・火祭りの日
鬼ヶ島でワノ国の命運を分ける決戦が行われていることはつゆ知らず、花の都では人々は年に一度の火祭りに興じていました。青森のねぶた祭りのような行燈(光月おでんを模していると思われる)の山車が出ています。しかし、「火祭り」ということなので祭りの内容はバレンシアの火祭りに近いのかもしれません。バレンシアの火祭りでは張り子の人形を燃やしてフィナーレとなりますが、ワノ国編の終幕の演出に関係するのかもしれません。
火祭りはオロチが都に居ない日でもあります。オロチ政治の恩恵に預かり受け入れていたように見える花の都の人々も実は圧政に怯えながら生きており、いつか「光月家」の侍達がワノ国を救ってくれるという伝説を心の支えに生きていたそうです。その伝説が人々の夢であり、今まさに鬼ヶ島で戦いが起きていると夢を語っている人もいます。97巻のSBSでは、おでんの汚名は返上されたはずなのにどうして光月家が蔑まれるようになったのかという質問に、「洗脳教育」と「圧力」が原因と答えられていました。いずれも本編で描かれていた部分ですが、今回改めて読者の疑問に対して本編で描いた形でしょうか。
・氷鬼
ドレークが「まさか この弾…!!」(
991話)と動揺していた
クイーンが放ったガトリングガンの弾は生物兵器の疫災弾(エキサイトだん)でした。クイーンが作り出した疫災弾は接触感染して瞬時に発症する奇病のウイルスを込めた弾です。それもクイーン自身の最高傑作という「氷鬼」という代物で、兎丼で使われた「ミイラ」とは別物です。
「氷鬼」は発症すると、肉体が強化されて凶暴化し、無差別に攻撃するようになります。一方で皮膚は氷で角ができるほど異常に冷えて凍るため、まさしく”氷鬼”です。感染した人間は1時間で死亡するとのこと。鬼ごっこの「こおり鬼」がモチーフになっていると思われますが、この場合、凍っていない人間がタッチしても氷は解けず、感染してしまいます。
そんなウイルスを先ほどまで宴会をやっていたライブフロア会場に敵味方お構いなくぶち撒けるクイーンはやはりイかれてるわけですが、百獣海賊団で犠牲になったのは
プレジャーズ(SMILEのハズレを引いた船員達)と
ウェイターズ(SMILEを食べる機会を待つ船員達)のようです。プレジャーズはクイーンに「どうせお前らは笑う事しか能がねェんだ」とバッサリ切り捨てられています。ウェイターズに関しては、SMILEがもう手に入らない現状ではプレジャーズと扱いに大差ないかもしれません。
元オロチ軍や
アプーさえも巻き込まれているので、御構いなしというか、クイーンにとっては高みの見物のようです。フロアは既に扉で閉鎖しており、氷鬼の混乱にさらにゲーム性を与えるため、クイーンは氷鬼の「抗体」のバイアルをアプーに授けます。クイーン曰く、渡した「抗体」は唯一のもので、奪われたら惨殺の形だとアプーを脅します。侍達や百獣海賊団の船員達は仲間を助けるため、アプーを追いかけ、元オロチ軍は侍達を妨害するつもりのようです。一方、
チョッパーは氷鬼の抗体薬を生成するために、
ゾロにこの抗体争奪戦を託しています。なぜかアプーが追い込まれる状況になっているわけですが、アプーはきっとクイーンにも嫌われていたのでしょうねw
ところで、アプーが受け取った「抗体」が治療抗体として唯一なのか、渡したバイアルが唯一なのかは曖昧なところです。後者であれば、いくら高みの見物といえどクイーンが本当にそれを手放すのか疑問です。
・カイドウVS赤鞘
満月が照らすドクロドームの屋上の決戦は、
赤鞘の侍達と
カイドウの直接対決に突入。
前回、
錦えもん、
傳ジロー、
アシュラ童子、
イヌアラシが おでん の剣技である「おでん二刀流」の構えから、かつて おでんがカイドウに傷を付けた技「
桃源十拳」で、20年越しにカイドウの古傷(970話)を再び抉りました。
確かにダメージを与えることはできましたが、カイドウ曰く、傷は浅く、おでん ならまだしも赤鞘の侍達には自分は倒せないと言います。起き上がった龍のカイドウが放った咆哮は今度は「かまいたち」(実際は飛ぶ斬撃)で、
菊之丞が左腕を肩から切断する重傷を負いますが、イゾウが圧迫止血し、錦えもんが炎の剣で患部を焼いて止血して、菊之丞はすぐに剣を右手に持って戦闘に戻っています。
「終わろうか……」と言って、赤鞘の侍達に死亡宣告をしたカイドウはいつもの人型に変身しています。龍の状態だと咆哮ぐらいしか技が無く、動きは鈍く、ビッグ・マムとやりあった時も人型でしたので、カイドウにとっては人型のフォルムの方が本気ということなのでしょう。と言っても、厳密な人型ではなく、ウロコのように硬い皮膚や腕力、頑丈さは生まれながらのポテンシャルの上に龍のゾオン系能力の影響を受けていると思われます。ルフィとの対決では人獣型も出てくるでしょうか。
・少年ヤマト
ドクロドーム屋上を目指す
ルフィは
サンジと
ジンベエのサポートを受けつつ、屋敷の塔を上っています。道中、百獣海賊団真打ちの
ブリスコラ、
ハムレット、
フォートリックスが立ちはだかりますが、いずれもジンベエとサンジに蹴散らされています。
ブリスコラは左手がゴリラになっているゴリラのSMILE、ハムレットはキリンの頭部に能力者の体が生えたキリンのSMILE、フォートリックスは鶏の総排泄口から顔を出したニワトリのSMILEで、いずれもサンジ達に
「生え方」がおかしいと突っ込まれています(笑)。なお、名前はいずれもトランプのゲームに由来しています。
994話
塔の地下1階(993話)と1階(994話)を同じパターンで消化したところですが、まさかこのパターンが屋上まで続くことはないでしょうね?w 1話ごとにルフィが1階ずつ上がるとすると、屋上は6階に相当するので999話でルフィが屋上に到着することになります。おそらく4、5階で中ボスクラスが登場してジンベエとサンジが離脱する形になるでしょうか。記念すべき1000話はルフィVSカイドウという演出になりそうです。
一方、ヤマトは「光月おでん」と名乗ったばかりに怪しまれて、守るべき
モモの助と
しのぶに逃げられています。屋敷を逃げ回っているしのぶとモモの助、それを追うヤマトの模様は
顔に張り紙を付けた黒猫に監視されており、その猫の視界を共有している様子の
バオファンによってその所在が
キングに伝えられています。黒猫が付けた張り紙はバオファンのそれと同じものです。
979話
バオファンは登場時からムササビのSMILEと判明していますので、この視界を共有していると思われる何らかの能力は別の誰かの能力である可能性が高いです。「黒猫」と「張り紙の図案」に共通するのは飛び六胞の
フーズ・フーとその配下の海賊団であり、今のところフーがその能力の候補者として有力です。張り紙に書かれた目のような図案はフーの胸のタトゥーにもあり、フーの取り巻きにはバオファンと同じ張り紙を顔に付けた人物がいました。また、フーの海賊団船員は皆、猫をモチーフにしたデザインになっており、今回登場した黒猫もゾオン系能力者の可能性があります。
981話
監視に優れた能力であることから、ドレークの裏切り行為を見破った「監視」(
990話)とは、この能力によるものだったのかもしれません。その場合、フーは「監視がいたんだ」(990話)としか言っていないため、ドレークのこの能力の詳細について知らないのかもしれません。
ともかく、モモの助の所在を掴んだキングは、光月家の跡取りであるモモの助の首を取れば、侍達の戦意を喪失させ、戦いの決着が早まると判断して、部下達にモモの助を殺すように命じます。モモの助らの前に最初に現れたのは飛び六胞の
ササキが率いた百獣海賊団の装甲部隊(甲虫類やサイ、ハリネズミ等のSMILEで構成された部隊)でした。
装甲部隊の攻撃から身を挺してモモの助を守った
しのぶは戦闘不能になり、
モモの助が狙われたところを
ヤマトが阻止します。ヤマトはカイドウの息子(娘)であることは明かさないまま、20年前、おでんの処刑を目撃して、しのぶの言葉に泣いたこと、おでんの生き様に泣いたこと、モモの助を助けるため、おでんの処刑後に九里に走ったものの、当時、力がなかったためにカイドウに落とされそうになるモモの助を見ていることしかできなかったこと(20年前、モモの助とヤマトは同い年)をモモの助と しのぶ に明かし、「光月おでん」ではなく「またの名を」と改めて「ヤマト」と名乗るのでした。
ヤマトが金棒を振りかぶって空振ると、衝撃波で中距離前方の装甲部隊の一人(ハリネズミ?のSMILE)が吹っ飛んでいます。どうやら、モモの助と しのぶ は誠意と圧倒的な力を見せたヤマトを信用した模様です。
994話
また、今回、おでんの処刑を目撃していた20年前のヤマト(8歳)が描かれています。これはおでんの処刑(971話)シーンでヤマトに似た着物を着ていた人物がヤマト本人であることを示しています。
体格がどう見ても一致していないわけですが(笑)。おそらく、971話時点で「ヤマト」として描いたのは確かなのでしょうが、キャラ設定(年齢や性別、デザインなど)はその後に練り直されたのだと思われます。
971話
ヤマトは光月おでんに憧れて男になったと宣言しており、おでんに憧れるきっかけは処刑の一部始終を観ていたことで、その後、九里で おでん の「航海日誌」を密かに手に入れたことでより尊敬を深めていったと考えられます(984話)。
しかし、処刑を見守るヤマトは既に男物の袴姿をしています。カイドウ自身もヤマトを息子として扱っており(「バカ息子」と呼んでいる)、ヤマトという男っぽい名前を付けていることから、ヤマトは元々男として育てられたのかもしれません。しかし、カイドウの息子(娘)であるヤマトがどうして野次馬と一緒に おでんの処刑を観ていたのかは謎です。おでんの処刑後に「九里へ走った」とも言っており、8歳のヤマトがどうやら単独行動しているんですよね・・・。