・緑牛の能力
前回、ワノ国に上陸した海軍大将・
緑牛(アラマキ)は兎丼の元囚人採掘場に単身乗り込み、投獄(?)されていた百獣海賊団残党と交戦して、これを制圧。続いて
ルフィを捕らえるため花の都に近づいていたところでしたが、何らかの脅威(緑牛)の接近に気づいた
光月家の侍達と
モモの助、
ヤマトが宴に興じているルフィ達には知らせず、応戦しています。
本話では、緑牛の能力が
自然(ロギア)系悪魔の実「モリモリの実」の森人間だと判明しています。
パラミシア系ではなくロギア系という点が、考えていなかったわけではないですが、意外でした。
これまで明らかになっているロギア系と比べて、
ロギア系っぽくない点は、以下の2点です。
1)能力のモチーフが不定形な物体ではないこと
2)出現させた物体を遠隔操作(?)していること
35巻SBSに記載されているロギア系の簡単な分類定義は「(能力者の)
体そのものが他の物質に変化」するということですから、1)はこの定義には反してはいません。しかし、体を植物に変化させて通常の物理ダメージが無効だとすると、確かに植物に痛覚は無いでしょうけど、しっくりこない感じはあります。
ただし、
ロギア系能力においてはスナスナの実が水を弱点としていたり、モクモクの実とメラメラの実が互いに有効ではないように、
変化する物質の特性が弱点になる場合があります。
モリモリの実は変化する物質が植物で、言わば生物ですから、乾燥や炎、凍結、塩などが弱点なのかもしれません。それを踏まえると(そうだとすると弱点多いな…)、
後述のマリージョアの戦いにおいて緑牛のモリモリの能力はサボのメラメラの能力に対して分が悪かったと予想されます。
逆に、ピカピカの実のビームを浴びると光合成して回復やパワーアップするとかあります?w
革命軍の事件があった際に、黄猿がマリージョアに居合わせなかったのは、もしかして……と、割と半信半疑です(笑)。
一方、2)はロギア系能力だとすると解釈は難しいです。
ロギア系能力では「体そのもの」を「他の物質に変化」させて、それを射出したり、拡張したり、その物質の特性で周囲に影響を与えたりと、能力者の体を変化させる以上の範疇の応用が色々とあるわけですが、遠隔でその物質を操作するのはロギア系能力の範疇を超えているように思えて仕方ありません。
そもそも緑牛は生やした植物を遠隔操作しているのか定かではないのですが、例えば、足の裏から植物が伸びていて、地中で全部繋がっているのであれば、遠隔操作ではないわけですが、それだと緑牛は文字通り根が生えて身動きが取れません。
マグマグの実の能力で例えると、射出したマグマを着弾後に遠隔操作できるかと言うと、おそらくそれは不可能です。
ただし、
赤犬と青雉の決戦の影響でパンクハザードの環境が持続的に変わってしまったように、ロギア系能力の周囲への影響が持続する場合があります。マグマグの実から出現した溶岩は本来であれば冷えて固まり、ヒエヒエの実から出現した氷は溶けてなくなるはずですが、そうはならず、そのまま残っているわけです(そうじゃないと説明がつきません)。
同様に、モリモリの実の能力で出現した植物が持続するというのは分かり易い話です。
前回、緑化した兎丼では森がそのまま残ることになるわけです。
そして、この周囲への影響の持続は
ロギア系能力の覚醒能力ではないかと予想します。
現時点で、ロギア系能力の覚醒については不明で、そもそも存在するかも不明ですが、仮に存在する場合、海軍最高戦力のロギア系能力者たちが覚醒しているというのは十分あり得る話です。
また、モリモリの実の能力の影響が持続するのであれば、植物はただそこに生えているだけではなく、
「成長」することも考えられます。緑牛は
植物の成長を事前にコントロールして、間接的に遠隔操作しているように振る舞っているのかもしれません。
また、本話では緑牛(アラマキ)の立場・主張が明確になっています。
緑牛はサカズキを信奉していることから(
1053話)、当然と言えば当然ですが、海軍大将の中で最も体制派で、かつ冷酷で、体制的な考えから差別を容認している様子です。藤虎(イッショウ)と違って、緑牛は明確な敵ですね。
この世の神は”天竜人”!!
世界政府に加盟してねェ この国にゃあ!! ねェんだよ!!
人権がよォ!!!
教えとく!! 人類は”下”を作って生きてきた!!
お前ら非加盟国を見下す事で!! 皆生きていけんのよ!!!
”差別”とは安堵だ!!!
この国で何人死のうが法にゃ触れねェ!!
らははは 止めてみろ
おれァ何千人殺そうとも!! ”麦わらのルフィ”に到達すんぞ!!!
私:お前にはねェのかよ!! 人徳がよォ!!!
〝禁憎森々(きんにくもりもり)〟
これは全身を植物化かつ巨大化する技のようです。
他に「夢がモリモリ」とか「てんこモリモリ」とか、ありそうですw
・赤髪海賊団
ワノ国近海に赤髪海賊団が現れています。
シャンクスはルフィの最新の手配書の姿(ニカ)を見て
「これが………」と思い、嬉しそうな様子でゴムゴムの実を政府の船から奪取したこと(
1018話)、ルフィと過ごした日々を回想しています。そして、ルフィを守るために腕を失った時のことも回想し、その左肩を押さえて、何か噛み締めている様子です。
この様子からシャンクスは少なくとも
ゴムゴムの実の真価(ヒトヒトの実モデル・ニカ)を知っていた上でゴムゴムの実を奪取したことになります。ルフィがゴムゴムの実の能力者になったのは、シャンクスが意図したことだったのか定かではありませんが、奪ったゴムゴムの実を携えて、ドラゴンの息子でDの一族である逸材のルフィに接触したのは偶然ではないように思えてきます。
ともかく、ルフィを助けるために片腕を賭けた甲斐があったわけでして、シャンクスの心理としては、ルフィの成長ぶりを親心のように素直に喜んでいるのだと思われます。
ラッキー・ルーなど、ルフィを知る赤髪海賊団の面々はルフィは今や立派な海賊だとして、上陸してルフィと再会することを期待しますが、
シャンクスはルフィと会う気はないそうです。
シャンクスが言うには、ルフィの子分だと名乗るバルトなんとか(
バルトロメオ、バルトクラブ)が、赤髪海賊団のナワバリに掲げている海賊旗を燃やして、ルフィの海賊旗に変える事件が起きていて「そのケジメはどうする」とのこと。
あ〜、確かに燃やしてましたわw
(扉絵連載『押し掛け麦わら大船団物語』vol.9-10、873話・875話)
しかし、そうだとすると、シャンクスは何のためにワノ国にやって来たのか。事件から7日経過しているので、シャンクスは新聞で事件を知ってから駆けつけたと思われますが、今のところ、上陸しようとする気配もありません。
そして、
シャンクスは副船長の
ベン・ベックマンにこう告げるのでした。
なァ ベック
そろそろ奪りに行こうか
〝ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)〟
ロジャー海賊団の見習いだったシャンクスは、高熱を出したバギーの看病のために、最後の島=ラフテルへの航海には同行していません。そして、この時シャンクスは「
行くんだったら おれ達はいつか自分の船で行くよ」と発言していました(
967話)。
当時、ロジャー海賊団は4つのロード・ポーネグリフからラフテルの場所を突き止めているので、シャンクスはラフテルの地理的な位置はおそらく知っています(逆に知らないとすると、「そろそろ奪りに行こうか」とは言えないはずです)。しかし、ラフテルはロジャー海賊団が到達するまで、800年間、誰も到達したことがないという話ですから、偶然漂着するような島ではなく、そもそも目視で簡単に見つかる島でもなく、その航路に何か仕掛けがあると考えられます。
そして安直ですが、
その鍵は古代文字を読める人間もしくは光月家の当主なのかもしれません。もしそうであれば、シャンクスは
モモの助を連れ出すつもりでワノ国にやって来たと考えられます。ロビンがCP0ではなくて、シャンクスに連れ去られたら、それはそれで予想外で面白い展開ですけども。
また、シャンクスがこのタイミングでワンピースを奪りに行くのは、ルフィがゴムゴムの実を覚醒させたことと間違いなく関係があるはずです。ワンピースは誰かが見つけると「
世界はひっくり返る」ものであり(576話)、それにはロジャー海賊団がラフテルに到達した当時では20年ほど「
早すぎ」ました(
968話)。
ロジャー海賊団が「早すぎた」というのは伝説の人魚=しらほし(とさらに、もう一人の王=何かは不明だが、おそらくジョイボーイ)がまだ生まれる10年前だったことが理由です(
968話)。伝説の人魚というのは古代兵器ポセイドンであるわけでして、白ひげの発言(576話)も含め、これまでの多数の伏線から、今、
ワンピースが見つかった後に起こる出来事は次のような事だと予想されます。
1)ワンピースが見つかる
↓
2)世界政府が隠蔽した世界の真実が明らかになる(ビッグニュース!)
↓
3)巨大な戦い(反体制派VS世界政府)が勃発
↓
4)ジョイボーイが古代兵器を導き使命が果たされる
ジョイボーイだと思われるルフィがキーマンとなるのは3)と4)なので、この流れで見れば、
ルフィがワンピースを見つける必要性は特にありません。そもそもワンピースを見つけた奴が「海賊王」だなんてナンセンスですし(ぇ、シャンクスがワンピースを見つけてくれるのであれば、最終章の時短になります。
しかし、ルフィに2)3)4)は見えていませんから、シャンクスにワンピースを奪られるわけにはいきません。したがって、シャンクスとルフィが争うのは
ワンピース争奪戦ということになるのでしょうか。だとすると、四皇になった
バギーもこれに参戦し、漁夫の利を
黒ひげが狙う様相でしょうか。
ともかく、シャンクスの行動は世界政府への敵対行為なので、
五老星と謁見したシャンクス(
907話)
が世界政府側の人間だと見るのはやはり誤りでしょう。
・炎帝様
本話では世界会議(レヴェリー)で起きた3つの重大事件(
956話)が明かされてます。
この3つの重大事件とは、”新聞王(ビッグニュース)”こと世界経済新聞社社長のモルガンズが一面記事をどれにするか思案した3つの事柄「
議決結果」「
死者」「
殺人未遂」です。
「議決結果」が「王下七武海制度の撤廃」であることは明らかだったものの、「死者」と「殺人未遂」については詳細不明。ただし、
サボと
アラバスタ王国が事件に関わっていることが窺え、「死者」=サボと読み取れるような描写がされていました(
956話)。
このことから、
「死者」=サボ
「殺人未遂」=アラバスタ王国の要人(コブラ王またはビビ)
と読み取れますが、死者=サボは明らかにミスリードを誘うような臭いがするため、
「死者」=世界政府がコブラを暗殺
「殺人未遂」=サボが天竜人の殺人未遂の罪で海軍に捕まった
と、私は予想していました(
956話)。
しかし、実際に新聞で報じられた事件の内容は
「死者」=サボがコブラを殺害、ビビは失踪
「殺人未遂」=チャルロス聖が襲われた(犯人は?)
というものだったようです。
サボを知る者たちはサボが正義のために殺人をするはずが無いと新聞を読んで泣いていたわけです(
956話)。これをストレートに看破できた人はいないと思います。
しかし、
サボによるコブラ殺害は海軍の誤認だと考えられます。
海軍犯罪捜査局 局長の
黒馬(読み:くろウマ、本名:テンセイ)は、ネフェルタリ家が世界政府を作った最初の20人の家系(
907話)で、そのうち唯一の「世界会議」参加者であるコブラを殺害したことは革命軍に大きな意味があったと考察していますが、これは結果論で、クロコダイルが失脚した今のアラバスタ王国ではネフェルタリ家の支持は高く、名君であるコブラを殺害すれば、悪い噂が流れて革命軍にとって逆風になっていた可能性は高いです。それに、新聞を読んで革命軍本部が動揺していたようにコブラ殺害は革命軍の作戦予定になかったはずです。
マリージョアに潜入した革命軍の作戦目標は天竜人の奴隷された
バーソロミュー・くまの解放であり(
908話)、天竜人の居住区”神々の地”にて世界貴族のシンボル”天駆ける竜の蹄”を破壊して”宣戦布告”し、居合わせた海軍大将の2人、緑牛と藤虎と交戦しますが、作戦は成功し、くまを奪還して誰も捕まらずに逃げています。
そして、
コブラ殺害が起きたのは革命軍の宣戦布告から数時間後という話です。
戦いがどれだけ続いていたのかは定かではありませんが、総力戦ではないので、戦いが長時間に及んだとは考えにくいです。目標を達成して速やかに逃げたはずの革命軍もしくはサボがコブラを殺害したというのは、やはり不自然です。
そして、
コブラ殺害と同時にビビが失踪しています。
コブラを殺害するなら、同じ家系のビビも殺害しておかしくないですが、ビビは革命軍に連れ去られたとでも言うのでしょうか。連れ去ったのであれば、革命軍から何らかの声明があるはずですが、今もビビの行方は不明のままです。
このような点から、サボによるコブラ殺害は信じがたく、やはり
コブラ殺害の黒幕は世界政府だと考えられます(
956話考察)。コブラが「
歴史より消すべき”灯”」(
908話)になってしまったわけです。サボは運悪くコブラ殺害の現場に居合わせてしまい、事件に巻き込まれたのではないでしょうか。
また、908話では世界政府の影の支配者
イムがビビの写真を見ていたこともあり(一方、ルフィとティーチの手配書は切り刻まれ、しらほしの写真には剣が突き刺さっていた)、
ビビ失踪も世界政府が関与している可能性が高いです。
私は
イムが”最初の20人”の王の一人で、800年前から生きている不老不死の類だと予想しているのですが(
908話考察)、肉体を乗り換えている類の不老不死であれば、ビビがイムのもとに連れ去られたとなると、
ビビがイムの器になってしまうという展開も見えてきます。しかし、そうだとすると、過去に要人の失踪事件は何度も起きていたはずで、どうしてビビに決まったのか謎でもあります。コブラが「
歴史より消すべき”灯”」として暗殺されたのであれば、ビビもその対象になるのが自然でしょう。だとすると、ビビはもう・・・・。
ビビ失踪の犯人が世界政府でない場合、
事件に巻き込まれたサボがビビに危険が及んでいることを察知して革命軍でビビを保護しているという可能性もなきにしもあらずです。その場合、ビビがサボの潔白を証明してくれることでしょう。革命軍としては、世界政府が加盟国の国王を暗殺した事実を明かす方が、世界政府の信用を落とすのに有効なわけですから。
事件の真相は謎ですが、加盟国の国王を殺害したということで結果的に、革命軍を支持する反体制派組織に対する
サボの求心力が高まり、その人気は革命軍総司令官
ドラゴン(異名は
反逆竜)を凌ぎ、そういった連中にサボは「
炎帝」と呼ばれて信奉されるまでに至っています(
1053話でもサボの写真を掲げた街の様子が確認できる)。サボの義弟であるルフィが四皇入りしたことも追い風になっています。
革命軍への追い風はかつてないもので、
世界会議閉会後の国王の帰還を狙った革命が8ヵ国で同時に発生した模様です。これは「
8か国革命」と呼ばれているようで、黒馬の口ぶりからは、
いずれの革命も成功したと読み取れます。
おそらく海軍は革命が起きたこれらの国々に派兵しており、革命軍が蒔いた革命の火種はその他の国々にもあるわけでして、どうりで海軍はワノ国に派兵する戦力が残っていないわけです(
1053話)。
「
チャルロス聖殺人未遂」については犯人は不明で、今や天竜人の異分子である
ミョスガルド聖が犯人を逃したという話です。この件は神々の地で審議中で、「
神の騎士団」が介入してきてややこしいことになっているとのこと。
「神の騎士団」がどういったものなのかは現時点で不明です。ドフラミンゴの件や今回の革命軍との戦いで海軍大将が応戦していることを踏まえると、まだ登場していない天竜人の戦力とは考えにくいのですけども。
チャルロスはしらほしの件でミョスガルドに恨みを持っているので(
907・908話)、この事件はチャルロスの虚偽という可能性もありますが、犯人が世界政府に宣戦布告した革命軍のメンバーだとするとあまりにも単純すぎます。犯人の有力候補は革命軍と同じく くま の奪還を狙っていた
ボニーでしょうか。くまを奴隷化していたチャルロス親子に怒りを露わにしていました(
908話)。
一方、世界会議で起きた3つの重大事件を受けた
黒ひげの反応は以下のようなものでした(
956話)。
おい野郎共 船出すぞ!!
海軍に取られるぐれェなら おれが貰っちまおう!!!
現時点では「殺人未遂」と「死亡」記事のいずれも、この発言につながるとは考えにくく、「議決結果」=
王下七武海制度の撤廃を受けての発言だと考えられます。海軍は元王下七武海を逮捕するために派兵をしており、それに対して黒ひげが「海軍に取られるぐれェなら おれが貰っちまおう」と言うのは
能力者狩りまたは
元王下七武海を配下に入れることだろうと推察されます。
元王下七武海の
バギーは既に四皇入りしているので、ここで思案する必要はありません。
ハンコックは黒ひげ海賊団の配下に降るとは考えにくいので、能力者狩りの対象となり、命の危険があります。
ミホークは能力者ではないですし、一匹狼なので、やはり黒ひげ海賊団の配下に降るとは考えにくいです。ただし、ミホークの場合は、海軍に逮捕されれば
黒刀「夜」が海軍に押収されるので、黒ひげが狙っているのが「夜」であれば、「海軍に取られるぐれェなら おれが貰っちまおう」という表現に一番しっくりハマります。
そして、黒ひげ海賊団の配下に降る可能性が最も高いのは
ウィーブルのように思えます。頭が悪いので、黒ひげに簡単に騙されそうです。
一方、希望としては、
ミホークが赤髪海賊団に入ることを期待します。ハンコックは王下七武海のしがらみが無くなったことで、もはや完全にルフィの味方なわけでして、
バギー → バギー
ハンコック → 麦わら
ミホーク → 赤髪
ウィーブル → 黒ひげ
このように、
元王下七武海がそれぞれ現四皇のもとに収まる形になるのかもしれません。
章またぎのエピソードはやっぱり情報がてんこ盛りですね。
他にも考察できることがありそうですが、ひとまずこのぐらいにして〆