水平社博物館リニューアル 小中学生向け刷新、「鬼滅」活用も 奈良
部落解放運動の先駆けとなった全国水平社発祥の地、奈良県御所市にある水平社博物館が3月3日、リニューアルオープンする。その内覧会が26日にあり、人気漫画を活用した展示が紹介された。
水平社は1922年、御所市柏原地区出身の西光万吉(さいこう・まんきち)らが中心となって創立。部落差別からの解放だけでなく、誰もが人として尊重される世の実現を訴えた。3月3日で創立から100年を迎える。
博物館ではリニューアルに合わせ、来館者の25%ほどを占める小中学生が関心を持ちやすいように工夫した。漫画「ワンピース」で差別を扱った場面を展示するほか、漫画「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」で登場人物が「人の想(おも)いこそが永遠であり、不滅なんだよ」と語り掛ける場面も使って水平社創立の理念と重ね合わせるなど、文献史料が中心だった展示内容を刷新した。駒井忠之館長(49)は「文字を詰め込むのではなく、より感覚的に人権を捉えてもらうことを重視した」と話す。
博物館は2階建てで98年5月にオープン。公益財団法人が行政の財政支援を受けずに運営し、水平社などに関する5万点以上の史料を所蔵する。累計の来館者は約35万人。リニューアルのため2021年11月から休館している。
(稲生陽/毎日新聞)