来たことをオロチに手紙で報告していたようです。これを受けてオロチは海岸から出国する船を見張り続けることを命令した結果、錦えもん達の出航が目撃されています(920話)。
ゾウを目前にして
雷ぞうと逸れ、漂着したドレスローザで黒炭カン十郎は捕らえられて錦えもん達と逸れることになりますが(700話、920話)、この時に黒炭カン十郎は何らかの方法で連絡を取り、雷ぞうがゾウに向かったことを百獣海賊団に伝えていたことになります。しかし、
ジャックがどうやってゾウに辿り着いたかは不明です。
そもそも錦えもん達もどうやってゾウを目指したかも謎ではありますが、方法はビブルカードの他ないはずなので、ビブルカードを頼りに出航し、黒炭カン十郎はそのビブルカードを百獣海賊団に送っていたということになるでしょうか。それも一体どうやって?という気はしますが。少なくともイヌアラシとネコマムシはゾウからワノ国にやって来て、ゾウに帰っているので故郷に帰る手段のビブルカードは持っていたはずです。いざ、という時にミンク族を頼りにしろという、おでんの遺言もありますから、そのビブルカードを光月の家臣達が共有していた可能性はあります。そして、
ゾウに行きつくためのビブルカードとして確実なのは象主(ズニーシャ)からビブルカードを作ることだと思われます。
その後、ワノ国に戻った黒炭カン十郎は光月の家臣としての完璧な役を演じつつ、唯一情報だけはオロチに送り続けることになります。捕まったベポ達が疑われた最初の作戦が漏れたのもそうですし、康イエの機転で集合地が常影港に変更されたこと、日和が生きていること、兎丼が占拠されたこと(955話)、4千人の同志が集まっていること(
959話)がオロチに漏れていたのも黒炭カン十郎からの情報だったわけです。
常影港へのルートは遮断されており、オロチは光月の侍が小舟で鬼ヶ島を目指すというところまで予想して百獣海賊団に伝えており、百獣海賊団の海賊船が錦えもん達が乗る小舟の前に現れます。一方、岸では黒炭カン十郎の本体が
モモの助を捕らえています(しのぶは一体どこへ?)。
オロチが黒炭カン十郎に与えた任務は「本物の光月として生き」「誰にも気づかれる事なく光月として死ね」というもので、死に場所を探していたカン十郎は20年前、本望でおでんと一緒に処刑されるつもりでしたが、死に切れませんでした。20年が経って光月の生き残りがいると知った
カイドウは
光月に聞きたいことができたらしく、オロチには光月を殺すなよと言っており、そこでオロチは、カン十郎にそのまま光月の家臣として死んでもらっては困るので、今回はモモの助を鬼ヶ島に連れてくることを命じていたようです。
完全にオロチと黒炭カン十郎にしてやられた形かと思われましたが、ここで把握していなかった事態が発生し、カン十郎は困惑します。九里の海岸に停泊していて昨夜、攻撃を受けていたはずのサニー号に乗って
ルフィがなぜか現れ、作戦に関与していない
キッドと捕まっていたはずの
ローがそれぞれの海賊船に乗って現れたからです。
捕まっていたローはドレークによって解放されており(954話)、キッドはルフィらによる兎丼の制圧によって解放され、キッド海賊団の船員を探しに兎丼を去っていました(949話)。キッドまでこのタイミングで現れたのは出来すぎている気はしますが、キッドとしてはカイドウの首をルフィとローに獲らせたくないという気持ちみたいです。攻撃を受けたはずのサニー号については損傷を受けたようで、修理に時間がかかり集合時間に遅れた様子です。
また、駆けつけたキッドが重要な発言をしています。
キッド:向こうの港にバカみてェに船と侍が集まってたがありゃ何だ!?
954話
ワノ国の港の数は限られており、攻撃を受けた伊達港と常影港を除けば、キッドが言う「向こうの港」とは元々の決戦の集合場所だった「
刃武港」だと考えられます。
959話
オロチは作戦の集合地である常影港と常影港に通じる橋、船が停泊していた伊達港と九里のサニー号への攻撃を命じていたようですが、作戦を正確に把握していたために元の集合地であった「刃武港」への攻撃を見逃していたのでしょうか。錦えもん達の知らぬ間に集合場所が改めて「刃武港」に変更されていたとして、どうやって集合することができたのかは謎です。きっとそれには
傳ジローあるいは
ネコマムシあるいは
ジンベエが関わってると期待したいところです。
ルフィ達の状況を知った上、錦えもんからのスマシに誰も応答しなかったこと(958話)を考えれば、この時点で内通者の存在に気づいた者によって作戦が敵に漏れないようにスマシへの工作が行われていた可能性が考えられます。やはり
カリブーが能力でスマシによる通信を妨害していたのかもしれません(
959話考察)。