・ジェルマ66のあゝ無感情海遊記
短期集中表紙連載 第25弾。このシリーズでは、ホールケーキアイランド編の事件以降のジェルマの様子が描かれています。
Vol.9「プリンの町”ショコラタウン”に侵入者2名!!」
トットランド脱出の際にビッグ・マムと交戦して敗れ、モンドールのブクブクの実の能力により人間標本にされてしまった
ニジと
ヨンジは、オーブンに担がれてホールケーキアイランドに運ばれ、ブラウニーらに引き渡されています。どうやらジェルマの科学を暴く研究材料として解剖される様子でした。
本話では、ショコラタウンに2名の侵入者が現れています。下半身の後ろ姿がシルエットで描かれており、一人(左)はヒールの高い靴を履いています。さらに、マントを着用しているように見えることから、
レイジュと
イチジが弟達を奪還するため、早くもホールケーキアイランドに戻ってきた模様です。
話タイトルで丁寧に示されているように、ショコラタウンには
プリンが居ますから、プリンがニジとヨンジの奪還に協力する展開になることが予想されます。
・ズニーシャの予知力
本話では象主(
ズニーシャ)が、かつて仲間だった
ジョイボーイ(
1040話)に語りかけています。
ズニーシャ:懐かしいな…この鼓動(リズム)…ジョイボーイ
なァ…ジョイボーイ…まるでお前がそこにいる様だ……心が躍る…
”運命”を感じずにはいられない
彼に……期待せずにはいられないんだ………
これは
ルフィがゴムゴムの実こと
ヒトヒトの実 幻獣種 モデル ニカが覚醒したことにより、ニカの特異的な心臓音”
解放のドラム”を800年ぶり聞いたズニーシャの反応(下記
1043話)の補足的な内容になっています。
ズニーシャ:(懐かしいな)
モモの助:ズニーシャ 何がでござる!?
ズニーシャ:(”解放のドラム”が聞こえる 800年振りに聞く……!! 間違いない そこにいるぞ)
モモの助:誰がでござる!?
ズニーシャ:(ジョイボーイが…!! 帰って来た!!!)
最初の反応の時点で
ジョイボーイが過去にゴムゴムの実を覚醒したことが読み取れますが(
1043話考察)、
1044話で”解放のドラム”がニカの心臓音であることが明らかになったことを経て、今回は「まるでお前がそこにいる様だ」と言っていますから、確定的となりました。
曖昧なのは、ズニーシャが
何に対して”運命”を感じているのかという点です。
ジョイボーイがDの一族の関係者であるという憶測を踏まえて、これを素直に読み取れば、
ジョイボーイとして使命(Dの意志とやら)を果たすと期待されるDの一族のルフィ(彼)が、ジョイボーイと同じくゴムゴムの実の覚醒させたことに運命を感じているのだと考えられます。
しかし、
そもそもズニーシャは「モモの助…!!! お前の命令を待っている…!!」「お前と共に戦う為にやってきた!!」と言って、ワノ国近海に現れました(
1041話)。ズニーシャは
本来の使命を果たす時が来たことを予知してワノ国に現れたと考えられますが(
1040話考察)、では一体、
ズニーシャは何を根拠にそのようなことを感じ取ったのでしょうか。
モモの助と似た体質を持つ
光月おでん(817話)を伴ってラフテルに到達したロジャー海賊団には使命を担う素質が十分あったはずですが、当時、ズニーシャが行動を起こすはありませんでした。また、「彼(ルフィ)に……期待せずにはいられないんだ」と言っているように、ズニーシャにはルフィがジョイボーイの役割を担う人物になるか確信はないようです。
さらに、
モモの助とルフィらがゾウに滞在していた時ではなく、なぜ今なのかという疑問もあります。それも
ワノ国滞在期間のうち、討ち入りの日のルフィが覚醒(1043話)する直前の絶妙なタイミング(1040話)です。
これが偶々だとすると、あまりにも都合が良すぎます。
そこで考えられるが、
ズニーシャはルフィがゴムゴムの実を覚醒させることを予知していた
という可能性です。
”
解放のドラム”は『ワンパンマン』のキングのキングエンジンのように周囲に心臓音が聞こえるのだと思われますが、
ズニーシャはワノ国近海から鬼ヶ島にいるルフィの心臓音を聞き取っていることになります。それを耳で聞くというのは物理的には不可能なはずですから、ズニーシャは”
解放のドラム”を
極めて優れた見聞色の覇気で聞き取っているのだと思われます。
見聞色の覇気は鍛えると「
少し先の未来が見える」(860話)ことになるわけですが、ズニーシャは随分先の未来が見えているのかもしれません。それとも、
単純に近い未来を予知することが可能なのかもしれません。
そういえば、
海王類は伝説の人魚(しらほし)が10年後に生まれてくることを予知していました(
968話)。
いずれにせよ、ズニーシャはルフィがゴムゴムの実を覚醒させることを予知していたので、タイミングよくワノ国に現れ、
800年ぶりに”解放のドラム”を聞いたというのに、懐かしむばかりで特に驚いた様子が見られないのではないでしょうか。
・大水(たいすい)奉還
雷ぞうが福ロクジュとの因縁の忍者対決に勝利した直後、駆けつけた
ジンベエを見た時、次のように発言して、
決戦のために何か準備していた様子でした(
1041話)。
雷ぞう「おぬ"し ルフィ殿の……!! ハァ…ハァ い"…急がねば…!!! 不覚……”準備”はできておったのに"………!!」
マキマキの実の能力で何か隠し持っているのかと予想はしていたわけですが、それは
大量の海水でした。ゾウ滞在時に「ズニーシャの水浴び」から回収していたようです。
雷ぞうは20年前(タイムスリップした雷ぞうにとってはつい最近のこと)、おでん城が火に包まれ落ちたあの日、忍術を持っていながら何一つ守れなかったことを悔いており、そのような失態が二度とないようにと、貯水していたのでした。オロチと火前坊(カン十郎の怨念)により放たれた炎は、今やカイドウの屋敷中に燃え広がっており、雷ぞうの”準備”が見事に功を奏します。
雷ぞうが大量の海水を”
奉還”(巻物に取り込んだものを放出)し、ジンベエが”
海流一本背負い”で海水をコントロールするという連携プレイで消火を行い、火に囲まれて窮していた者たちが救われています。
・能力覚醒の条件
「稀に覚醒」すると言われる悪魔の実の能力(785話)。
ワノ国編ではキッド、ロー、ルフィの能力覚醒が確認されているわけですが、本話では
能力が覚醒する条件が
カイドウにより語られています。「覚醒」は能力者の「
心身が「能力」に追いついた時起きる」ものなのだとか。つまり、偶発的なものではないみたいです。
私は能力者じゃないので、「心身が「能力」に追いついた」という状態が
どういう状態なのか理解することは難しいのですが、能力の強さに胡座をかいていれば覚醒は程遠そうです。また、現状、自然(ロギア)系の覚醒能力者は確認されていないわけですが、この条件であると、ロギア系で覚醒するのは不可能なのではないかという気もしてきます。
また、この条件を語るカイドウの口ぶりから考えて、
カイドウもまた「覚醒」していると見て良さそうです。動物(ゾオン)系の覚醒能力者だとすると、「
異常なタフさと回復力」(544話)を持ち合わせていることになるわけですが、カイドウに関して、それはもう証明済みたいなものですね。
追記)
また、能力覚醒の条件を語り出す前に
カイドウは「
お前は…誰だ」という質問を突然、ルフィに投げかけています。
これについては、カイドウがルフィを倒した際(2度目)「お前も〝ジョイボーイ〟には……なれなかったか………!!」と発言していること(
1014話)、質問した次の合間のコマでズニーシャがジョイボーイに語りかけていることから、
ルフィがジョイボーイになる可能性がカイドウの頭によぎっていたと考えられます。
一方、質問に対してルフィが「ルフィ」だと回答した後にカイドウが「覚醒」の条件ついて語り出し、カイドウが
ルフィの変化について(ゾオン系なのかパラミシア系なのか不明だが)間違いなく能力の「覚醒」だと確信している様子から、チョッパーの例のような
ゾオン系能力の”暴走”という可能性もカイドウの頭によぎっていたと考えられます。
そうだとすると、
ゾオン系能力の”暴走”というものが「ゾオン系悪魔の実に宿る意思」に乗っ取られていると解釈できることになります。
そう考えると、新世界編では暴走せずに
怪物強化(モンスターポイント)を発動できる
チョッパーは、覚醒しているかどうかは定かではありませんが、
少なくとも「心身」の「心」が「能力」に追いついていると考えられます。結局のところ、ゾオン系悪魔の実の覚醒は見かけ上、分かりにくいんですよね。(追記終)
ところで、今回も相変わらずコミカルで自由な戦闘をしている
ギア5ルフィ。
本話最終ページでは
雷を手につかみ、ギリシャ神話のゼウスの様にそれを武器のように持っている姿を確認できます。ゴムなので、ルフィは感電しない、と。