1974年にフジテレビ系で放送された、北欧の海賊・ヴァイキングを題材にしたアニメ「小さなバイキング ビッケ」(原作『小さなバイキング』シリーズ)が、オリジナルストーリーのCGアニメーション映画「小さなバイキング ビッケ」となって10月2日から公開されています。
映画告知のプレスリリースでは「
『ONE PIECE』(〔著〕尾田栄一郎)のモチーフにもなった名作」と紹介されているようで、映画を紹介するネットニュースではこのフレーズがしばしば見かけられます。しかし、この紹介の仕方は語弊があるように思います。子供の頃、アニメ「小さなバイキング ビッケ」が好きだったという栄ちゃんはしばしばこれについて言及しています。
僕が子供の頃、楽しんで観てたTVアニメで「小さなバイキング ビッケ」というのがありまして、どんな話かというと、力はないけど知恵の働く少年ビッケと、力はあるけどバカばっかりのバイキングの一団の冒険の話なんですけど、彼らの冒険がまた楽しそーで楽しそーでいい雰囲気なんですよ。(中略)たぶんこれが僕の海賊好きの原点なのです。
(コミックス『ONE PIECE』2巻, 1998年発行)
(海賊が作品のモチーフであることを尋ねられて)
僕は昔から(海賊が)好きなんですよね、ビッケに始まり。海賊って多分みんな好きだと思うんですよ。一見ワルな感じと、夢もってそうな感じ。本当は悪いやつなんですけど、それを無視して、結構想像上で出来上がってる勇者たちじゃないですか。僕もその辺好きだし、そういうの利用したらいいなって。だから、詳しい史実とかは無視してやってます。
(『コミッカーズ』1998年10月号)
(海賊が作品のモチーフであることを尋ねられて)
小さな頃からずっと海賊が好きだったんですよね。子供の時、『小さなバイキングビッケ』というアニメが本当に好きだった。それはバイキングに憧れ、バイキングになることを夢見る小さな少年のお話。僕がONE PIECEを構想するにあたって海賊を調べていた時、バイキングが海賊の種類の1つだと知ったんです。僕はビッケみたいに、船員に友達がいることは素晴らしいことだなと。最適なたとえじゃないかもしれないけど、ビッケの精神は僕の作品に生きている気がします。
(
北米版少年ジャンプ「Weekly SHONEN JUMP Alpha」2012年3月19日号 ※日本語訳ブログ)
(『ONE PIECE』を描くきっかけを尋ねられて)
『小さなバイキングビッケ』っていうアニメがありまして、それが好きで、覚えているシーンとしては「明日 僕は父さんたちと航海に出るんだ」っていうシーンが多分どっかにあるのか、僕が思ってしまったか、あると思うんですよね。で、そのシーンにすごく憧れてたんですよね。で、その通りに海賊漫画を描いて、イメージがどんどん膨らむもので、これは連載しようと、中学ぐらいに思って取っといたネタなんですけども。
(
フジテレビ「まさかの神降臨!尾田栄一郎がはじめて語る、ワンピースの真実に濱田岳も驚がくSP」2016年7月23日放送)
要するに、連載漫画の題材に海賊を選んだ源流はおそらくアニメ「小さなバイキング ビッケ」であり、『ONE PIECE』で描かれている”仲間の絆”はビッケの精神と共通する部分がある、と自己分析されています。
『小さなバイキング ビッケ』が『ONE PIECE』のモチーフというのはやはり言い過ぎだと思うわけですが、ヴァイキングはエルバフのモチーフになっていますし、エルバフのオイモとカーシーはアニメ「小さなバイキング ビッケ」のスノーレとチューレがデザイン元になっていると思われますから、多数あるモチーフの1つになっていることには違いありません。
キャラクターデザイン元・イメージ元のまとめ