・扉絵リクエスト
本話掲載の週刊少年ジャンプ2022年42号は『ONE PIECE』が表紙(ギア5)と巻頭カラーで、巻頭カラーイラストには扉絵リクエストが採用されています。
「コミックス8巻ぬりえコーナーの麦わらの一味イラストを10人バージョンで見たいです!」
いつもと趣向が異なるリクエストです。”8巻ぬりえコーナー”の元絵は週刊少年ジャンプ1999年4・5合併号の巻頭付録ポスターの描き下ろしイラストで、画集「ONE PIECE COLOR WALK 1」に収録されているものです。元絵は東の海編の5人の麦わらの一味が描かれていました。
白クマに口紅(ナミが持っている)で書かれた文字は元絵は「
Free Dom」で、今回は「
We stand for Liberty」となっています(※公開されている制作過程の動画では初めは元絵と同じく「Free Dom」と書かれていた)。「Free Dom」は「Freedom」のことだと思うので意味は”
自由”です。
「Dom」が”Dの一族”のことで、「Free Dom」で”Dの一族を解き放て”みたいな意味なんてこと……原作69話の時点でそんなネタバレがしれっとあったなんてあり得ない、とは言い切れないです。
「We stand for 〜」は”〜のために戦う”とか、”〜を支持する”とかで、「Liberty」がこれまた”
自由”なので、麦わらの一味に「We stand for Liberty」を言わせれば、”我々は自由のために戦う”みたいな感じでしょうか。
42号表紙のルフィのアオリも「
自由!! 誰よりも!」となっており、
やたらと”自由”が前面に出ている感じになっています。これは本編に関わるヒントかもしれません。詳しくは後述します。
・夢の果て
ワノ国を出航した麦わらの一味はログポースの指針を辿り、次の島へ航海中。
カリブーは麦わらの一味に捕らえられて、また魚人島への航海の時のように樽に詰められているみたいです(笑)。ワノ国ではプルトンの在処を仕入れたカリブーでしたが、ワノ国を出航するにも乗る船が無いので、サニー号に潜入していたところ、またあっさり見つかってしまったのかもしれません。
船上では
ロビンが新聞で知った情報を一味と共有しており、
サボに関する事件(革命軍の天竜人への宣戦布告、コブラ王の殺害)と
ビビの失踪について一味が知るところとなりました。ロビンの話では、ルフィに関わりのある名前が他にも新聞に若干出ているそうですが、ルフィはサボとビビの件で頭がいっぱいということで、ロビンの判断でここでは話されていません。
コビーが拉致された件(
1059話)について、ロビンはルフィとコビーの関係を知っているはずですが(432話)、新聞の取り扱いは「若干」ではないはずですし、ルフィがロビンに「ヤベーのは教えてくれ」と言った判断基準に該当するものなので、おそらくコビーの件ではないです。ロビンが入手した新聞が古いものということなのでしょうか。
新聞に名前が出ていそうな人物でルフィに今話す必要はなさそうな事柄というと、世界会議に参加したドレスローザやリュウグウ王国の王族たち、王下七武海制度が撤廃されたことに関連してハンコック、赤髪海賊団のナワバリを荒らしているバルトロメオ(
1054話)を含む麦わら大船団の子分達の動向とかでしょうか。
コブラ王殺害の犯人はサボではないと主張するルフィは、サボは「
窮屈な家で育ったから みんなを自由にしてェだけなんだ」と、革命軍として行動するサボの考えを代弁しています。そして
ルフィは、かつてエース、サボ、ルフィの3人がお互いの夢を語り合った場面(585話)を回想し、海賊王になった先の自身の夢=夢の果てを一味に初めて語るのでした。
ルフィ「おれは!!ーーー」
ページ最後のセリフがこれで、セリフの続きはページをめくることになります…!!
話タイトルが「
ルフィの夢」となっているわけでして、『ONE PIECE』の中でも重大な伏線の一つである「
夢の果て」(
1000話考察、「
【伏線】 ルフィの”本当”の夢 【実は正解でていた件】」)がついに明らかになるのだと思うと感慨深く、そして緊張してページをめくると・・・・・!!
ルフィのセリフは伏せられていましたー!w
やはりそうですかw
「夢の果て」が明らかになるのは、漫画の演出的にその夢が実現した時だと予想しています。
「夢の果て」が言葉として出てきたのは1000話以来3度目のことで、
考察の内容的には1000話考察からあまり進展はありませんが、2つほど確定したことがあります。
1つは、シャンクスはルフィを気に入った理由として、「(ロジャー)船長のあの言葉」「ロジャー船長と同じ事」(506話)をルフィが言っていたことを挙げていますが、光月おでんの航海日誌を知っているヤマトの発言からルフィの夢はロジャーの夢と同じだったことが判明しており(1000話)、「船長のあの言葉」とは「夢の果て」を指していたことが推察されました。
ルフィが「夢の果て」を話したのはエースとサボの他に
シャンクスがいることが今回明らかになり、ルフィの「夢の果て」を聞いたシャンクスは笑って涙を流していたそうです。このことから、以上の考察が確定します。
もう1つは「夢の果て」が
海賊王になれば実現できるかもしれない壮大な夢ということです。
ロジャーが偉大なる航路の”最後の島”を目指した動機は、前人未到の世界一周を達成するという冒険心と最後の島にあると噂されていた莫大な財宝でした。最後の島にたどり着けば、富と名声を手に入れることができ、名実ともに世界一の海賊団になるとロジャーは力説し、「夢の果て」を語っています(966話)。この時点でロジャーが持っている”最後の島”=ラフテルに関する情報はルフィが知り得るワンピースの噂と変わりありません。
したがって、
「夢の果て」は”莫大な財宝”により実現できるかもしれない夢という可能性もありましたが、「夢の果て」について本話でルフィが「
「海賊王」になったらできるかもしれねェ」、フランキーが「
そりゃ「海賊王」にくらいならねェとムリだな」と発言していることから、その可能性は棄却され、「夢の果て」の実現には「海賊王」の富だけでなく
名声が必要だと推察されます。
海軍の”英雄”や一国の王でもなく、”海賊王”の名声です。
「夢の果て」について私は「
全世界をナワバリにする」ことだと予想しています(
1000話考察)。
ルフィの「夢の果て」を聞いた麦わらの一味のリアクションは次の通りです。
基本的に皆、面白い夢だと気に入って笑うか、呆気に取られて口をあんぐり開けています。
ブルック
「ヨホホ♪ 面白すぎます それ!!」(笑い泣き)
ウソップ
「おい いやいやお前…!!」
「お前な!! そんな事できるわけねェだろ!!」
「んな事考えるか!? フツー…」
「ムリだし!!」
フランキー
「わはは いいなそれ 最高だ!!」(笑い泣き)
「そりゃ「海賊王」にくらいならねェとムリだな!!」
サンジ
「だははは おいチョッパー 頭診てやれ!!」
ジンベエ
「ワハハハハハ!! この船に乗ってしまったからにゃあ他人事じゃないのう!!」
「大変な船長についてしもうた」(笑い泣き)
チョッパー
「わあ〜〜…!!」
「それ いいなー!! ルフィ!! その夢いいな〜〜」(目を輝かせて涙)
ナミ
「えェ??」(呆れ)
「あんたらしいけど…」(微笑)
クールな
ゾロと
ロビンは驚くだけで感想はありません。
ロジャーの「夢の果て」を聞いて白ひげが「ガキでもあるめェし」(966話)と言うのは、大人なら現実不可能と分かっていて考えもせず口にもしないような壮大なことであって、
まるっきり子供っぽい発想ではないと思っています。ウソップやジンベエの発言はそれを裏付けるものです。
チョッパーは目を輝かせてルフィの「夢の果て」を気に入っており、年長組のブルックとフランキー、ジンベエまでも笑い泣きするほど気に入っているというのは注目すべき点です。チョッパーが目を輝かせる場面は劇中で何度が描かれており、男子児童の憧れ(ロボや忍者)が体現されている場合が多いです。そのような場面でチョッパーが嬉し泣きしているシーンと言えば、
ブラキオタンク5号に登場して司令官を拝命した時です(635話)。
「全世界をナワバリにする」という予想に当てはめると、麦わらの一味が全世界の旗印になるわけですから、船員たちは「海賊王」の船員には留まりません。チョッパーは”
医者の王”と呼ばれることを妄想しているのでしょうか(笑)。年長組のリアクションは、海賊王を目指していると思っていた船長のその先のさらにとてつもない大きな夢を聞いて、もう笑うしかないというような感じです。ジンベエが「他人事じゃない」と言うのも、この予想に当てはまります。
ナミに言わせると、
ルフィらしい発想であるようです。”ルフィらしい”とはどういうことを指しているのでしょう。「海賊王」になった先の夢であることを考えると、ルフィが「海賊王」を「
この海で一番自由な奴」(507話)と形容している点はやはり重要です。
本話に関連して、やたらと”自由”が強調されているという話をしました。
前述の巻頭カラーイラストの話題に戻ると、「Freedom」も「Liberty」もどちらも”自由”という意味で、束縛されていないこと、解放されていることなど行動の自由という点ではどちらも同じ意味を持っていますが、「Freedom」には語源的に「Liberty」には無い別の意味も含んでいます。
それは”
範囲がない”、”
領域がない”というような意味合いです。
全世界が麦わらの一味のナワバリになれば、その世界はまさしく”Freedom”です。
英語で王国は”Kingdom”ですけども、空白の100年に存在して滅んだ「巨大な王国」(395話)の名前も、もしかすると・・・
・ルルシア王国滅亡
世間では革命軍の
サボがアラバスタ王国国王の
コブラを殺害したと見られており、革命軍を支持する反体制派組織に対するサボの求心力が高まり、その人気は革命軍総司令官ドラゴン(異名は反逆竜)を凌ぎ、そういった連中にサボは「炎帝」と呼ばれて信奉されるまでに至っていました(
1054話)。
革命軍本部も事件の真相を掴んでおらず、混乱していましたが、サボ本人から通信が入ったところからの続きです(
1058話)。要件は
サボがコブラ王殺害の犯人ではないこと、そして
サボがマリージョアでとんでもないものを見たことでした。
緊急の連絡だったため、通信妨害の”白電伝虫”は使われておらず、海軍本部の通信部により探知が行われ、サボの居場所は新世界「
ルルシア王国」であることが判明しています。ルルシア王国は世界会議(レヴェリー)に参加した国で、レヴェリー2日前には革命軍軍隊長たちが上陸していた国であり(
904話)、「8か国革命」の一国でした。「8か国革命」はレヴェリー閉会後に8ヵ国で同時に発生した革命の総称で、国王の帰還を狙った革命でした(
1054話)。
サボがルルシア王国に潜伏していることを知った
五老星の反応は不穏なものでした。
「
運のない男だ…」
「
いや これが運命…」
サボが通信していた最中、ルルシア王国の国民は上空に「
巨大な物体」がある様な影を目撃しており、次の瞬間、上空が眩しく光ったかと思うと・・・・島中に閃光が降り注ぎ・・・!!
ーールルシア王国が滅亡しました。
古代兵器プルトンは「
一発放てば島一つを跡形もなく消し飛ばす」(193話)と噂されていますが、
これこそ古代兵器じゃないかという破壊力です。上空にあったものが何かは不明です。空島に兵器が搭載されているのでしょうか。
サボがマリージョアで見たとんでもないものとは、「
虚の玉座」に座る王(イム)が存在することであり(
908話)、サボがそれについて話そうとしたところで、五老星は通信部に傍受を止めるように指示し、次の瞬間、ルルシア王国が滅亡しています。
先の五老星の反応からは、サボとは関係なく
ルルシア王国が消される運命は既に決まっていた模様で、その瞬間が少し早まっただけのようです。「8か国革命」への見せしめなのか、それともサボが潜伏している可能性がある国をしらみ潰しに消すつもりだったのか。後者であれば、まず革命軍本部を狙えばいいので、やはり見せしめだったのでしょうか。
「8か国革命」の出来事は世界政府にとっては非常に脅威であり、このあたりで粛清が必要と判断したのかもしれません。ともかく、事件後に跡形もなく消されたという
ゴッドバレー(
957話)はこのようにして消されたのかもしれません。
また、失踪した
ビビがサボと行動を共にしている可能性もありましたが、本話の様子からは少なくともビビはルルシア王国にはいなかったと思われます。
もし、ビビが無事でどこかに潜伏している場合、その理由はビビもサボと同じくマリージョアの秘密を見てしまったためだと考えられます。アラバスタにそのまま戻ってしまえば周りの人間を巻き込んでしまうことを恐れてのことです。潜伏していない場合はやはり世界政府に秘密裏に捕らえられた可能性が高いです。
「空白の100年」の歴史を隠滅することで、世界政府は何らかの真実を隠しており、それを繕うために世界に色々と嘘をついているのは間違いありません。「虚の玉座」のこともそうですし、「ゴムゴムの実」の件もそうです。「古代兵器」については、世界政府は世界を滅ぼす危険な兵器だとして歴史の本文(ポーネグリフ)の解読を禁止していますが、
世界政府はそのような危険な兵器を既に所持していることが今回明らかになりました。
世界政府が所持するそれ自体が古代兵器なのか、あるいは古代兵器とは世界政府側の勢力が所持していた兵器に対抗するために作られた兵器だったのか。
・ボニー遭遇
ワノ国を出航して、さらに数日後。サニー号は”暖水渦”なる不思議海流に遭遇しています。
その海流の中には人影が見え、サンジはレディの悲鳴が聞こえると言っています。ゾロが一刀流”厄港鳥”でその海流を両断すると、中からなんと子供の姿の
ジュエリー・ボニーが登場しました。なぜか海で遭難していたようです。
ボニーはレヴェリーで起きた事件の一つ「
チャルロス聖殺人未遂」の犯人だと予想されますが(
1054話考察)、もしかするとコブラ王殺害の件やビビ失踪の件について何か知っているかもしれません。そして、ボニーの証言次第で今後の行き先が決まるかもしれません。
ちなみにボニーの懸賞金は2年前の1億4000万ベリーから
3億2000万ベリーに上がっていました。
いや〜、ワンピースって本当に面白いですね。
それでは次週を御期待下さい。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ...