集英社から漫画の原画を最良の印刷技術でプリントした複製原画「マンガアート」の販売が開始されました。非常に退色や劣化が起きやすいマンガ原画を、高精度デジタルスキャン撮影し、耐光性の高いインク・保存性の高い用紙にプリントすることで最高品質のアート作品に仕上げているとのこと。
現在扱われている作品は『イノサン』(作:坂本眞一)、『ONE PIECE』(作:尾田栄一郎)、『ベルサイユのバラ』(作:池田理代子)の3作品です。
集英社マンガアートヘリテージ:
https://mangaart.jp/ja
印刷レーベルは、これまでの高級複製原画の上位版にあたる「
REAL COLOR COLLECTION」(原画原寸サイズとA1〜A2サイズに拡大プリントした2枚セット)、現在では非常に希少となった活版平台印刷機を使って現在考えうる最高の品質で活版印刷を行なった複製モノクロ原画の「
THE PRESS」(A2サイズに拡大印刷)、原作者のハンドペインティングを含む一点ものの「
THE ORIGINAL」の3つがあります。
「THE ORIGINAL」については、印刷技術によって再現できない手法が使われている原画に限ると見られるため、『ONE PIECE』からは「REAL COLOR COLLECTION」と「THE PRESS」のみの取り扱いになると思われます。「THE ORIGINAL」の取り扱いは現在ありませんが、『イノサン』で坂本眞一先生が血糊を使ったカラー原画が取り扱われる模様です。
価格は「REAL COLOR COLLECTION」のA1版セットが297,000円、A2版セットが198,000円、「THE PRESS」が495,000円。一点ものの「THE ORIGINAL」の価格帯はさらに高いと予想されます。これまで、価格数万円台の複製原画が”高級複製原画”と呼ばれていたのですけど、桁が一つ違いますね。
原画あたりの印刷枚数は5〜20枚に限定されており、販売は抽選販売とのことですが、商品数自体は多く、価格もとんでもないので、実際は抽選になるようには思えません。ちなみに、このマンガアート1点1点にはブロックチェーンが紐づけられ、所有者が登録されていますので、悪いことは出来ません。
今回のマンガアートの取り扱いは、マンガ原画を芸術作品として後世に遺すため、世界にその資産を発信する目的があるとのこと。原画は劣化しやすいということですから、この話を聞くと、割と頻繁に開催されるようになった漫画の展示会(特に海外開催のもの)は、今後はオリジナルの原画ではなく「マンガアート」が取り扱われていくことになるのかなと、思ったりもします。