第999話「君がため醸みし待酒」

TOPICS
・エースとワノ国
・マムの貸し

・エースとワノ国
本話はエースとワノ国のつながりについて、ヤマトとマルコの回想で語られており、ルフィのワノ国来訪がエースの再来を待っていた者たちにとって運命的だったことを印象付けるエピソードとなっています。

前回、ヤマトはモモの助としのぶを連れて安全な場所とされるドーム内倉庫に身を隠しています。本話では倉庫の外観が描かれており、異様に古びており、扉が長い間封印されている様子です。ヤマトたちは一体どこから侵入したのかと疑問に思う一方で、ヤマトはこの倉庫を秘密の隠れ場所にすることが度々あったのかなと想像されます。



倉庫の中には昔、鬼ヶ島の正面にあったという龍の像がありました。カイドウの力の象徴とされていたこの像はエースがスペード海賊団船長の時、鬼ヶ島にやって来た際に破壊されたものと、カイドウは認識しているそうですが、実際はエースに挑発されたヤマトが父への反骨を示すために最初首を折っており、それに加えてエースが火拳を撃っていたのでした。

エースは編笠村の滞在中（912話）に、ワノ国がカイドウによって蹂躙されている状況を知ったようで、鬼ヶ島にはスペード海賊団の船員たちとともにカイドウの討伐と攫われたワノ国の人たちの救出に来たようです。この時、百獣海賊団は幹部を含めてほとんど遠征中で、島に残っていた主力はヤマトのみでした。ヤマトはカイドウに掛けられた手錠のせいで島から出られないだけで、島を守る義理はありませんが、島を攻めてきたエースと成り行きで戦闘することになった模様です。

両者の実力は拮抗していました。会話の中でエースはカイドウの娘（息子）であるヤマトの境遇を察し、龍の像の一件ではヤマトの背中を押したような形になっています。

その夜、島に残ったエースとヤマトは酒を交わし、すっかり打ち解けています。この時（4年近く前）、海賊のルーキーの話題になり、エースはキャベンディッシュ、キッド、ロー、ベッジの名前を挙げています。しかし、最も手強い者としてまだ出航していない弟のルフィを予言しています。エースは破壊した龍の像を「次に来る時までのカイドウへ警告」として、再来を誓うのでした。

その後、白ひげ海賊団に入り、2番隊隊長に就いたエースはそれまでにも何度もワノ国への進軍を白ひげに進言していたようです。その度に長い間欠番だった2番隊隊長の座にワノ国の侍の光月おでんがいたことを白ひげは話していたようです。しかし、白ひげ海賊団がおでんの死を知ったのは死後何年も後のことで、白ひげ海賊団がワノ国へ進軍すれば百獣海賊団との全面戦争になり白ひげ海賊団も無事では済まないことから、白ひげはワノ国進軍を拒否しています。また、エース一人で行くことも無謀であるため、許していません。そして、結局、白ひげ海賊団がワノ国に進軍することなく、頂上戦争でエースと白ひげが死亡しています。

エースがワノ国進軍を進言した際に（マルコがパイナップルを皮ごと食べている衝撃シーンは置いといて）、今回の討ち入りに参加したマルコとイゾウは、白ひげの許可が降りたら必ず誘ってくれと言っていた者たちでした。

本話ではエースの再訪を待っていたお玉が、ルフィはエースの弟であることを知らされ、一方で、モモの助はかつてワノ国を救おうとした海賊がいたこと、その海賊（エース）の弟がルフィであることを知らされています。おでんの航海日誌を所持しているヤマトは、ロジャーの息子であるエースがかつてワノ国を救おうとしたこと、死んだエースの代わりに、おでんの息子のモモの助が偶然出会ったエースの義弟であるルフィをワノ国に連れてきたこと、さらにルフィもDの一族であることは運命にしか思えないと感じているようです。

ヤマトがDについて言っているのは、ルフィがロジャーやエースと同じだというだけでなく、「ジョイボーイ」について おでんの航海日誌に詳しい事が書かれている可能性があります。そして、ヤマトはモモの助としのぶの前で服の中から おでんの航海日誌らしきものを取り出しています。ルフィのワノ国来訪が運命的であることが語られている本話の流れからすると、ここでジョイボーイの役割をルフィが担うことが明示されるのかもしれません。



・マムの貸し
ドクロドームの屋上ではカイドウとビッグ・マムが会話しています。ビッグ・マムは鬼ヶ島の行き先をカイドウに尋ねていますが、本音はカイドウが所有しているロードポーネグリフの在り処が気になっている様子です。カイドウとビッグ・マムの同盟の目的は”ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”を手に入れることですが、ビッグ・マムの思惑（992話）は一人勝ちするつもりだと思われます。カイドウはビッグ・マムの思惑を見抜いているようで、油断はしていない様子です。

また、ここではビッグ・マムが言うカイドウに対する大きな貸し（907話）というものが、カイドウの悪魔の実であることが明らかになっています。龍のゾオン系能力はウオウオの実の幻獣種だそうです。ゾオン系で「ウオ」って「魚」ですよね（WOW WARじゃないですよね…笑）？　龍なので、リュウリュウかヘビヘビが予想されるところですが、龍で魚はかなり無理があり、敢えて外しにいった感はあります。しかし、これには設定上の都合があるようです。

能力者がカナヅチになる悪魔の実の能力で「魚」のゾオン系能力は獣型が非常に残念な感じです。しかし、魚人族の能力者のように、魚のゾオン系能力者はカナヅチではあるものの、水の中で呼吸はできるものと推測されます。自殺が趣味と言われるカイドウ（795話）は通常の能力者であれば、いくら体が頑丈であっても溺死することができるはずですが、それでも死ぬことができないのであれば、魚のゾオン系能力のおかげなのでしょう。

また、ウオウオの実の幻獣種は、38年前、ロックス海賊団が滅びたゴッドバレー（957話）にて、ビッグ・マムがカイドウに渡したものだそうです。

現在跡形もない島、ゴッドバレーで起きた事件は、若き日の白ひげ、ビッグ・マム、カイドウが所属していた船長ロックス率いるロックス海賊団に対して、島に居合わせたガープとロジャーが戦闘し、結果としてロックス海賊団が滅び、島に居合わせた天竜人とその奴隷たちが守られたというもので、ゴッドバレーという島に一体何があったのかは世界政府のタブーとされており、不明です。

そして、どういうわけかここで「ウオウオの実の幻獣種」が出てきたわけです。ゴッドバレーに転がっていたというのでしょうか。一応、ワンピース世界の謎の一つに、悪魔の実の産地が残っているわけですけど、ゴッドバレーが発見されていた悪魔の実の産地の一つだったのではないかという気がしてきます。

ビッグ・マムとカイドウは海賊団に能力者を多数擁しており、悪魔の実あるいは能力者を積極的に集めている様子があるわけですけども、強欲なビッグ・マムが貴重な「ウオウオの実の幻獣種」をカイドウにくれてやる状況というのはなかなか想像できません。そこら中に悪魔の実が沢山転がっていた状況だったのでは？・・・

一方、カイドウとビッグ・マムがいる階下のライブフロアでは、マルコがゾロを運んで屋上に飛んでいます。クイーンの狙撃（口からキャノン砲が出ている）を受けますが、ロギア系能力のごとく、弾丸を受け流しています。不死鳥の能力はことごとく特殊です。そして空中ではプテラノドンの能力者であるキングが立ちはだかります。



また、マルコはロビンとブルックを城（屋敷の塔？）に走らせています。二人は自力で屋上まで駆け登れということでしょうか・。・