週刊少年ジャンプ2022年18号（4月4日発売）に、TVアニメ「ワンピース」ワノ国編のキャラクターデザインおよび総作画監督を務める松田翠（みどり）さんのインタビューが掲載されています。


ワノ国編のメインビジュアルも松田さんの担当

ーTVアニメのキャラクターデザインとはどのようなお仕事ですか？

松田：アニメーターさんにキャラを動かしてもらうために、設定を作るお仕事です。アニメを1本作る上でたくさんのアニメーターさんに携わってもらうので、各キャラのビジュアルがブレないように、キャラクターデザインの設定に合わせて作業していただきます。

ーTVアニメ『ONE PIECE』のキャラクターデザインになった経緯を教えて下さい。

松田：私の場合、かなり運が良かったんです。初めて『ONE PIECE』のお仕事をさせていただいた時に（ブログ註釈：初めてキャラクターデザインを担当したのはアニメオリジナルエピソードの「海軍超新星編」（アニメ780〜782話）。同時に総作画監督も担当している）、『ONE PIECE』好きをアピールしました。その後『ONE PIECE エピソードオブ東の海〜ルフィと４人の仲間の大冒険!!〜』（ブログ註釈：総作画監督、ナミ編の作画監督を担当）が終わったあたりで、ワノ国編からのキャラクターデザインのお話をいただきました。監督を始め（ブログ註釈：ワノ国編のシリーズ監督を務めている長峯達也監督は「海軍超新星編」のシリーズ監督を務めていた）、スタッフの方々が私の『作品が好き！』という気持ちを汲んでくださったのが大きいと思っています。

ー松田さんが思う、キャラを描き起こす上で特に大切なことは？

松田：キャラクターデザインの実績自体は全然ないので、参考になるか分からないのですが…。各キャラのシルエット、フォルムの特徴、目の描き方、髪の毛の束感など「ひとつの作品としての統一感をアニメーターさんに伝えること」でしょうか。キャラの立体感、構造、服など、いかにアニメーターさんにわかりやすく、なるべく少ない枚数でまとめるか、を意識しています。

ーどうしたらキャラクターデザインというお仕事ができますか？

松田：私の場合は「原作が好き！」でこの世界に入ったので、まずキャラクターを視覚的に守りたいという想いがありました。それができるのが作画監督かキャラクターデザインです。アニメーションの世界に触れると「キャラクターを動かすのが楽しい！」や「演出したい！」など、様々な部分で製作の魅力に気付くと思います。ですので、キャラクターデザインをいきなり目指すという方は少ないのかなと思います。

ー長年登場するキャラをワノ国編用に作る時と、新キャラを作る時とでプレッシャーの違いはありますか？

松田：麦わらの一味はプレッシャーと不安しかなかったですね。新キャラはまず服や構造を理解しなければいけないので、原作を隅々まで見て研究します。この工程がとても楽しいです。それに尾田先生の細かい拘りや癖みたいなものに気付けると得をした気持ちになります(笑)。

ー原作がある作品のキャラクターデザインにおいて、特に意識していることはありますか？

松田：「原作の絵をいかにアニメに落としこむか」が大事だと思っています。原作が好きなファンの方に「誰？」と思われるのだけは避けたいです。絵や表情の作り方、感情の出し方で違和感が出るので気をつけなければいけないところです。私は原作至上主義なので、アレンジは加えたくありません！

ー尾田先生の絵柄で注目しているところはありますか？

松田：『ONE PIECE』のキャラは面白いフォルムをしたキャラクターが多いのでとにかく描いていて楽しいです。百獣海賊団の面々、特にカイドウや、最近だと霜月コウ三郎など描いてみたくなります。本当にそれぞれ神がかったデザインだと思います。

ーワノ国編では何人くらい描きましたか？

松田：数えていないので正確な数はわかりませんが、それこそワノ国に登場する比較的メインなキャラは作りました。もちろん作画監督の方にお願いするキャラもいるので、全てではないです！基本的に正面、後ろ、横、表情の正面、横、感情表現は入れるようにしています。

ー描いていて大変なキャラ、楽しいキャラは誰ですか？

松田：大変なのは女性キャラですね…。セクシーに、可愛く美しく描くのがとても難しいです。動かすというのは置いておいて、考えていて楽しいのはキッドの能力系です。ガラクタがくっついてイカしたデザインになってるのがかっこいいですし、尾田先生の原作絵から構造を考えるのはとても楽しいです。

ー総作画監督ではどのようなシーンを主に担当していますか？

松田：ゾロのところ全てです。めちゃくちゃ我儘を言っています…。他にはオープニングや、たまに話数パートの作画監督もやらせてもらってます。

ーTVアニメのキャラクターデザインという仕事に興味を持っている読者の方々にアドバイスを。

松田：1本のアニメを作る上で大事な部分はたくさんありますが、キャラクターデザインをやるならアニメーター（動画マン→原画マン→作画監督）を経験しておいた方が良いです。「動かせる人」になれたら怖いものはないのではないかと思います。キャラを似せるのが好きな方は作画監督。自分の絵柄をしっかり持っていたり、原作の再現性にこだわれたりする方はキャラクターデザインに向いているかもしれません。一度アニメーターの魅力を体験してほしいです！

原作の『ONE PIECE』が好きで、原作キャラクターを視覚的に守りたいという想いでアニメーションの業界に入った人が、現にアニメ「ワンピース」のキャラクターデザインと総作画監督を務めているという・・・原作ファンにとって、これほど信用の置けることはないですね。

インタビューからもこぼれ落ちていますが、松田さんはどうやらゾロが大好きなようで、コロナ渦の巣篭もりでONE PIECE公式が展開したキャンペーン「#いまはうちで」（2020年）でも、LINEスタンプONE PIECEコラボ（2020年）でもゾロを描いています。

TVアニメ「ワノ国編」のキャラクターデザインをつとめる松田翠さんからイラストが到着〜！！#いまはうちで 「閻魔のお手入れ中」

明日朝のアニメ最新話
「囚人の絆 ルフィとヒョウじい！」も見てね〜！！#stayhome pic.twitter.com/d06ycke3it

— ONE PIECE スタッフ【公式】/ Official (@Eiichiro_Staff) April 18, 2020

ゾロがいっぱいゾロゾロスタンプ
https://store.line.me/stickershop/product/12657574/ja

海賊王と大剣豪スタンプ
https://store.line.me/stickershop/product/14324080/ja

／
松田翠さんより
描き下ろしイラスト到着！
＼#トレクル7周年 を記念して、
アニメ #ONEPIECE
キャラクターデザイン
松田翠さんに#ルフィ #ロー #キッド の
イラストを特別に
描き下ろしていただきました！ pic.twitter.com/dftOGgHqpJ

— ONE PIECE トレクル【公式】 (@ONEPIECE_trecru) May 12, 2021

アニメ「ワンピース」ワノ国編 神回（#982）を振り返る 【＃麦わらスペース】
【映画】 『FILM Z』の表現力を支えた東映アニメのCG技術 【Z】
【映画】 長峯監督「『千巻』に載っていないゼットの裏設定は実はもっとたくさんある」 【Z】