・ジェルマ66のあゝ無感情海遊記
短期集中表紙連載 第25弾。このシリーズでは、ホールケーキアイランド編の事件以降のジェルマの様子が描かれています。
Vol.18「シーザーの幻覚ガス!!」
<これまでのあらすじ>
トットランド脱出の際にビッグ・マムと交戦して敗れ、モンドールのブクブクの実の能力により人間標本にされてしまった
ニジと
ヨンジは、オーブンに担がれてホールケーキアイランドに運ばれ、ブラウニーらに引き渡されています。どうやらジェルマの科学を暴く研究材料として解剖される様子でした。
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一方、ショコラタウンに2名の侵入者が出現。弟達を奪還するため、
レイジュと
イチジが早くもホールケーキアイランドに戻ってきた模様です。ジェルマの侵入を察知したブリュレはクラッカーにその事を伝えています。
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ところが、人間標本のまま解剖されようとしていたニジとヨンジが、人間標本の
謎の発火により、ブクブクの実の能力から解放されています。
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謎の発火後、ショコラタウンに居たはず?のイチジとレイジュが押し入って現場を制圧。ジェルマ4人は現場を立ち去っていく。 その様子を物陰から見る
シーザー(逃げ損ねたらしい)。
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ジェルマ4人の前に
カタクリと
オーブンが現れ、戦闘。シーザーはこの戦闘に割り込んで、毒ガス攻撃を仕掛け、ジェルマに脱出の助力を懇願。
今回、シーザーの「幻覚ガス」がカタクリとオーブンに効いて、二人が味方同士で殴り合っています。そんなものがあったのなら、サンジ奪還作戦で使えたろうに。ともかく、シーザーはジェルマと共に脱出できそうな様子です。
・ヤマトとマルコ
少し時間を遡ってワノ国・花の都から緑牛が去った後のルフィ達の様子。ここで
ヤマトはルフィ達に自身の今後について話していました。
ヤマトは
モモの助に対してルフィの船に乗らずワノ国に残る理由を「ワノ国の漫遊」から始めたいからと説明していましたが(
1057話)、これはプライドが高いモモの助に対する配慮らしく、実際は、やはり緑牛のような脅威に今後ワノ国が晒される可能性がある中で、モモの助達だけでワノ国を守ることができるかは不安だったようです。
一方、
ルフィはヤマトの仲間入りの申し出を断るつもりはなかった様子ですが、ヤマトの考えには同意しており、ヤマトが残ってくれれば安心だと言っています。この辺りは出航の際(
1057話)のルフィのヤマトに対する発言(「海賊やりたくなったら いつでも迎えに来る」「頼むぞヤマト」)から概ね予想通りの内容でした。
なお、花の都にいて、緑牛を威嚇した覇気の主(シャンクス)が誰か分かっていたのは緑牛のほかに
マルコだけだったようです。マルコはこの時にルフィ達と別れて、赤髪海賊団の船に乗せてもらい、スフィンクス近海まで送ってもらったようです。ルフィはマルコが頂上戦争の際に意識を失った自分を助けてくれたことを聞いて知っていたらしく、マルコとの別れ際にその時のお礼を言っています。
・アマゾンリリーの事件
世界会議で起きた3つの重大事件を受けた
ティーチの反応(
956話「おい野郎共 船出すぞ!!海軍に取られるぐれェなら おれが貰っちまおう!!!」)から、
能力者狩りまたは
元王下七武海を配下に入れる動きが予想されていました(
1054話考察)。
この時の私の予想は現四皇の配下に元王下七武海がそれぞれ加入するというもので、次のように予想していました。つまり、黒ひげはウィーブルのもとに向かったと予想していました。
バギー → バギー
ハンコック → 麦わら
ミホーク → 赤髪
ウィーブル → 黒ひげ
実際は
ミホークはクロコダイルと共にクロス・ギルドを設立して見かけ上はバギーの配下に入り(
1058話)、赤髪海賊団には誰も加入していない様子です。残りはハンコックとウィーブルで、
黒ひげはどちらを狙っていたのかというと、実はハンコックでした。
ただし、アマゾンリリーにやって来たことを確認できる黒ひげ海賊団の船長格は
ティーチと
カタリーナ・デボン、
バスコ・ショットの3人だけなので、分隊がウィーブルのもとに向かった可能性はあります。というか、ここでウィーブルが孤立してしまったら、ウィーブルが何のために登場したのか分からなくなってきます(笑)。
ところで、無風地帯であり海王類が群生する”凪の帯(カームベルト)”にある「女ヶ島」には通常の船では渡れないわけでして、海軍は船底に海楼石を張ったパドルシップによってカームベルトを渡っています。「女ヶ島」に現れた黒ひげの船にはパドルが確認できるので、船底には海楼石が施されているのだろう思われます。
ティーチの懸賞金は世界会議(レヴェリー)会期後に明らかになった22億4760万ベリー(
957話)から短期間の間にどういうわけか
39億9600万ベリーに跳ね上がっています。ティーチ自体が何か事件を起こしたために金額が上がったとすると、
アジトの海賊島「ハチノス」から船を出して(956話)、アマゾンリリーに到着するまでに起きた出来事になりますから、少なくともティーチが起こした事件によって上がったとは考えにくく、他の要因で上方修正されたものと思われます。他の要因には制作面のミスも含みます(汗)。
一方、王下七武海制度の撤廃により賞金首に戻ったハンコックにかけられた懸賞金は
16億5900万ベリーでした。
狙っているハンコックについて、カタリーナ・デボンが「あんな美しい顔……首を狩って宝物にしたいわ」とサイコな発言をすると、ティーチは「構わねェ ”能力”さえいただけりゃあな」と返答しており、ハンコックを仲間に取り入れるわけではなく、
ハンコックを殺してメロメロの実の能力を奪うために来た様子です。
ハンコックはアマゾンリリーに侵入して来た海軍および黒ひげ海賊団に対して”虜の矢(スレイブアロー)”を放ち、そのほとんどを石化しますが、ティーチに捕まり、ヤミヤミの実の能力によりメロメロの実の能力を無力化されてしまいます。しかし、
ティーチもハンコックから手を離せば、自身がたちまちに石化されてしまう状況です。
その状況でティーチは次のように発言しています。
参ったぜ ウチのバカ共みんな石になっちまいやがった!!!
お前の”能力” 手に入れたかったんだがなァ!!!
この発言は2つの意味で受け取れます。
1)ハンコックを殺しても、メロメロの能力の奪う担い手がいない
2)ハンコックを殺して能力を奪った場合、石化している船員が元に戻る保証がない
黒ひげ海賊団による”能力者狩り”について、1)は次の能力の担い手が能力を直接奪う方法しかないことが前提、2)は悪魔の実のように一旦触媒を介して能力を奪う方法(技術的には可能)を知っていることが前提となります。一応、ティーチが3つ目の能力を取得可能な場合も2)は成立します。
このティーチの発言に対してハンコックは次のように返答しており、
ティーチの発言意図は2)だったと読み取れます。
この能力はわらわの美しさあってこそ!!
わらわを殺せば部下共は石のまま!!
次の能力者には解除できぬ!!
このハンコックの発言ははったりなのか事実かは定かではありません。
劇場版『ONE PIECE FILM RED』のウタが自身の死後の能力による現象について、なぜか知っていたわけですが、能力者本人には感覚的にそういうことが分かるものなのでしょうか。
ハンコックを殺せば石になった船員たちは元に戻らないと知ったティーチですが、ハンコックから手を離せば能力によって自身も石化してしまうことを恐れたティーチは「
困った…やはり殺すか」と言って、しぶしぶハンコックを殺そうとします。が、その窮地に
レイリーが登場し、ハンコックが石化を解いたら黒ひげ海賊団と海軍は撤退することを条件に手打ちとして、アマゾンリリーの事件は終結しました。
黒ひげ海賊団の誰がメロメロの実の能力者になる予定だったのかは分かりませんが、非能力者のバージェスや能力者か不明のバスコ・ショットなど、ティーチも含めて誰がなっても面白かったことでしょう(笑)。
ハンコックが使うよりも能力は弱体化しそうですがw
・セラフィム
海軍はハンコック拿捕には試験的に新型パシフィスタ「
セラフィム」を前線に導入してます。
この新兵器は無茶苦茶に強く、
単体で海軍本部中将クラスの戦力は軽く上回っている様子です。位置付けとしては単体で王下七武海に相当しそうです。王下七武海制度の撤廃後、撤廃推進派だったイッショウが「
後は「SSG」を信じやしょうや」(
957話)と言っていたのは、「セラフィム」の実戦投入がSSG(海軍特殊科学班)から既に提案されていたことが窺えます(
追記:905話では、レヴェリー前にベガパンクのところへ赴いたらしいイッショウは、「すげェモンが完成してやした」という感想を述べ、王下七武海はもう要らないと発言している)。均衡が崩れた最終章において、世界政府側の戦力は手薄に感じていましたが、「セラフィム」が量産された場合、相当な戦力になりそうです。
人造人間兵器の旧型パシフィスタの見た目はバーソロミュー・くまをモデルにしていましたが、「セラフィム」の背格好は子供で、今回投入された2体のタイプは
男の子タイプと
女の子タイプがあり、そして、その見た目は・・・
「セラフィム」女の子タイプ
・・・ハンコック型?
「セラフィム」男の子タイプ
・・・ミホーク型?
「セラフィム」というのは天使の位階の最高位の名前らしいのですが、新型パシフィスタの見た目は白い髪に褐色の肌、黒い翼、発火する体ということで、
ルナーリア族をベースにしたモデルとなっています。ルナーリア族のデータや血統因子は、
キング(アルベル)がパンクハザードの実験体として捕らえられていた際(
1035話)に入手され、新型パシフィスタに応用されたのでしょう。
さらに、その見た目は
女の子タイプは一目瞭然でハンコックを模しており、
男の子タイプは武装した剣の形や山を真っ二つにした剣技、目の形などからミホークを模していると思われます。旧王下七武海の幼少期のイラストはコミックス63巻のSBSにて描かれていますが、そこで描かれたミホークと今回登場した男の子タイプのセラフィムの顔は割と似ています。
SSGが王下七武海からデータや血統因子を採取するチャンスは何かとあったのでしょう。王下七武海に取って代わる
セラフィムが王下七武海のビジュアルまで模しているのは、おそらくベガパンクの変なこだわりの表れだと思われます。
他の人にとっては取るに足りない
ベガパンクの美学というのは、これまでに、カイドウから抽出した血統因子により作成した、”色”を除いて完璧と思われる人工悪魔の実を「失敗作」と呼んでいたこと(685話)、カイドウがパンクハザードから買い取った人工古代巨人族である百獣海賊団ナンバーズも、やはり「失敗作」(989話)とされていたことなどから窺えます(
1007話考察)。
ミホークとハンコックの型があるとなると、他にもジンベエ型やドフラミンゴ型などがあるのかもしれません。強い人間のデータを取って、人造人間にするというのは
まるで『ドラゴンボール』の人造人間編のようです。最後には、
パシフィスタ化したバーソロミュー・くまが「セラフィム」達を吸収して完全体になるのやもしれませんw
パシフィスタ化した くま とベガパンクの間に取り交わされた取引の詳細は未だ明らかになっていないんですよね。
・コビー大佐の一件
アマゾンリリーから撤退した海軍と黒ひげ海賊団。実はこのタイミングでも事件が起きていたようで、
黒ひげ海賊団によって
コビーが拉致されたそうです。黒ひげ海賊団はなぜコビーを拉致するのでしょう?
先ほどのアマゾンリリーの事件ではティーチがコビーに話しかけていました。
ラチ明かねェなァ ”英雄”コビー!!
「ロッキーポート事件」じゃ世話になったな
お前のお陰でおれァ”王直”を倒し!! 海賊島のボスになれた!!
「ロッキーポート事件」は
ローが事件の「首謀者」とされ(700話)、
コビーは事件で「市民を守った英雄」(
903話)とされていますが、事件の詳細は未だ不明です。
そして、この事件には
ティーチも関わっていたようで、成り行きで、元ロックス海賊団で名を上げた海賊の一人「
王直(おうちょく)」をティーチが倒したようです。その名声のお陰か、王直が当時の海賊島のボスだったのか分かりませんが、結果的にティーチは海賊島のボスになったわけです。
海軍本部機密特殊部隊「sword」に所属するコビーは、隊長ドレークのように海軍の中でも真の悪を見抜いて時には海賊と協力することを厭わず正義を執行するタイプの人間だと思われるので、ロッキーポート事件では、王直を阻止するべきと判断して、ティーチに協力したのかもしれませんし、間接的にティーチに利する行動をしたのかもしれません。
黒ひげ海賊団がコビーを拉致する理由として考えられるのは、新型パシフィスタの情報を得るためでしょうか。コビーは「sword」隊員なので、自ら進んで黒ひげ海賊団に潜入した可能性もなきにしもあらずです。
ところで、攫われたコビーについて報告する海軍の軍艦は「エッグヘッド」なる港に向かっているようです。いずれ物語の舞台として登場するのでしょうか。