第8回はエドワード・ニューゲート、4番隊隊長サッチ、マーシャル・D・ティーチの3人の
名前の由来になっている海賊 黒ひげです。
"黒ひげ"エドワード・ティーチは海賊黄金期において最も悪名高い海賊の一人です。
パーティーゲームの「黒ひげ危機一髪」の黒ひげとは彼のことです。
黄金期について→こちら
ティーチはサッチからドラモンド、タッシュ、サッチなど12回も名前を変えていますが、この記事ではティーチと呼びたいと思います。
名前は3人とも共有していますが、モデルが反映されているのはティーチですからね。
そうして拿捕したギニア貿易船に「アン女王の復讐(クイーン・アンズ・リヴェンジ)」号と命名し(アン女王はイギリスの女王、1714年死去)、その船を母船として西インド諸島とノース・カロライナ(北アメリカ植民地)間の海を中心に暴れまくりました。
彼の名は「恐怖の名の海賊」とか「悪魔の落し子」と形容されるほど恐怖されましたが、ティーチはこの時代の何人かの海賊(例えばエドワード・ロー;トラファルガー・ローの由来)ほど残忍ではありませんでした。
ティーチはこの時代のどの海賊よりも自身を恐ろしげ見せること、狂気的に演じることに徹底していたのです。
彼の容姿は”黒ひげ(ブラック・ベアード)”とあだ名がついているように、真っ黒な髯が顔全体を覆い、伸びるに任せて伸ばしていたので、髯は眼のところまで広がって、髯の中から落ち窪んだ鋭い眼がのぞいているという格好でした。電波少年でよく見ましたね、そんな人・。・
たてがみのような黒髪と風にそよぐ顎髭を何本ものお下げの形に編み、これをリボンで結んでいました。
エドワード・ティーチ
戦闘の場では、肩に3対のピストルを吊るしたつり革をクロスしてかけ、帽子の下に火縄を突きさして火をつけました。
それが顔の両側でくすぶりながら煙を出して燃え、不気味な黒ひげと相まって「悪魔」を形容させるのでした。
右)栄ちゃんが49巻SBSで描いた黒ひげ。
姿が悪魔なら、その振る舞いも異常で、彼の部下たちもその芝居の犠牲になりました。
あるときは、部下と船倉に下りてハッチを閉めた上で硫黄を焚き(ティーチ曰く「地獄ごっこ」)、有毒ガスたちこめる部屋に最後まで耐えて残ったり、
あるときは、船室でいきなり、一緒に酒を飲んでいた部下の膝を銃で撃ちぬいたりしました。
そして、彼は怒ってこう言うのです。
「ときどきこういうことをしてやらなきゃ、お前らも俺様が誰だか忘れちまうだろうが」
ティーチはあっちの方も異常で、港々に14人もの妻がいました。
女は海~♪
(画像に意味なんてないのさ。本当さ)
妻と一晩中愛し合った後、船にいる仲間の男5,6人に「馳走しよう、上がって来い」と招き、彼の目の前で、妻に強要して、この連中に身を委ねさせるのが常でした。やっほーい!
ティーチはノース・カロライナ総督と結びつき、「アン女王の復讐」号で掠奪をする限り、その海賊行為を許されていたので、この海域を上下して貿易に従事していた者にとってはたまったもんじゃありませんでした。
刑罰免除特権を持った通り魔がいる夜道を歩くようなものですから。
そこで彼らはヴァージニア(カロライナのちょっと北に位置)総督に黒ひげ打倒の軍隊派遣を懇請し、ついに今まで野放し状態だった黒ひげの討伐が始まりました。
黒ひげ最後の戦い
その討伐に任じられたのがロバート・メイナードという勇敢なイギリス海軍中尉でした。
メイナードと黒ひげの戦闘は熾烈を極め、互いに残った部下十数名を従えて血でぬるぬる滑る甲板の上で白兵戦が続きました。船のまわりの海面には流血のために赤く染まったほどです。
戦闘で黒ひげはメイナードの弾丸を一発受け、その後メイナードの部下に喉を撃ち抜かれるも、踏み止まり手負いの獅子のように闘い続け、ついに最後のピストルを撃ち尽くそうとしたとき、崩れるように倒れて死にました。
全身に20の刀傷を負い、5箇所を弾丸で撃たれていました。
白ひげの最期を連想しますね。
この戦闘の前の晩、ティーチは自身の財宝について
「わしと悪魔のほかには、誰一人その場所を知ってる者なんかいないぜ。
一番最後まで生き残った者が、全部を手に入れるってことになるな」
と語ったことを生き残った彼の部下が法廷で証言したために「黒ひげティーチの財宝」伝説が生まれました。「キッドの財宝」伝説には劣りますが、最も信憑性のあるものとして「キッドの財宝」と並んで後世に伝えられています。
ちなみに、語るには時間がかかるので省きましたが、見事黒ひげを討ち取ったメイナード中尉はかなりカッコイイ人物なので今後『ワンピース』本編に出てくるかもしれませんよ。
あと黒ひげに膝を撃ち抜かれた部下はイスラエル・ハンズというのですが、彼は小説『宝島』にも登場する有名な名前なので一応チェックです。
キャラクター 名前の由来&モデル のまとめ